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このページでは、外国会社や外国人社員の人事労務管理について、わかりやすいQ&A方式で説明しています。


■ 外国人雇用のQ&A集④

・ 公開(更新・訂正)年月は各設問の冒頭でご確認ください。

    質問内容

Q23

 

「高度外国人材・ポイント制度」のしくみと優遇措置

高度な技術や知識を持つ外国人に対してポイントを与え、日本での在留に関して優遇するという「高度外国人材・ポイント制度」について教えてください。また、当社で雇用する外国人社員が「高度人材」に該当するのか、該当した場合、どのような優遇措置(メリット)があるのかについても教えてください。

Q24 2017年8月改正の年金受給資格期間の短縮に関する外国人社員への対応 2017年8月から、社会保険の年金受給資格期間がこれまでの「25年」から「10年」に短縮されたとききました。この改正に伴い、当社に在籍する外国人社員の雇用管理について、会社として何か注意する点はありますか。
Q25 外国人社員をやむなく解雇。必要な手続きは? 弊社の外国人社員(在留資格は「技術・人文知識・国際業務」)をやむなく解雇することになりました。解雇理由は本人に帰するものではないため再就職や解雇後の手続がスムーズに進むよう、会社として出来るだけのサポートをしたいと思います。解雇する外国人社員のために必要な手続きはどのようなものがありますか。
 

2021年5月更新

【Q23 】

2012年に導入された新しい在留管理制度では、高度な技術や知識を持つ外国人を「高度人材」と認定し、彼らに対してポイントを与え、日本での在留について優遇措置がされると聞きました。
当社で雇用する外国人社員が「高度人材」に該当するのか、該当した場合、どのような優遇措置(メリット)があるのか教えてください。


【A】

「高度人材外国人に対するポイント制による優遇制度」とは、日本政府によって、「高度人材」と認定された優秀な外国人を日本へ誘致するために2012年5月に導入された制度です。

具体的には、学歴・職歴・実績・年齢・支払われる報酬額などの項目に分けてランク付けし、ランクに応じてポイントを付与、そのポイントがある一定以上に達した外国人(=高度人材)に対して、日本での在留に関し、他の外国人にはない、様々な優遇措置を与えるというものです。
ちなみに、似たような制度は欧米を中心に多くの国で導入されています。

この、「高度人材に対するポイント制による優遇制度」については、以下、法務省のウェブサイトで詳細が確認できますので、こちらも参考にしてください。

・ 高度人材ポイント制度の評価の仕組みは?

・ ポイント制でどんな優遇措置が受けられる?

・ 高度人材ポイント制に関するQ&A集
 

 

■ 「高度人材」ってどんな人材のこと?


日本での在留において、優遇措置を受けられる「高度人材」とはどのような人材なのでしょうか。

法務省による定義では、「経済成長や新たな需要と雇用の創造に資することが期待される高度な能力や資質を有する外国人」とされていますが、少しわかりにくいですね。
 

簡単に言ってしまうと、

 

【学術研究者(イ)】・【自然科学系の専門知識や専門技術が必要な技術職(ロ)】・【人文系の専門知識や専門技術が必要な総合職(ロ)】・【事業の経営者や管理者(ハ)】

の三分野・職業に就き

、日本で働く(またはこれから働こうと日本にやってくる)外国人が、以下のようなアドバンテージをもつ場合、その人たちは

「高度人材」

であると認められます。

  • 年齢が若い
  • 収入が高い(=評価されている優秀な人材)
  • 学歴が高い(学士号・修士号・博士号にポイントが与えられる。日本国内の大学や大学院を卒業していると付与されるポイントがさらに加算される。)
  • 日本国内・海外において著名な学術研究などの実績がある
  • 日本語能力が高い
  • 日本国内で会社を経営するなど日本に投資をしている。

