初めての外国人雇用◆外国人スタッフのための労災・雇用保険手続について

 

 

 icon.mini.gif 外国人雇用に関する、その他の記事は下記リンクをクリックしてご覧ください。

 

 icon.mini.gif 外国人社員の就労ビザ取得手続きについては、下記のページからリンクをご覧ください。

 


 

採用する外国人スタッフの就労ビザの取得・雇用条件の確認・雇用契約書も無事に取り交わしました。 いよいよ御社での外国人スタッフの勤務スタートです。

このページでは、社会保険労士の立場から、外国人スタッフの労務管理の一つである、労働保険(=労災・雇用保険)の概要や加入方法などについて解説していきます。

 

ご覧になりたい保険編をクリックしていただければ文頭にジャンプします。

■ 労災保険編 ■

 1.  労災保険法とは? 
 2.  労災保険に加入しなければならない「使用者(事業主)」の範囲
 3.

 労災保険に加入させなければならない「労働者」の範囲

 !.gif 外国人労働者の労災保険加入について

 4.  使用者(事業主)も労災保険に加入できる?
 5.  労災保険がおりるのはどんな場合?
 6.  労災保険の給付内容にはどんなものがある?
 7. 

 労災保険の保険料はどのくらい?

 !.gif  実際の保険料を試算してみましょう。

 8.  労災保険の加入方法は?
 9.  労災保険に入らないでいると、どうなる?
10.   海外本社に日本の労働保険制度について理解してもらうためには

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■ 雇用保険編 ■

 1.  雇用保険とは?
 2.  雇用保険に加入しなければならない「使用者」とは?
 3.

 雇用保険に「加入できない労働者」、「加入に一定の条件がある労働者」

 4.  外国人労働者の雇用保険加入についての条件
 5.

 雇用保険の保険料はどのくらい?

 !.gif  実際の保険料を試算してみましょう。

 6.  雇用保険の加入方法は?加入後の手続きは?
 7.   外国人雇用状況報告制度とは?
 8.  雇用保険の手続きを怠っていると、どうなる?
 9.  海外本社に日本の労働保険制度について理解してもらうためには

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外国人スタッフのための労災保険

sample.gif 2017年6月更新

 

日本国内にある職場(法人・非法人・個人営業に区別はありません。)で働く限り、日本人であっても外国人であっても、労働基準法や労災保険などの日本の法律が平等に適用されることは、当サイトの、英文雇用契約書の基礎知識英文就業規則を作りましょう。などのページでも説明した通りです。


このことは、基本的に労災保険はじめ雇用保険・健康・厚生年年金保険といった社会保障の適用(加入や手続き方法)に関しても同様です。

 

したがって、御社で外国人を雇用されたのであれば、日本人に対するのと全く同様に労災保険加入の加入手続き(=労災保険の保険料の算定のもとになる外国人スタッフの賃金を概算・確定保険料の計算時の賃金総額に含めること)を行って下さい。

 

ここでは、外国人スタッフに限らず、労災保険とは何か、また労災保険に加入するための条件や大まかな保険料の計算方法・加入方法などについて確認しておきます。

 

 


b.gif 労災保険法とは?


 

一般にいう、「労災保険法」の正式な名称は、「労働者災害補償保険法」といいます。

労働基準法第75条(「労働者が業務上負傷し、疾病にかかり、または死亡した場合は使用者が補償をすること。」)の規定に基づいて、使用者(=事業主)は雇用する労働者に対して、彼らが業務上または通勤途中に災害にあい、ケガをしたり病気になった場合に治療やその他の補償をする、法律上の義務があります。 

 

労災保険というのは、使用者がこの労働者に対する義務を果たすため(果たさせるため)に国が保険者となって行う保険制度です。

 

 


b.gif 労災保険に加入しなければならない「使用者」の範囲


 

1人でも労働者を使用する事業主は原則、すべて加入しなければなりません。

法人・個人事業主・規模などを問いませんので、法人はもちろん、個人経営の飲食店などでも一人でもアルバイトの方を雇った場合にはその時点で労災保険に加入することが必要になります。

 

