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2023年1月・更新 
このページでは、外国人を雇用する場合の健康保険に関する手続きや注意点について説明しています。
このページで、「健康保険」と呼んでいるのは全国健康保険協会(協会けんぽ)が運営する中小企業向けの健康保険制度です。

会社員以外の自営業者などが加入する国民健康保険とは異なります。 
国民健康保険制度含め、健康保険について給付内容などの更に詳しい情報をご覧になりたい方は、下記厚生労働省のホームページをご覧ください。

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健康保険(協会けんぽ)に加入しなければならない使用者(事業主)とは?

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健康保険に「加入させなければならない労働者」、「加入させなくてもよい労働者」とは?

使用者(事業主)も健康保険に入れる?

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外国人労働者の海外に住む家族は日本の健康保険に入れる?
法改正により、2020年4月以降、扶養家族として日本の健康保険に加入できるのは、外国人被保険者に扶養され、国内に住所(住民票)がある親族が対象となりました。

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健康保険の保険料はいくら?
健康保険料のシミュレーション

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社会保険加入が外国人労働者の就労ビザ更新の条件になる? 


 1.健康保険に加入しなければならない使用者(事業所)とは?


政府(2008年10月以降 全国健康保険協会=協会けんぽ)が運営する健康保険には、基本的に法人事業所であれば、業種・従業員数に関係なく必ず加入しなければならず、このような、自動的に健康保険への加入が適用される事業所を強制適用事業所といいます。

たとえば、一人会社といわれる取締役1名で法人を設立している会社(法人)も設立と同時に、本来は必ず健康・厚生年金保険(両方セットで加入)に加入しなければなりません(強制適用事業所)。

次に、法人化されていない、個人営業の事業所の場合は以下のとおり、雇用する人数や行う事業の種類によって、必ず加入しなければならない(強制適用事業所)か、または加入の有無を任意に選択できる任意適用事業所の二つに分かれます。

1.強制適用事業所
必ず加入しなければなりません。  

① 法人・国・地方公共団体の事業所(代表者1名の場合も含む)
② 常時従業員を5名以上雇用する個人の事業所(農林水産業・畜産業・サービス業等を除く)
③ 常時従業員を5名以上雇用する【法律・会計にかかる業務を行う事業】を行う個人の事業所
     * ③については2022年10月1日以降
       * 【法律・会計にかかる業務を行う事業】弁護士・沖縄弁護士・外国事務弁護士・公認会計士など
④ 船員が乗り組む一定の条件を備えた汽船や漁船などの船舶

2.任意適用事業所

上述の強制適用事業所以外の事業所で、要件を満たした事業所において、使用者と従業員の半数以上がが社会保険への加入を希望し、厚生労働大臣に申請、認可を受けることによって加入できる事業所です(法律上、絶対に加入しなければならない事業所ではありません)。
なお、経営する事業主が外国人か日本人かにかかわらず、上述の規定は同様に適用されます。

・ 健康保険・厚生年金保険の適用事業所と被保険者 (日本年金機構)

 


2.健康保険に「加入させなければならない労働者」、「加入させなくてもよい労働者」とは?


前述の、健康保険の「強制適用事業所」に雇用される労働者で、次の「適用除外者」(社会保険の適用から除外される労働者)に該当しない場合は、全て「被保険者」(加入させなければならない労働者)となります。

つまり、外国人労働者であっても、健康保険の適用事業所に雇用される従業員が、日本人労働者と全く同様の雇用条件で働いてるのであれば当然に、健康保険(+厚生年金保険)に加入させなければならない労働者となります。

では、まず、健康保険の適用から除外される「適用除外者」とはどのような人たちのことなのかみていきましょう。

■ 「適用除外」に該当する労働者(=加入させられない労働者)

① 船員保険の被保険者 
② 所在地が一定しない事業所に使用される人 
③ 国民健康保険組合の事業所に使用される人
④ 厚生労働大臣、健康保険組合または共済組合の承認を受けて一定期間、国民健康保険の被保険者になった人
⑤ 長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の被保険者等
⑥ 季節的業務に使用される人(継続して4か月を超えて使用される場合を除く)。
⑦ 臨時に使用される者であって、次の要件に該当する人
  イ)日々雇い入れられる者
  ロ)2か月以内の期間を定めて雇い入れられる者
⑧ 臨時的事業の事業所に使用される人(継続して6か月を超えて使用されるべき場合を除く)。