等等、他にも様々な条件の下、評価がされます。

それぞれのカテゴリー(職種/研究者・技術職・総合職・事業の経営者や管理者)ごとに、   ポイント計算表(エクセル)(法務省) が公表されています。

このポイント計算表では、各カテゴリーごとに様々な評価項目が設定されていて、項目に該当するとポイントが与えられます。


このように、該当する項目ごとにポイントを積み上げていき、最終的に合計ポイントが一定以上に達した場合は、その人は「高度人材」に該当する外国人であると判断することができます。

実際に日本での在留における優遇措置を受けられる「高度人材」に該当するかどうかは、以下のビザ申請時に審査を行う入管局が個別のケースごとに決定することになります。

  • 在留資格認定証明書交付申請 (※ 海外から初めて外国人を日本に呼び寄せる場合のビザ申請手続き

 

  • 在留期間更新許可申請 (※ これまで「高度人材」として日本に在留していた外国人が期間満了に伴ってビザの更新を申請する手続き

 

  • 在留資格変更許可申請 (※ これまで「高度人材」ではなく、その他のビザで日本に在留していた外国人が転職など仕事内容の変更に伴いビザの種類を「高度専門職」に変更申請する手続き


つまり、「高度人材」の条件に該当する外国人が、在留資格認定証明書交付申請か、在留期間更新・在留資格変更許可申請を行うときに、入管局に対して、自身が「高度人材」である事を申告して申請をし、それが認定されれば、高度人材としての優遇措置を受けられることになります(高度人材であることを証明する様々な立証資料の提出が必要です)。

なお、「高度人材」と認定された外国人に付与される在留資格「高度専門職」という在留資格は「高度専門職1号」「高度専門職2号」に分かれています。
「高度専門職2号」は「高度専門職」として3年以上の国内在留歴があることが要件ですので、初めて海外から招へいする外国人や、新たに「高度人材」としてポイントを満たし、在留資格変更を行う外国人は「高度専門職1号」に該当します。
 

■ ポイントがどれくらいあれば、「高度人材」として認定してもらえる?


 【学術研究者(イ)】・【自然科学系の専門知識や専門技術が必要な技術職(ロ)】・【人文系の専門知識や専門技術が必要な総合職(ロ)】・【事業の経営者や管理者(ハ)】

のカテゴリーともにいずれも、高度人材として認定されるのは合計70ポイント以上(高度専門職1号・2号)です。

合計ポイント数が最低70ポイント必要ですので、65ポイントを取っていたとしても、「高度人材」として認定してもらうことはできません。

■ 「高度人材」と認定されたらどんな優遇措置(メリット)がある?


外国人の方にとっては、この点が一番気になるところだと思います。

◎ 主な優遇措置(メリット)

 日本での活動内容が複合的に認められる。(副業に資格外活動許可が不要)

日本に在留する外国人は、自身が持っている在留資格に基づいて、その在留資格で従事することが許されている活動のみを行うことできます。
副業を目的として、他の在留資格の活動を複合的に行うことはできません(「永住者」や「日本人の配偶者等」などの身分に基づく在留資格の保持者は除く)。


例外として、資格外活動許可を得れば、本来の活動以外の就労活動を行うことも可能ですが、資格外活動許可は入管庁に申請を行い、審査の結果、特別に許可を得られた場合にのみ与えられるものです。

また、容易に許可を得られる留学生などと異なり、「技術・人文知識・国際業務」といった、一般的な就労系の在留資格を保持している外国人の資格外活動許可については、副業先の資料や活動内容などを提出し、詳細な審査がされた結果、許可の可否が下されるものであって、簡単に取得できるわけではありません。

しかし、「高度専門職」を取得した高度外国人材に対しては最も大きな優遇措置の一つとして、「高度専門職」として主に行う就労活動のほかに、複合的な就労活動(副業)を行うことが認められているのです(資格外活動許可は不要)。

 

高度専門職1号、2号には(イ)、(ロ)、(ハ)の区分があり、(イ)は「高度学術研究活動」、(ロ)は「高度専門技術活動(技術職・総合職)」(ハ)は「高度経営・管理活動」「主に従事する活動内容」とされています。