また、外国の法人が日本に駐在員事務所や日本支店・日本支社を設立した場合も、従業員を1名でも雇用した場合は、その従業員がフルタイム・パートタイムにかかわらず、全て労災保険に加入することになります。

 

 


b.gif 労災保険に加入させなければならない「労働者」の範囲


 

労災保険に加入させなければならない労働者とは、正規の一般社員だけではなく、アルバイト・パートなどで短時間雇用する従業員すべてです。

 

たとえば、週に1回、1時間だけのアルバイト・パートスタッフや1年に数日間の繁忙期だけ手伝ってくれる臨時スタッフについても加入しなければいけないことになっています。

 

 


b.gif 使用者(事業主)も労災保険に加入できる?


 

基本的に、労災保険でカバーされる労働者とは、「事業所に使用される者で、賃金を支払われる者」(労働基準法第9条) となっています。

 

つまり、労災保険の被保険者とは、一般の従業員を指し、雇用主や取締役などの役員は基本的に適用外ということになります。ただし、こういった労働者だけではなく、役員でも、「兼務役員」と言われるような、「取締役営業、財務部長」などの肩書で、役員として登記されながらでも労働者としての一面も併せ持つ者は労災保険に加入することができます。

 

__sozai__/0011753.jpg

実際に役員が加入できるかどうかについて、会社側で判断するのが難しいケースもあります。その場合は、御社を管轄する労働基準監督署に直接たずねてみられることをお勧めします。

 

労災保険に加入するべき「労働者」かどうかの判断は、個々の労働基準監督官の判断により多少の相違があるようです。

加入時の手続きや、実際の給付を受ける場合に問題が起こらないよう、判断に迷う場合は実際に御社の管轄となる労働基準監督署の判断を確認してください。

 

一方、代表取締役や、事業主と同居して実際に事業を手伝って事業主の妻や子いる(=「家事使用人」と呼びます。)は、基本的に労災保険の適用外となりますが、これらの方々も、「特別加入」という制度によって、特別に労災保険の被保険者となることができます。

「特別加入」制度によって加入できるのは具体的に下記のような方たちです。

 

  • 中小企業(業種・人数によって制約があり。)の事業主やその家事使用人・専任役員
  • 一人親方(業務委託で仕事を請け負う大工さんなど)
  • 海外に派遣されている従業員

 

ただし、この、「特別加入制度」によって、上記の方たちが労災保険に加入するためには、労働保険事務組合という組合に加入した上で、労働保険(労災・雇用保険)の事務手続きを、労働保険事務組合に委託しなければなりません。

__sozai__/0011753.jpg 

労災保険の「特別加入制度」や「労働保険事務組合」にご興味をお持ちの方は、下記、東京労働局のホームページをご覧ください。

__sozai__/0012115.png  労災保険の特別加入制度とは?

__sozai__/0012115.png  労働保険事務組合について

 

 


b.gif 労災保険がおりるのはどんな場合?


 

労災保険の給付がおりる保険事故(事由)としては、業務上と通勤途中における災害(ケガや病気など)がその対象となります。

 

「業務上の災害」とは、業務中や、その業務に関わっていなければ巻き込まれなかったであろう災害(=業務起因性といいます。)に遭って、ケガをしたり病気になったりすることです。

 

「通勤途中の災害」とは、 職場と自宅との往復(単身赴任中の者に関しては、その単身赴任先の住居や一時帰宅時の本宅との往復途上も含まれます。)途中に遭ったケガや病気のことを指します。

 

ただし、上記通勤途中であれば、どのようなケースでも労災事故として認められるかというとそうではなく、通常の通勤経路を明らかに外れている場合や寄り道をしている場合(労災保険法上は「通勤経路の逸脱・中断」といいます。)は、実際に災害に遭ったとして労災保険の給付がおりないこともありますので、ここは要注意点です。

 

 


b.gif 労災保険の給付内容にはどんなものがある?


