初めての外国人雇用・労務管理編◆就業規則の基礎知識

 

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このページでは、就業規則の基礎知識についてQ&A方式で解説しています。

 

※ 該当項目をクリックしていただければ文頭にジャンプします。

Q1 

就業規則とは何ですか。全ての会社が作らなければいけないのですか?

Q2 

就業規則にはどんな事を記載しなければいけないのですか?  

 

Q3 

就業規則は作成して社内で保管しておくだけでいいのですか?何か付随する手続きはありますか?  

 

Q4 

労働者個人に渡す「雇用契約書」の中で就業規則と違う内容の規定を記載してもいいですか?その場合、雇用契約書の効力はどうなりますか?   

 

Q5 

就業規則を書店で購入したヒナ型のサンプルフォーマットを利用して作成したいと思います。大丈夫でしょうか?

  !.gif 【 必見! ヒナ型就業規則の落とし穴 】 

 

Q6 

就業規則の作り方がよくわかりません。どのようにして作ればいのでしょうか。誰かに頼むとすると誰に頼めばいいのでしょうか。

 

 

【Q1】 就業規則とは何ですか。

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「会社の憲法」とも言える、会社のルールブックでとても大切なものです。

内容は、会社の経営理念から、賃金の支払い方法、労働時間などに至るまで、その会社の従業員に適用される、決まりごと全てが記載記載されていて法律的にも効力を持つ社内規則です。

全ての会社で作らなければいけない訳ではありませんが、常時「10人以上」(アルバイトやパートなど非正規労働者全て含んだ数字です。)の労働者を使用する職場では必ず作成して、所轄の労働基準監督署に届出をしなければいけません。 【 労働基準法第89条 】


ただし、例え従業員数が10名以下の事業所の場合でも、就業規則をきちんと作成し、社員に周知して、その事業所で守らなければいけないルールを明確にしておくことは、労使間のトラブルを未然に防止し、また、社員のモチベーションをアップするためにもとても大切な事です。 

また、昨今、「サービス残業」や「名ばかり管理職」問題など、労働紛争の増加に伴って不幸にも社員が会社を告発するケースが増えています。

不幸にもこのような紛争が表面化して、労働基準監督署による調査が行われた場合には、まず、賃金台帳・労働者名簿・出勤簿などの基本的な記録と共に、一番最初に、この「就業規則」の提出を求められます。

そういった対策のためにも、従業員が10人以下の事業所であっても就業規則を完備しておくことはとても大切なことです。

 

 

【Q2】  就業規則にはどんな事を記載しなければいけないのですか。

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就業規則に記載しなければいけない項目には、下記ように、必ず記載しなければいけない、1. 絶対的必要記載事項と、その会社が(その部分について)取り決めているのなら必ず記載しなければならない、2. 相対的必要記載事項とに分けられます。【 労働基準法第89条 】 

 

■ 1. 「絶対的必要記載事項」とは? 


  • 始業及び終業の時刻
  • 休憩時間、休日、休暇
  • 労働者を2組以上に分けて交替で就業させる場合においては就業時転換に関する事項  ※ シフト制のもとに就業するときの労働時間のことをいいます。
  • 賃金(臨時の賃金等を除く*賞与等の事)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
  • 退職に関する事項 

 

■ 2.「相対的必要記載事項」とは? 

 

  • 退職手当の定めをする場合は、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
  • 臨時の賃金等(退職手当を除く)、及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
  • 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においてはこれに関する事項
  • 職業訓練に関する定めをする場合においてはこれに関する事項・安全及び衛生に関する定めをする場合においてはこれに関する事項
  • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においてはこれに関する事項
  • 表彰及び制裁に関する定めをする場合においてはこれに関する事項
  • 以上に掲げるもののほか、当該事業場の労働者の全てに適用される定めをする場合においてはこれに関する事項

 

就業規則には、上記の、必ず記載しなければいけない、1. 絶対的必要記載事項と、御社が(その部分について)取り決めているのなら必ず記載しなければならない、2. 相対的必要記載事項を全て盛り込む必要があります。

 


【Q3】  就業規則は社内で作成しておくだけでいいのですか。 何か付随する手続きがあれば教えて下さい。

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就業規則の作成(変更も同じ)は、その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときにはその労働組合、こういった労働組合が存在しない場合には、「労働者の過半数を代表する者」の意見を聴いて、作成・変更した就業規則に、この者の意見を記した書面を添付した上で、所轄の労働基準監督署に届出をしなければなりません。【 労働基準法第90条 】 

  

次に、労働基準監督署に届け出を済ませた就業規則は、下記の方法でその職場で働く労働者に周知することになっています。【 労働基準法施行規則52条の2 】 

 

例えば、

 