 ⑥、⑦、⑧については日雇特例被保険者として加入する場合は適用除外者とはなりません。

その他、実際の運用では以下のような条件の下で働く労働者についても健康(厚生年金)保険には加入させなくてもよいことになっています。

■ その他、「健康保険に加入させなくてもよい労働者」

  • 社会保障協定締結国出身者で、出身国の健康保険制度に加入している外国人労働者
     
  • 従業員(被保険者数)が101名以上の事業所の場合

従業員数(フルタイム従業員および週稼働時間がフルタイム従業員の3/4以上の従業員数の合計)が101名以上の事業所で働くパートタイム従業員について以下の要件を満たした場合は適用除外となります。

① 1週間あたりの決まった労働時間が20時間を超えない
② 1か月あたりの決まった賃金が88,000円を超えない
③  雇用期間の見込が2ヶ月を超えない
④  夜間・通信・定時制「以外」の学生である * 全日制の学生

また、従業員数が100名を超えない事業所の場合でも、社会保険に加入することについて労使間で合意がされている事業所については、上記4点の要件を(全て)上回る従業員が社会保険への加入を希望すれば適用除外にすることはできません。 

外国人労働者によっては、「健康保険だけは入りたいけれど掛け捨てになる厚生年金には入りたくない。」と加入を渋る方も多々いらっしゃいます。

しかし、健康保険と厚生年金保険はセット加入(両方同時に加入手続きを行います)が原則であり、「こちらの保険は入りたいけど、そちらには入りたくない。」というように、従業員の意思と都合で自由に選択することはできません(社会保障協定の該当者を除く)。


3. 使用者(事業主)も健康保険に入れる?


法人の代表取締役や、強制適用事業所に当てはまる個人事業主は、その従業員と共に健康・厚生年金保険に加入できます(被保険者となることができます)。

代表取締役や、強制適用事業所・任意適用事業所の個人事業主が外国人であっても、取り扱いは日本人に対するものと同様です。

なお、強制適用事業所・任意適用事業所以外の個人事業主に関しては、日本人・外国人にかかわらず、健康保険・厚生年金保険には加入できません(国民健康保険・国民年金に加入します)。


4.  外国人労働者が健康保険に入るメリットは何か?
海外に住む家族を被扶養家族にして、家族の医療費をカバーできる? 


 

2020年3月以前は、健康保険法で決められた要件に当てはまれば、日本の健康保険に加入している外国人労働者は海外に在住する親族を被扶養家族として、健康保険に加入させることができました。

しかし、法改正により、2020年4月以降は海外に在住する扶養親族の要件として、従来の外国人被保険者から生計を維持されているということに加えて、

● 日本国内に住所(住民票)を有していること

という要件が追加されました。
つまり、海外に在住している親族については、被保険者本人が扶養していても健康保険の被扶養者とすることができなくなりました。

ただし、日本国外に留学している学生や海外赴任に同行している家族などで、日本国内に生活の基礎があると認められた者については上述の、国内居住要件の例外(海外特例要件)として、健康保険の被扶養者として認定され加入できることになっています。

・健康保険法等の一部改正に伴う国内居住要件の追加と届出と届出 (日本年金機構)

なお、「被扶養家族」として認定される親族は、

・ 配偶者(事実婚含む・年収130万円未満)
・ 子供・親(60才以上の場合は年収180万円未満)
・ 弟妹(年収130万円未満)


などですが、それぞれ他にも同居の有無や収入額など細かい要件が決められており、要件に該当しなければ被扶養者として認めらません。要件の詳細は以下、協会けんぽの該当するページで確認してください。

 ・健康保険の被扶養者とは?(協会けんぽウェブサイト)

ちなみに、被扶養親族の要件は外国人労働者が加入している健康保険が、このページで説明している協会けんぽの健康保険ではなく、企業が個別に加入する各健康保険組合が管掌する健康保険の場合は(協会けんぽ管掌の)健康保険とは要件が異なる場合があるので注意してください。
 

 

外国人被扶養家族の加入要件などに関するお問い合わせについては申し訳ございませんが当方ではお答えできません。恐れ入りますがそれぞれ以下の担当窓口で直接お尋ねください。

・ 企業に勤務されている外国人社員の方
    勤務先の人事担当者の方にお問合せください。

・ 企業の人事担当者の方 
       顧問社労士または加入している健康保険(協会けんぽ又は健康保険組合)窓口にお問い合わせください。

 


5. 健康保険の保険料はいくら? 