 

実際に被保険者である従業員などが、業務上や通勤途中に災害に遭った場合に労災保険から給付される補償内容は主に以下のようなものがあります。

 

  1. 療法補償給付(労働者が病院で治療を受ける場合の治療費の保障など)
  2. 休業補償給付(労働者が仕事に就けない期間の金銭補償など)
  3. 障害補償給付(病気やケガが治る前の療養中の年金や一時金など)
  4. 遺族補償給付(労働者が死亡した場合の遺族に対する年金や一時金など)
  5. 葬祭料(労働者が死亡した場合に遺族に対する葬祭料)
  6. 傷病補償年金(病気やケガが治った後に後遺症が残った場合の年金や一時金など)
  7. 介護補償給付(障害・傷病補償年金を受けている者が対象・介護に関する給付)

 

 


b.gif 労災保険の保険料はどのくらい?


 

労働保険料の保険料は、使用者(=事業主)が全額負担します。

雇用保険や健康・厚生年金保険などの社会保険と違って、労働者と使用者が折半で負担をするわけではありません。

 

事業主が国に支払う保険料は、簡単に言うと、事業主が雇用する労働者に支払う賃金の総額に、国が決めた一定の保険料率を掛けて計算し、その保険料を年に1回支払う決まりになっています。

国が決めている保険料率には、下記のような種類があります。

 

 

1.

 ◎  一般保険料

 事業主が労働者に支払う賃金を基礎として算出する通常の保険料

 

2. 

 ◎  第2種特別加入保険料

 一人親方等(例:大工さんなど)の特別加入者についての保険料

 

3.

 ◎  第3種特別加入保険料

 海外に派遣されている、特別加入者(労働者)についての保険料

 

 

使用者が支払う労災保険料の金額を計算する場合は、1.の「一般保険料率」を使用します。

この「一般保険料率」は事業主が行っている事業によって料率が、0.25%〜8.8%までに分かれています。(2017年6月現在)

例えば、通常、業務上の危険が伴わないデスクワーク等を主に行っている事業(金融業・不動産業・保険業その他ホワイトカラー業務)に対して、労災事故発生の確率が高いと予想される、鉱業や建設業などは、労災保険料率が高く設定されているのです。

 

まずは、御社が行っている事業が「一般保険料率」の中でもどの料率を適用される業種なのかを確認する必要があります。

__sozai__/0012115.png 労災保険率表 *2017年6月現在・最新(厚生労働省)

 

!.gif 実際の労災保険料を試算してみましょう。

月給30万円(賞与等他手当支払一切なし)を払うスタッフ2名を雇用している事業所(IT企業=労災保険料率表での「94.その他の事業」に相当)が支払う労災保険料はいくらになるでしょうか?

 

30万円×12ヵ月=360万円×2人=720万円×0.3%=21,600円 ※年間

 

となり、この場合、事業主が支払う年間の労災保険料は21,600円となります。

 

 


b.gif 労災保険の加入方法は?


 

労災保険に関しては、雇用・健康・厚生年金保険と違い、個々の従業員が入・退社する度の手続きは必要ありません。

 

なお、労災保険と雇用保険の二保険は一括して、労働保険といい、会社を新規に設立した後、両方の保険に加入する、最初の加入手続き(=労働保険の新規適用手続きといいます。)と、労災保険及び雇用保険の保険料の申告・納付は一括して同時に行います。


ただし、後述の雇用保険編をご覧いただければご理解いただけますが、雇用保険の適用範囲や加入条件などは労災保険とは異なります。

ですので、御社で雇用する労働者の個々の条件の違いによって、


● 労災保険だけに加入させる者 

● 労災保険と雇用保険両方に加入させる者


の2種類の労働者が存在することもあり得ます。 (ただし、「雇用保険だけに加入する者」という方は存在しません。)

 

以上、労災・雇用保険の新規加入手続きは同時に、労働基準監督署とハローワークの両方へ申請することによって行います。

また、加入した後の労働保険料の申告や納付も、年に1回(例年毎年6月)、前年度分の保険料と今年度分の保険料の2種類を計算・清算(必要があれば相殺)して行うことになっています。(=「概算保険料・確定保険料の納付」)

 

労災・雇用保険料についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の厚生労働省のページもご覧ください。

__sozai__/0012115.png 労働保険制度〜制度紹介・手続案内〜 (厚生労働省)

 

また、当事務所は、労災・雇用保険の新規加入・保険料の申告・納付・その他諸手続の代行業務について、事業主様から委託されて代行することを厚生労働省より許可されている国家資格者・社会保険労務士事務所です。

 

当事務所でも、外国人スタッフの労災・雇用保険や健康・厚生年金保険についてはもちろん、通常の加入手続きや保険料の申告納付業務について代行させていただいております。

 

 


b.gif 労災保険に入らないでいると、どうなるの?