  • 常時各事業場の見やすい場所へ掲示するか又は備え付ける。
  • 書面として労働者に交付する。
  • 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずるものに記憶し、かつ各事業場に労働者がこれらの記録を常時確認する機器を設置すること。

 

のような方法によってです。

作成して労働基準監督署の届出をした就業規則は、フロッピーディスクやCDに保存しそれらをいつでも再生できるパソコンを常時労働者に提供すること、またはイントラネットでいつでも就業規則のソフトファイルを閲覧できるようにしておかなければいけません。

 

 

【Q4】  労働者個人に配布する「雇用契約書」において、就業規則の内容と異なる規定を記載してもいいですか? その場合、雇用契約書の効力はどうなりますか?  

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日本の労働法規では、労働者の労働条件は以下の4点によって決定されることになっています。

 

  1. 労働基準法
  2. 労働協約(労働組合と使用者間で締結される労働条件その他について文書による協定)
  3. 就業規則
  4. 労働契約

 

また、この4点については、労働基準法また労働契約法(平成20年3月1日施行)において、それぞれの優先順位が定められていて、その順位は上から、以下のとおりとなります。

 

  1. 労働基準法
  2. 労働協約 
  3. 特約のある労働契約 
  4. 就業規則
  5. 特約のない一般の労働契約

 

つまり、労働者の労働条件については、最初に労働基準法で定められた内容があてはめられ、その次に労働協約(労働組合と使用者である会社が協定する協定)から、最後の、「(個々の労働者と個別に交わす)特約のない一般の労働契約」の内容によって決定されることになります。

 

 例えば...

優先順位第4位である就業規則で、「残業時間の割増率は1割とする。」と定めたとしても、労働基準法(優先順位第1位)で規定されている、「残業時間の割増率は2割5分増以上」という労働条件が適用され、その就業規則のその部分は、「自動的に無効」になるということです。

 

以上のことから、「特約のない一般の」労働契約の場合(優先順位第5位)では、就業規則に明記されている内容と異なる雇用契約書を作成して個別の労働者に交付したとしてもその部分に関しては、労働契約の記載内容は自動的に無効とされ、就業規則の内容が優先されて適用されることになります。

 

ただし、2008年に施行された、「労働契約法」の規定によって、「特約のある労働契約」(優先順位第3位)を結んだ場合では、逆に労働契約のほうが就業規則に優先して適用されることになります。


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特約のある労働契約とは ⇒ ある一部分の労働条件などについて、就業規則の決まりとは違う取扱をすることを明示している(=特約条項を含んでいる)労働契約のことです。  

 

特約のある労働契約を結ぶ場合以外に、通常いったん就業規則を作成して会社の憲法を決めてしまったらその決めてしまった事項については、個々の雇用契約について就業規則を下回る労働条件を規定して労働者に通知することは許されません。
もしも、その下回る労働条件を有効にしようとする場合は、就業規則を変更して再度所轄労働基準監督署に届出をしなければならないのです。

 
以上、就業規則を作成する場合にはあまりにも細部にわたって規定を作り記載してしまうと後々身動きがとれなくなってしまう可能性もあります。
就業規則はある程度柔軟性を持たせる部分ときっちりと規定をおかなければならない部分とを区別して作成しなければなりません。

 

 

【Q5】  就業規則を作らなければいけません。書店で購入したヒナ型のフォーマットを使用し内容を自社の規定に置き換えて作成しようと思いますが大丈夫でしょうか。

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 !.gif 【 必見! ヒナ型就業規則の落とし穴 】 

 

就業規則を書籍やインターネットのサイト上で入手できるサンプルフォーマットを使って作成しようとするときに陥りやすい失敗として下記のようなものがあります。

 

■  失敗例 @   

正社員用とパート・アルバイト等非正規社員用の就業規則を区別していない。 


 

正社員用とパート・アルバイト等の非正規社員用の就業規則を区別しておかないと、パートやアルバイトに対する非正規社員に対しても、正社員と同様に賞与や退職金、福利厚生などその他正社員対象に想定している権利が発生してしまいます。


ヒナ型フォーマットには、「パート社員などの非正規社員に対しては別に定める。」と規定してあるものが多いようですが、この場合、別にパート・アルバイト用の就業規則をきちんと作成して正社員ののものと同じように労働基準監督署への届け出・パート/アルバイト社員への周知をしておかなければ全く意味がありません。


「別に定める」としておきながら、その肝心の、「別に定めた」パート・アルバイト用の就業規則自体が存在しない会社も多々あるようです。
そのような場合には、最低限の対応として、正規社員向けの就業規則の中で「●●の部分についてはパート・アルバイト社員に対しては適用除外とし、パート・アルバイト社員に関しては本条によらず個別の労働契約による。」などと記載しておくことが必要です。