健康保険の保険料は、雇用主(会社)と労働者が折半して支払います。

保険料率は、2023年1月現在、40才以下の労働者の場合で、給与額の平均である、「標準報酬月額」×9.81%40才以上の労働者(介護保険料率含む)の場合は11.45%となっています(協会けんぽ/東京都限定・料率は都道府県ごとに異なります)。

計算方法として、まずは、労働者の賃金に支払う月額の賃金総額をもとに、健康保険保険料率表(協会けんぽ)から労働者の「標準報酬月額」(※ 月額給与額の平均のようなもの)を割り出します。


 健康保険料負担のシミュレーション (2023年1月現在)

例えば、 月総額30万円(内1万は交通費)の給与を支払われている労働者(39歳)の健康保険料は標準報酬月額等級表を見ると、第22級の標準報酬月額30万円に該当するので、29,430円となります(2023年1月現在・東京都の場合)

29,430円の内、半分の14,715円ずつをそれぞれ会社と労働者本人が負担することになりますが、この29,430円というのは40才未満の介護保険の被保険者でない労働者に対する保険料です。

同額の給与を受け取る労働者が、40才以上(介護保険の第2号被保険者)の場合は、健康保険料と介護保険料を合わせた保険料を支払うことになり、保険料総額は34,350円となります。(事業主と労働者それぞれ17,175円ずつ負担します。)
 

また、健康保険の保険料は毎年3月に改定されるので、最新の標準報酬月額表を使用して保険料額を控除・納付することが重要です。

なお、賞与(年度累計額の573万円までが対象・2023年1月現在)についても、年3回以内の回数で支払われるものを対象とし、月額の健康保険料とは別に、賞与に対しても別途、上述の保険料率を掛けて計算した健康保険料を納付しなければなりません。 

 ・標準報酬月額・標準賞与額とは?  (協会けんぽウェブサイト)

 


6. 社会保険加入が外国人労働者の就労ビザ変更・更新の条件になる?


2008年3月に公開された、「在留資格の変更・在留期間の更新許可のガイドライン(2008年3月改正・法務省・入国管理局)」によると、2010年4月以降、外国人労働者が就労ビザ申請および更新申請を行う際、出入国在留管理局の窓口において、健康保険証の提示が求められるようになりました。 

これによって、事実上、外国人労働者の就労ビザの変更や更新の不可の審査基準の一つとして、社会保険に加入していることが加えられることになりました。

このガイドラインには、健康保険・厚生年金・国民健康保険・国民年金に加入していない企業・労働者が、就労ビザの変更・更新の際に健康保険証を提示できない場合、その事だけをもって申請を不許可にすることはしないと記載されています。
* 2023年1月現在、東京出入国在留管理局においては在留資格変更・更新申請時の健康保険証の提示は義務化されていません。

しかし、明らかに社会保険(企業が加入する健康保険・厚生年金)の強制適用事業所や、国民健康保険・国民年金の加入対象者でありながら、特別な事情がなく不当に社会保険に加入していない雇用主・外国人本人が、就労ビザの変更や更新申請を行った場合、社会保険への未加入を理由として、申請を不許可とされる可能性がないとはいえません。

また、当ガイドラインの改正では、他に下記のような審査基準項目も追加されています。外国人労働者を雇用する企業にとって重要な注意点となります。

 就労ビザ更新に関して改正(追加)された主な審査基準 

  雇用・労働条件が適正であること 
【以下、出入国在留管理庁より】

我が国で就労している(しようとする)場合には、アルバイトを含めその雇用・労働条件が労働関係法規に適合していることが必要です。なお、労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は、通常、申請人である外国人に責はないため、この点を十分に勘案して許否を決定します。

   納税義務を履行していること 
【以下、出入国在留管理庁より】 

納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。たとえば、納税義務の不履行により刑を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。なお、刑を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も悪質なものについては同様に取り扱います。

参考 
 在留資格の変更・在留期間更新のガイドライン(2020年2月改正) 出入国在留管理庁

 

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