 

2005年11月より、国による労災保険に未加入の事業所に対する罰則の適用が強化されています。

 

例えば、労災保険に加入の手続きをしなければならない(労働者を1名でも雇用した)状態になった事業所が未加入のまま1年を経過し、万が一、労災事故が起これば、基本的に労災保険から給付される額の40%を事業主側が負担しなければならなくなりました。

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労災保険は加入手続を行っていなかった場合でも、いったん労災事故が起これば、さかのぼって加入をすることができます。

ただ、その場合、加入手続を怠ったペナルティとして、労災保険からおりる労災事故発生時の給付額の負担を事業主側も負担しなければなりません。

 

また、更に、国(=労働基準監督署)から労災保険の加入を指導されたにもかかわらず、それでも加入の手続きをしなかった未加入の事業所においては、労災事故に対して給付される金額の全額を事業主が負担しなければいけないことになっています。

 

労災保険の保険料は、雇用保険や健康・厚生年金保険などのその他の保険に比較すると少額です。

 

とは言いつつも、比較的保険料が安価な労災保険は別として、労災保険に加入するとなれば雇用保険への同時加入が義務となるため、雇用保険料負担を嫌ってこういった労災・雇用保険に未加入の事業所が多くあるようです。

しかし、ひとたび労災事故が起こってしまうと、事業主がペナルティとして負担しなければならない金銭的なダメージは、通常の保険料負担とは比較になりません。

 

また何より、会社が労災保険・雇用保険などの社会保険に適切に加入し、万が一何かが起こっても、従業員の生活をきちんと補償できる...そうした雇用主の責任ある姿勢を従業員にアピールすることは、従業員にとってはもちろん、御社の将来にとっても、社会的な地位の向上や人材確保・開発のためには重要です。

 

 


 b.gif 海外本社に日本の労働保険制度について理解してもらうためには
〜 加入義務の有無・会社・本人負担額について英語で説明しましょう 〜


 

日本に駐在員事務所や日本支店・日本支社(外資系企業)を新規設立した場合、それらの事業所でもこれまで説明してきた、日本企業とほぼ同様に労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生します。

 

ただ、日本で初めて拠点を設立して事業を始めようとする代表者の方は、これまで国内の中規模以上の企業で、一般の社員として勤務されていたために、労働保険についてはあまり知識をお持ちでない日本人の方や、そうでなければ海外の親会社から派遣されて来日される外国人の方が殆どのようです。

 

特に外国人が代表者の場合ですが、一般的な日本人が代表者であれば、ある程度知識として持っている日本の社会保険制度を親会社の外国人マネージメントに対し、一から説明し、加入した場合の社員と会社の負担額についても納得してもらわなければいけません。

 

この、説明作業は、日々の本業が忙しい代表者の方にとって、結構骨が折れる仕事なのです。

というのも、海外の企業は特に、国外拠点の運営にかかるコスト、特に人件費については最初からどの程度のコストがかかるのか(=どの程度のコスト負担を許容できるのか)を厳しく試算をし、計画をたててから進出してきます。

 

よって、コストを下げるためにも、親会社は最初に、個別の従業員に対して会社が支払える総支払額(グロス額)の人件費を決めますが、その総支給額の中には、会社が負担する社会保険料の負担額などの経費も全て含めて計算されています。

ですので、そのような場合、社員が最終的に受け取る基本給額は会社が負担する社会保険料分が差引かれた金額となります。

 

ただし、外資系企業でも大企業はまた別です。逆に、本国から派遣されてくる社員に関しては、本人の社会保険料負担分や所得税まで会社が支払う前提で総支給額を設定する仕組み *グロスアップ計算* を導入しているケースが多いのです。

 