それに加え、「併せて行うことができる活動」として、各々の関連する分野における、起業活動や他の所属機関での就労活動というものも並行して行うことが許可されているのです。

たとえば、高度専門職1号(イ)を保持し、日本国内のA機関で研究職として就労している外国人が、自身の研究活動に関連した会社Bを新規に立ち上げる、またはB機関において関連する研究活動を副業的に行うなどの事案が該当します。

このように、高度専門職の場合、他の在留資格では資格外活動許可なしには許されない、複合的な就労活動(副業)が行えるというのが大きなメリットの一つです。

なお、この複合的な就労活動については、高度専門職1号の場合、併せて行うことができる活動(従たる活動)は、主に従事する活動内容(主たる活動)に関連したものでなければなりません。

一方、高度専門職2号については、併せて行うことができる活動は、主に従事する活動内容と

関連性がなくてもかまいません。

※  ただし併せて行うことができる活動の内、

在留資格「外交」、「公用」、「研究」、「経営・管理」、「企業内転勤」、「技能実習」で行う活動は除きます。

 

 許可される在留期間が一律「5年」(高度専門職1号)および無期限(高度専門職2号)

 永住許可に必要な日本在留期間が10年から「1年」または「3年」に短縮される。

現行では、永住者(日本に半永久的に在留できる・期間更新が不要)への申請を行なうためには、申請時において、日本において継続した「10年以上」の在留期間が必要です(就労系の在留資格から永住者へ変更する場合)。

この10年以上という在留要件が、「高度人材」として認定された外国人(高度人材としての活動を継続している場合に限定)については、最短1年(高度人材ポイント80点以上の取得者)または3年(同70点以上の取得者)に短縮されます。

 高度人材の配偶者に対して、就労制限が解除される。

現在、日本で就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)を保持して在留する外国人の配偶者が、「家族滞在」ビザを保持している場合、配偶者の就労活動には労働時間や職種などの制限がかかります(就労し収入を得てもよい労働時間は週28時間以内・公序良俗に反しない活動・職種であること)。

しかし、「高度人材」である外国人の配偶者(家族滞在ビザで在留)であれば、「教育」、「技術・人文知識国際業務」の範囲内で定められている活動内容(職種)で就労する場合に限って、「週28時間以内」の縛りは撤廃され、フルタイムで就労することができるということです(公序良俗に反する活動は不可)。

つまり、「高度人材」である外国人の配偶者(「家族滞在」ビザを保有)がフルタイムで勤務しようと希望した場合は、配偶者自身が就労ビザ申請のスポンサーになってくれる企業を探し、自身の就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)を取得するといった面倒なプロセスを経ることなく、就労することができます。

また、その場合、「技術・人文知識・国際業務」などの就労系の在留資格を取得する場合に必要な、外国人本人(配偶者)に求められる学歴や職歴などの要件を満たす必要もありません。
在留資格「教育」や「技術・人文知識・国際業務」などの範囲内である就労活動を行うのであれば、学歴や職歴に関係なくフルタイム勤務の下、それらの業務に従事することが可能です。


 一定の要件*を満たした高度人材が7歳未満の子を育てている場合、妊娠中の高度人材の配偶者または高度人材本人の介助を行う場合、高度人材の実親または配偶者の親と共に来日、またはすでに日本に入国・在留している場合は親の呼び寄せが認められる。

一定の要件を満たした高度人材と配偶者が7歳未満の子(養子含む)を養育している、妊娠中の高度人材の配偶者あるいは高度人材本人に対する介助を行う場合、本人か配偶者の親(養親含む)を帯同して来日する、または、すでに日本に在留している外国人が在留資格変更によって「高度人材」と認められた場合は海外から親(実親・養親いずれも可/父母とも可ただし外国人材または配偶者、いずれかの親のみ可/在留資格は「特定活動」)を呼び寄せることができます。
※  高度人材ポイント制度が施行される前は外国人の配偶者や子を除き、親などの親族についての帯同や招へいは一部例外を除いて原則不可能でした。