 

 

■  失敗例 A 

必要以上の割増賃金を支払う規定を記載している。



ヒナ型就業規則には、割増賃金の支払いについて、

 

「所定外労働時間」を超えて労働した分については、25%増しの割増賃金を支払う。」


というように記載されているものが多く散見されます。

このように記載してしまいますと、所定労働時間(法定ではありません。あくまでも会社が一日の労働時間として任意に規定している労働時間です。)が8時間未満の場合、労働基準法で決められた基準以上に割増賃金を支払わなくてはいけなくなってしまいます。 

 

労働基準法では1日に8時間を超えて時間外労働をした場合には25%増しの時間外労働賃金を支払うよう規定していますが、1日の労働時間が8時間を超えない場合には25%の割増分を支払う必要はありません。(通常の賃金を支払えばいいのです。)
資力が豊富な大企業はこれでもよいでしょうが、中小・零細企業の場合だとこれではあまりにも負担が大きいのではないでしょうか。

 

 例えば... 
午前9時〜午後5時(休憩1時間)が所定労働時間の場合で、午後7時までの時間外労働を行った労働者への割増賃金の支払いはどうなるのか。 

 

単純に、「所定労働時間外は25%増の時間外労働賃金を支払う。」というヒナ型の規定に従うと、所定労働時間(この場合7時間)」を越えた分の2時間分に対して25%の割増賃金を支払わなければなりません。


対して、就業規則や給与規程で、労働基準法で時間外労働となる、「実働8時間を超えて労働した分に対して割増賃金を支払う。」と規定しておけば、25%アップの賃金を支払うのは実動8時間を超えた、この場合、1時間分で残りの1時間は通常の賃金を支払えばよいことになります。


案外、誰でも気づくような点なのですが、ヒナ型就業規則を自社仕様に修正することなく使っていらっしゃる企業様においては、この点をそのままにして基準以上の割増賃金を支払い続けている場合も多いようです。一度、自社の就業規則もよくご確認下さい。

 

 
■  失敗例 B 

必要以上の休職期間を規定している。


 

ヒナ型就業規則の多くは、休職期間について「1年」や「1年6ヶ月」といった中小企業の実情に合わない長期の休職期間を定めているものも多いようです。(おそらく大企業向けに作られたものだと思います。)中小企業に1年や1年半もの長期の休職期間を与え、その間休職者の社会保険料などを負担し続ける余力が果たしてあるのでしょうか。

 

この部分を中小企業の実情に合わせて例えば、「3か月〜6か月」等の適当な長さに直しておくことも重要ではないかと思います。 

 

以上、市販やインターネットで簡単に入手できる就業規則のヒナ型を利用して、内容の吟味をせずに安易に就業規則を作ることは、労働紛争が爆発的に増加してきた現在では大きなリスクをはらんでいます。


もしも、どうしてもこういったヒナ型を使って就業規則を作る場合には、そういったリスクをきちんと回避するために、後々トラブルのもとにならないよう労働基準法などの労働法規をしっかりと勉強して、会社にとっても従業員にとってもメリットのある、ご自身の会社の実情に応じた、適正な就業規則を作成していただきたいと思います。

 

 

【Q6】  就業規則の作り方がよくわかりません。どのようにして作ればいいのですか。 もし誰かに頼むとすると誰に頼めばいいのでしょうか。

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就業規則は、市販のヒナ型を使えば簡単に出来てしまうと思われがちですがそのような既成のヒナ型就業規則は前記Q5で述べたような落とし穴が潜んでいます。


いざというときに会社と従業員を守ってくれる就業規則を作るには、使用者側である会社と社員の皆さんがお互いに話し合って、協力し合い、御社の実情にマッチした独自の就業規則を作成することがとても大切です。
 
ただ、本来の業務にお忙しい皆様が労働基準法始め、沢山の法律や行政の通達などを一から勉強して間違いのない就業規則を作成することが困難であるのも事実です。


ですので、実際に就業規則を作成し、作成した就業規則をどのように上手く運用していくかは、あくまでも主人公である労使の皆さまですが、作成に際して、わかりにくい法律面でのアドバイスや手のかかる手続き、その後の運用面でのサポートに関しては人事労務管理のプロである私達のような社内規程作成の専門家・社会保険労務士が皆様のお役に立てるはずだと思います。


社会保険労務士は、人事労務管理コンサルティングを含む労働・社会保険に関する各種法律業務を行う厚生労働省から認可された我が国唯一の国家資格者です。


当事務所では就業規則に関し作成や届出はもちろん、作成後の運用に関するアフターサポートも作成業務と同様に心を込めて行わせていただきます。
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