このような事情がありますので、日本に初めて進出してくる外資系企業のマネージメントは、日本拠点が加入する社会保険に関して、主に次の、2点を最重視して情報を求めてきます。

 

  • そもそも労働・社会保険に加入しなければいけないのか?(法律で、加入が義務付けられているのかどうか。= コンプライアンス上、法違反となるなら加入するが、加入の義務がないものは加入したくない。)


  • 加入する場合、どんな種類の労働・社会保険に入って、会社(と社員が)負担する金額は最終的にいくらになるのか。

 

日本拠点の設立後、社員の社会保険加入に関して説明を求めてくる親会社に対しては、この2点を中心に納得してもらえるよう説明すれば、ほとんどの場合、その後の加入手続がスムーズに進むことが多いようです。

 

ですので、当事務所では、下記添付資料などを利用して、海外の親会社に対し、日本の社会保険の加入義務の有無・加入した場合の保険料の試算方法を説明しています。

 

この資料は日本語と英語を併記していますので、日本人代表者の方も無理なくご理解いただきながら英語版で親会社に対して説明していただけるよう作成しております。

当事務所オリジナルですので、よろしければ親会社向けの説明にご利用ください。 

 

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日本の社会保険について〜加入義務の有無と負担額に関する資料〜

※ 2013年4月改訂版・全10ページのPDFファイルです。

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社会保険の保険料率は随時改定されます。この資料を活用される場合は、最新の保険料率を使用してください。

 

また、当事務所では、日本法人設立・外資系企業の駐在員事務所・日本支店・日本支社設立時の社会保険新規加入手続きを代行しております。

当事務所へのご依頼に関し、ご興味をお持ちいただけましたらお気軽にご連絡ください。

icon.mini.gif 若松絵里社労士・行政書士事務所へのお問合せ方法

 

 

外国人スタッフのための雇用保険

sample.gif 2017年6月 更新

 

従業員の労災保険の加入については、労災保険編で、● 業種 ● 法人・個人経営 ● 正社員・パートなどの雇用形態...などに関係なく、従業員を一人でも雇用すれば加入しなければならないと説明しました。

 

それでは、今度は、「雇用保険」の概要について、雇用主の視点からみた、保険の仕組みや手続きの方法について説明します。

雇用保険の詳しい内容・給付内容などの詳細については、下記厚生労働省のウェブサイトをご覧ください。

__sozai__/0012115.png 雇用保険制度について (厚生労働省)

 

 


b.gif 雇用保険とは? 


  

雇用保険は、国民の雇用や生活の安定を目的として、国によって運営されている労働保険の内の1種類です。雇用保険から受けられる給付の内容には以下のようなものがあります。

 

  • 労働者が失業した場合の生活補償 ※ 一般的に「失業保険」といわれています。
  • 再就職促進のための支援  ※ 失業手当をもらっている間に再就職をした場合の「再就職手当」など
  • 一時的に給与額が下がってしまった育児休業中の労働者や定年後の高齢者に対して、雇用保険から支給される下がってしまった給与額と下がる前の給与差額の補助
  • 職業教育支援 ※ 再就職のための各種教育訓練

 

なお、雇用保険の保険料は、前記の労災保険と違い、事業主と加入者である従業員両方で負担します。

 

 


b.gif 雇用保険に加入しなければならない「使用者」とは? 


 

雇用保険に強制加入しなければならない事業所のことを、雇用保険では適用事業所と呼びます。 雇用保険に加入しなければならない適用事業所は、雇用保険法上、以下のように決められています。

 

  • 原則 労働者を1人でも雇用するすべての事業所(法人・非法人に拘わらず)はすべて加入
  • 例外(雇用保険に加入してもしなくてもよい事業所) ⇒ 農林水産業の一部 

(例: 常時5人未満の労働者を雇用する個人経営の農林水産業・畜産・養蚕を含む。)

 

つまり、法人であろうと個人経営であろうと労働者を1名でも雇用(ただし、労災保険と違い、個々の労働者の勤務時間や勤務形態によって、その労働者が雇用保険に加入できるかできないかの条件はあります。)する事業場は、必ず雇用保険に加入しなければならない事業主とされていて、例外として、常時5人未満の労働者しか雇用していない個人経営の農林水産業の事業所のみが、「暫定任意適用事業所」とされ、事業所自ら希望し、ハローワークに申請する場合において「適用事業所」として雇用保険に加入することができます。