一定の要件*
● 高度人材と配偶者の7歳未満の子(養子含む)を養育している
● 妊娠中の高度人材または配偶者の介助などを行うこと
● 高度人材の世帯年収が800万円以上であること
● 親は高度人材と同居すること
● 高度人材または配偶者のいずれかの親(実親・養親・両親可)のみ可

ただし、注意点として、現時点で、これら高度人材の親に対して許可される日本での滞在期間は最長「7年」です。
「子供が7歳くらいになるまでは大変だろうから、親御さんに来日してもらい養育を援助してもらってください」という趣旨の制度なので、子が7歳以上になった時点で親の在留期間の更新(ビザの延長)は認められません。


 一定の要件を満たした高度人材が来日するとき、海外で雇用していた家事使用人(家政婦・ベビーシッターなど)を帯同、または入国後に海外で雇用していた家事使用人以外の者を雇用することができる。
 


一定の要件*

■ 外国で雇用していた使用人を継続雇用する場合(入国帯同型)

● 高度人材の年収が1千万円以上であること
● 帯同できる使用人の数は1名まで
● 家事使用人に支払う給与は月額20万円以上であること
● 高度人材と同時に入国する場合は、使用人が入国前1年以上、その外国人材に雇用されていた者であること
● 高度人材が先に入国する場合は、使用人が入国前1年以上、その高度人材に雇用され、かつ、その高度人材が入国後、引き続きその高度人材またはその高度人材が来日前に同居していた親族に雇用されている者であること。
● 高度人材が離日・出国する場合、共に出国することが予定されていること

■ 外国で雇用していた使用人以外を雇用する場合(家庭事情型)

● 高度人材の年収が1千万円以上であること
● 帯同できる使用人の数は1名まで
● 家事使用人に支払う給与は月額20万円以上であること
● 家庭の事情(申請時において、13歳未満の子または病気などで日常の家事に従事することができない配偶者を有すること)が存在すること


 

 入管手続きの優先処理 

高度人材に関する入管庁の入国管理手続き(・在留資格認定証明書交付申請/高度人材の海外からの招へい・在留資格変更許可申請/高度人材へのビザ変更・在留期間更新許可申請/高度人材のビザ更新などの審査)については、他の在留資格に関するそれよりも

優先して処理がされます。
 

したがって、「技術・人文知識・国際業務」などの多くの就労系の在留資格に比べて、申請から審査・結果の通知までの所要期間が大幅に短縮されるのが一般的です。

入管庁の公開情報によると、在留資格認定証明書交付申請については申請後10日以内、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請については申請後5日以内を目安に審査・可否を決定する、とされています。

以上のような優遇措置をみても、在留資格「高度専門職」(高度人材)の取得は外国人本人にとって大きなメリットがあります。

しかし、基準を満たす外国人社員であっても、この制度自体を知らない人々も多いため、雇用主サイドから情報を提供し、本人が希望すれば積極的に取得をサポートされてはいかがでしょうか。

優秀な外国人材の定着と会社に対する満足度につながるのではないかと思います。

高度人材については以下のQ&Aでも解説しています。



 2021年5月更新

【 Q24 】
2017年8月から、社会保険の年金受給資格期間がこれまでの「25年」から「10年」に短縮されたとききました。この改正に伴い、当社に在籍する外国人社員の雇用管理について、会社として何か注意する点はありますか。

【 A 】

注意点はあります。

 

2017年8月1日に施行された、「年金受給資格期間短縮法」(年金機能強化法の一部改正)によって、それまで25年とされていた老齢年金の受給資格期間が、「10年(120月)」に短縮されました。

  必要な資格期間が25年から10年に短縮されました (日本年金機構ウェブサイト)

  厚生労働省リーフレット 

ちなみに「年金の受給資格期間」とは、以下のような期間を指します。


● 国民年金の保険料を納めた期間や保険料納付を免除されていた期間

● 被雇用者として、船員保険を含む厚生年金保険や共済年金保険に加入した期間

● 年金制度に加入していなくても、資格期間に加えることができる期間 *カラ期間)
 

 


*「カラ期間」とは?

過去に、国民年金に任意加入できる期間であったが、加入していなかった場合などで年金受け取りに必要な「受給資格期間」に含めることはできるが、老齢基礎年金の年金額の計算の対象とならない期間。


こうした「受給資格期間」が、10年に達した場合、以前は受け取ることができなかった、老齢基礎年金・老齢厚生年金・退職共済年金を受け取れるようになりました。

ただし、この改正は、年金を受け取る資格を得るために必要な期間が、最短で10年になったということであり、実際に受け取れる年金の額は個人が保険料を納付した額により異なります。

ちなみに、保険料を40年納付した人は満額の年金額を受け取れますが、10年納付した人の場合、満額のおよそ1/4が支給されます。

この改正は、もちろん日本人以外の外国人年金加入者も対象となります。

この改正に伴い、日本の社会保険に加入している、または社会保障協定締結国から派遣されている外国人社員を雇用する企業が、注意するポイントを後述します。

「社会保障協定」の詳細は、当ブログ・以下のリンクで確認してください。

2017年8月以前は、日本の老齢年金を受け取るために必要な受給資格期間が25年以上必要だったため、日本で就労し、社会保険に加入しても(25年の)期間を満たさずに帰国する外国人は大半が脱退一時金を請求、それによって日本の年金請求権を喪失していました。
ただし現在は、日本で10年以上就労して帰国する場合や、社会保障協定締結国の外国人で、自国と日本の年金制度で合算した加入期間が通算して10年以上になる場合、将来、日本の老齢年金を受給できるようになったため、脱退一金の請求を行わずに帰国するという選択肢を選択している方も多いと思います。

以下に、社会保障協定締結国出身の外国人が日本の年金受給権を得るために必要な受給資格期間の通算に関し、2017年8月以前と以降の具体的な取扱の違いについて、例をあげておきます。

加入期間の通算について、対イギリス・対韓国の場合、期間通算はされませんのでご注意ください。

2017年8月「以前」は?

アメリカの年金(最低加入期間は10年)に5年加入+日本の年金(最低加入期間は25年)に5年加入(両方に合計10年加入)

  アメリカの年金は、最低加入期間10年を満たすので受給できる。しかし、日本の年金は最低加入期間25年を満たさず、受給できない。
(脱退一時金を請求しなかった場合、日本の年金は掛け捨てになっていた。)

  2017年8月「以降」は?

アメリカの年金(最低加入期間は10年)に5年加入+日本の年金(最低加入期間は10年)に5年加入(両方に合計10年加入)

   アメリカの年金も日本の年金も、最低加入期間10年を満たすので、日米両方の年金を受給できる。
(脱退一時金を請求しない場合は、日本の年金請求権を維持し将来、老齢年金を受給できる。)

以上のように、日本で社会保険に加入していた外国人社員が帰国するときに、会社は、

●  社会保険の「脱退一時金」を請求するのか
●  将来、日本の年金を受給するために年金請求権を維持するのか

あらかじめ本人の希望を確認し、脱退一時金を請求する場合は手続方法を、請求せずに帰国し将来、日本の老齢年金を受け取る場合は、65歳になった時点で日本の年金機構に対して、本人が行う年金受給請求について概要を説明しておく必要があります。

「脱退一時金」の詳細は、当ブログ・以下のリンクで確認してください。


 2021年5月更新

【Q25】
弊社の外国人社員(在留資格は「技術・人文知識・国際業務」)をやむなく解雇することになりました。解雇理由は本人に問題があるものではないため、再就職や解雇後の手続がスムーズに進むよう、会社として出来るだけのサポートをしたいと思います。解雇する外国人社員のために必要な手続きはどのようなものがありますか。

【 A 】

外国人社員の解雇については、いくつか日本人社員と異なる手続き、また、気を付けていただきたい点があります。

まず、外国人の失職は直ちに本人の就労ビザの維持や延長に影響を及ぼします。これまで勤務してくれた外国人社員のためにも解雇は慎重に検討し、やむを得ず解雇しなければいけない場合は、以下の手続とサポートを行ってください。 