 

ですので、法人はもちろん、個人経営で1名のアルバイトしか雇用していない飲食店のようなケースであっても、その1名の雇用条件が雇用保険の加入対象となるのであれば、必ず雇用保険の強制適用事業所(=雇用保険に加入しなければならない事業所)となるということです。

 

なお、個々の労働者が雇用保険加入の対象となるかどうかについては、

 

  • フルタイムで勤務する一般の労働者
  • 週20時間以上勤務するパートタイマーなどの場合、雇用契約を結んだ時点で、今後31日の雇用が見込まれること (2017年6月現在)


などがあります。

なお、雇用保険法の改正により、2017年1月1日以降、65歳以上の新規雇用の労働者に対しても、「高年齢被保険者」として雇用保険に加入させる、加入要件の緩和が行われています。新制度の詳細は、下記、厚生労働省のホームページでご確認ください。

__sozai__/0012115.png 雇用保険の適用拡大等について  (厚生労働省)

 

 


b.gif 雇用保険に「加入できない労働者」、「加入に一定の条件がある労働者」


 

雇用保険は、労災保険と違って、加入条件がやや複雑です。

まずは、

  1. 雇用保険に加入できない労働者
  2. 加入するために一定の条件がある労働者 

という、二つの条件に分けた上で、1. 2. に該当する労働者以外の労働者はすべて加入しなければいけない労働者だというように理解していただいたほうがわかりやすいかと思いますので、まずは、この1. と 2. の労働者について説明します。

 

また、在日の外国人労働者に関しては、その労働者それぞれの諸条件により加入するか、しないかが変わってきます。

詳細は次の、「外国人労働者の雇用保険加入についての条件」に記載していますのでこちらもご確認ください。

 

__sozai__/0011848.png 雇用保険に加入できない労働者の具体例 (=雇用保険の適用除外者)

 

短時間労働者(週35時間未満)であって、下記のどちらかに相当する労働者

・ 季節的に雇用される労働者

・ 短期に雇用される者

(同じ職場で引き続き雇用される期間が1年未満である事が常態化している労働者)    

 4ヵ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される労働者

 船員保険に加入している労働者

 

国・都道府県・市区町村などの事業に雇用される労働者(公務員など)で、離職した場合に他の法令・条例・規則などに基づいて支給を受ける諸給与の内容が、雇用保険の給付内容(求職者給付及び就職促進給付)を超えると認められる者

 個人事業主

 

法人の代表取締役、合同・合名・合資会社の代表社員

(上記以外の取締役・社員であって、労働者的性格が強い場合は加入できる場合もある。)

 

__sozai__/0011849.png 加入するために一定の基準がある労働者 (=強制適用とはならない)

 1

 在日外国人

2

 パートタイム労働者(週20時間未満の短時間労働者)

3

 法人の代表者以外の役職員など

4

 大学などの昼間部に在籍しながら勤務する労働者

5

 自営の法人や個人事業に従事している同居親族(家事使用人)

6

 生命保険会社の外交員

 

7

その他の労働者

・ 国外で就労する労働者

・ 長期にわたり欠勤している労働者

・ 2以上の事業主に雇用される労働者  

 

御社で雇用された労働者が、「雇用保険に加入させなければならない労働者なのか、加入させなくてもよい労働者なのか。」と迷われる場合には、会社の住所を管轄する最寄のハローワークへお問い合わせください。 

__sozai__/0012115.png 東京都内ハローワーク一覧 (東京労働局)

 

 


b.gif 外国人労働者の雇用保険加入についての条件 


 

在日の外国人労働者の雇用保険への適用については次のように定められています。

 

■ 原則 ■

在留資格の如何にかかわらず、雇用保険法の適用除外に該当しない限りは雇用保険に加入することができる。

 

■ 例外 ■

以下の者は雇用保険に加入することはできない。

 

  • 外国において雇用関係が成立した後で、日本国内にある事業所に赴任してきた労働者(外国で現地採用された日本人含む)(=海外からの転勤者等/雇用保険法行政手続手引20355)
  • 外国公務員、外国の失業保険が適用されることが立証されている者

  

  


b.gif 雇用保険料の保険料はどのくらい? 


 

雇用保険の保険料は、使用者(=事業主)と労働者が雇用保険法に基づいて決められた負担割合と保険料率に従って、双方で負担します。

 

労災保険料の計算方法と同じく、事業主が労働者に支払った賃金総額に下記の保険料率を掛けて計算した保険料を、それぞれの負担率に応じて納めることになります。

 

※ 2017年4月1日以降 適用

事業の種類 

保険料率 

内事業主負担率

内被保険者負担率

一般の事業

0.9%

0.6%

0.3%

農林水産・清酒製造業の事業

1.1%

0.7%

0.4%

建設の事業

1.2%

0.8%

0.4%

__sozai__/0012115.png 雇用保険料率表より *2017年4月以降 (東京労働局)

 

!.gif  雇用保険の保険料を実際に試算してみましょう。

月給30万円(賞与等他手当の支払一切なし)を払う従業員の雇用保険料(年間)は?

業種はIT企業(雇用保険料率表での「一般の事業」に該当)と仮定します。

 

30万円×12ヵ月=360万円×0.9%=32,400円(年間)

*内事業主負担=21,600円 内従業員負担=10,800円 

 

 


  b.gif 雇用保険の加入方法は? 加入後の手続きは? 


 

雇用保険は事業を開始し、加入対象となる労働者を雇用した時点で、労災保険と一括しハローワークに対して加入手続きを行います。

労災保険は、事業所の住所を所轄する労働基準監督署、雇用保険は所轄のハローワークにそれぞれ届け出をする必要があります。 

__sozai__/0011753.jpg

労災保険に加入対象となる労働者で、雇用保険加入の対象とならない労働者(例: 週20時間未満のパートタイム労働者を雇用した場合など)を雇用した場合には、管轄の労働基準監督署に対して労災保険のみ加入手続を行います。

 

なお、初めて、雇用保険に加入手続きを行う際には下記のような添付書類が必要となりますので準備が必要です。たとえば、

 

  • 登記簿謄本(法人の場合)、営業許可証など(個人事業の場合)
  • 労働者名簿
  • 雇用契約書
  • 賃金台帳
  • 源泉徴収簿
  • 出勤簿
  • 「労働者関係成立届」(事業主控)
  • 「雇用保険適用事業所設置届」
  • 「雇用保険被保険者資格取得届」

 

などです。

また、雇用保険は、労災保険と違って、労働者の入社・退社・それ以外の色々なケースで届け出や手続きが必要です。

加入した段階で、どのような手続きがいつ、どんなときに必要なのかを確認して把握しておき、手続きもれがないようにしておかなければなりません。

手続きがもれてしまうと、加入はしていても実際の給付を受ける段階でトラブルが起こることがありますので注意が必要です。

 

■ 雇用保険に関する事業主が行わなければならない手続きの例

__sozai__/0012271.png

  • 雇用保険事業所各種変更届(住所地や社名の変更など)
  • 適用事業所廃止届(事業を廃止したとき)
  • 被保険者資格取得届(雇用保険の対象となる労働者を雇用したとき)
  • 被保険者資格喪失届(労働者が退職したとき)
  • 被保険者区分変更届
  • 被保険者転勤届
  • 被保険者氏名変更届
  • 休業開始時賃金証明書届
  • 休業・勤務時間短縮開始時賃金証明書届  
  • 外国人雇用状況報告        

 

 


b.gif 外国人雇用状況報告制度とは?