① 退職証明書を発行する。


退職証明書は外国人社員が退職後に転職先で行う、就労資格証明書交付申請(転職先における就労活動に関する許可)や在留期間更新許可申請(就労ビザ延長)時に入管庁に提出する必要があります。

社員の退職時に会社の名前で発行し、原本を退職者に交付します。

適正な退職証明書の様式は以下の東京労働局のウェブサイトから入手できます。

 

退職証明書・様式をダウンロード(労働基準法関連)宮城労働局 ※ 日本語

 様式集の「退職証明書」をダウンロードします。

 

② 離職証明書(離職票)を発行するとき、「離職理由」の記載に注意する。


退職時に会社が発行する雇用保険の離職証明書には、「離職理由」について

「3.事業主からの働きかけによるもの」(1)解雇(重責解雇を除く。)の欄にチェックをします。

解雇するにもかかわらず、「4.労働者の判断によるもの」(自己都合退職)にチェックをしてしまうと、結果的に雇用保険の失業給付(基本手当)の受給開始時期が長期化してしまいます。

※  解雇によって退職した場合、申請から失業給付が支給されるまでの待機期間は約1か月間ですが、自己都合退職者の場合は約3か月間となります。
 

③ 失業給付(雇用保険の基本手当)の申請手続きについて、退職社員に案内をする。


退職時に次の就職先が見つかっていない場合、退職者は雇用保険の失業給付(基本手当)の受給申請を行うことになると思いますが、それには前述②の退職した雇用主から発行される「離職証明書」が必要です。

注: 「離職証明書」は①の「退職証明書」とは別のものです。

ちなみに、申請にあたり、御社における在職期間によっては、御社から発行される離職証明書に加えて、それ以前に勤務していた前職から発行された複数の離職証明書の提出が必要になるケースがあります。

なぜなら、失業給付を受給するためには、解雇された社員(特定受給資格者といいます)の場合、

職前の1年間に雇用保険に加入していた時期が6か月間

(自己都合退職者の場合は離職前の2年間に12か月の被保険者期間)以上あることが要件であり、それを証明する離職証明書をハローワークに提出して給付申請を行うのですが、もし、今回、御社が当該外国人社員を

6か月以下の在職期間

で解雇する場合、御社における加入期間だけでは受給要件を満たさないことも考えられるからです。

したがって、そのような場合には退職者に、失業給付の申請を行う際、御社発行分に加えて(合計6か月以上の加入期間を証明する)前職会社発行分の離職証明書も併せて持参の上、(退職者の住所地を所轄する)ハローワークに行くよう退職時に丁寧に説明してください。

雇用保険・失業給付(基本手当)について  (厚生労働省)

退職社員に退職後、入管庁あてに「契約機関・活動機関に関する届出」を行うよう指導する。


退職者に対しては、退職後、東京出入国在留管理局に対し「契約機関・活動機関に関する届出」を必ず行うよう指導してください。

この届出は、勤務先を退職したとき及び新しい会社へ転職したとき(いずれの場合も14日以内)に外国人本人が入管庁に対して必ず行わなければいけないものです。

この届出を行わず放置した場合、退職社員にとっては将来、在留期間更新申請(就労ビザの延長)時の審査に悪影響がある、また、最悪の場合は在留資格の取消対象となる可能性もあります。そのリスクを伝え、御社を退職および新しい会社に就職したら必ず行うように指導してください。

入管庁への届出については、当ウェブサイトの以下のページで詳しく解説しています。

・ 就労ビザ申請以外にもある!入管庁・ハローワーク・年金事務所に対する様々な届出

在留カード等に関する手続き案内について (法務省) 

注: 退職者が保持する在留資格ごとに届出様式が異なります。

「技術・人文知識・国際業務」の場合は上述の「契約機関に関する届出」を行いますが、「経営・管理」や「企業内転勤」などの在留資格の場合は「活動機関に関する届出」を行います。

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