 

2007年10月より、改正雇用対策法において、すべての外国人(「特別永住者」を除く)を雇用する使用者(=事業主)に義務付けられた、雇用状況の届出制度のことをいいます。

 

特別永住者を除き、(ただし、在留資格「永住」は含みます。)外国人労働者を1名でも雇用している場合、事業主は、外国人労働者の入社・退職などの情報を管轄のハローワークに報告しなけれなりません。

この届け出を怠ると、30万円以下の罰金が課せられることになっていますので、上記のような外国人労働者を雇用した場合には、届け出もれのないよう十分お気をつけください。

__sozai__/0012115.png 外国人雇用状況報告・届出様式ほか (厚生労働省)

※ 届け出期限は、雇用・退職のどちらとも10日以内

 

 


 b.gif 雇用保険の手続きを怠るとどうなる?


 

雇用保険に加入させなければならない社員の手続を行わないでいると、(取得届だけではなく、取得後に必要な各種手続を含む。)その後、事業主が追う損害賠償責任等も含めた、大きな労使トラブルが発生することがあります。

手続き漏れや加入漏れにはくれぐれもお気をつけください。

 

 


b.gif 海外本社に日本の労働保険制度について理解してもらうためには
〜 加入義務の有無・会社・本人負担額について英語で説明しましょう 〜


 

日本に駐在員事務所や日本支店・日本支社(外資系企業)を新規設立した場合、それらの事業所でもこれまで説明してきた、日本企業とほぼ同様に労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生します。

 

ただ、日本で初めて拠点を設立して事業を始めようとする代表者の方は、これまで国内の中規模以上の企業で、一般の社員として勤務されていたために、労働保険についてはあまり知識をお持ちでない日本人の方や、そうでなければ海外の親会社から派遣されて来日される外国人の方が殆どのようです。

 

特に外国人が代表者の場合ですが、一般的な日本人が代表者であれば、ある程度知識として持っている日本の社会保険制度を親会社の外国人マネージメントに対し、一から説明し、加入した場合の社員と会社の負担額についても納得してもらわなければいけません。

 

この、説明作業は、日々の本業が忙しい代表者の方にとって、結構骨が折れる仕事なのです。

というのも、海外の企業は特に、国外拠点の運営にかかるコスト、特に人件費については最初からどの程度のコストがかかるのか(=どの程度のコスト負担を許容できるのか)を厳しく試算をし、計画をたててから日本に進出してきます。

 

よって、コストを下げるためにも、親会社は最初に、個別の従業員に対して会社が支払える総支払額(グロス額)の人件費を決めますが、その総支給額の中には、会社が負担する社会保険料の負担額などの経費も全て含めて計算されています。

ですので、実際のところ社員が受け取る基本給額は会社が負担する社会保険料分が差引かれた金額となります。

 

ただし、外資系企業でも大企業はまた別です。逆に、本国から派遣されてくる社員に関しては、本人の社会保険料負担分や所得税まで会社が支払う前提で総支給額を設定する仕組み *グロスアップ計算* を導入しているケースが多いのです。

 

このような事情がありますので、日本に初めて進出してくる外資系企業のマネージメントは、日本拠点が加入する社会保険に関して、主に次の、2点を最重視して情報を求めてきます。

 

  • そもそも労働・社会保険に加入しなければいけないのか?(法律で、加入が義務付けられているのかどうか。= コンプライアンス上、法違反となるなら加入するが、加入の義務がないものは加入したくない。)


  • 加入する場合、どんな種類の労働・社会保険に入って、会社(と社員が)負担する金額は最終的にいくらになるのか。

 

日本拠点の設立後、社員の社会保険加入に関して説明を求めてくる親会社に対しては、この2点を中心に納得してもらえるよう説明すれば、ほとんどの場合、その後の加入手続がスムーズに進むことが多いようです。

 

ですので、当事務所では、下記添付資料などを活用して、親会社に対し、日本の社会保険の加入義務の有無・加入した場合の保険料の試算方法を説明しています。

 

この資料は日本語と英語を併記していますので、日本人代表者の方も無理なくご理解いただきながら英語版で親会社に対して説明していただけるよう作成しています。

当事務所オリジナルですので、よろしければ親会社向けの説明にご利用ください。 

 

paper!.gif日本の社会保険について 

〜加入義務の有無と負担額試算に関する資料(日本語・英語版)

※ 2013年4月改訂版・全10ページのPDFファイルです。

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社会保険の保険料率は随時改定されます。こちらの資料を参考にされる場合は、随時最新の数字をお使いください。