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外国人スタッフのための健康・厚生年金保険手続について


このページでは、外国人スタッフに関する、
健康保険と厚生年金保険(一括して社会保険といいますの手続きや注意点について説明しています。

  • 公開(更新・訂正)年月は各設問の冒頭でご確認ください。

1. 

外国人スタッフの健康保険
海外に住んでいる親族を日本の健康保険の被扶養者にできるか

 2.

 外国人スタッフの厚生年金保険
・ 脱退一時金制度と請求手続きについて
・ 社会保障協定対象国出身者への対応について   

3. 

 海外本社に日本の社会保険制度について理解してもらうためには
 加入義務・会社と本人負担額について英語で説明しましょう。
 

2023年1月・更新 
このページでは、外国人を雇用する場合の健康保険に関する手続きや注意点について説明しています。
このページで、「健康保険」と呼んでいるのは全国健康保険協会(協会けんぽ)が運営する中小企業向けの健康保険制度です。

会社員以外の自営業者などが加入する国民健康保険とは異なります。 
国民健康保険制度含め、健康保険について給付内容などの更に詳しい情報をご覧になりたい方は、下記厚生労働省のホームページをご覧ください。

1

健康保険(協会けんぽ)に加入しなければならない使用者(事業主)とは?

2

健康保険に「加入させなければならない労働者」、「加入させなくてもよい労働者」とは?

使用者(事業主)も健康保険に入れる?

4

外国人労働者の海外に住む家族は日本の健康保険に入れる?
法改正により、2020年4月以降、扶養家族として日本の健康保険に加入できるのは、外国人被保険者に扶養され、国内に住所(住民票)がある親族が対象となりました。

5

健康保険の保険料はいくら?
健康保険料のシミュレーション

6

社会保険加入が外国人労働者の就労ビザ更新の条件になる? 


 1.健康保険に加入しなければならない使用者(事業所)とは?


政府(2008年10月以降 全国健康保険協会=協会けんぽ)が運営する健康保険には、基本的に法人事業所であれば、業種・従業員数に関係なく必ず加入しなければならず、このような、自動的に健康保険への加入が適用される事業所を強制適用事業所といいます。

たとえば、一人会社といわれる取締役1名で法人を設立している会社(法人)も設立と同時に、本来は必ず健康・厚生年金保険(両方セットで加入)に加入しなければなりません(強制適用事業所)。

次に、法人化されていない、個人営業の事業所の場合は以下のとおり、雇用する人数や行う事業の種類によって、必ず加入しなければならない(強制適用事業所)か、または加入の有無を任意に選択できる任意適用事業所の二つに分かれます。

1.強制適用事業所
必ず加入しなければなりません。  

① 法人・国・地方公共団体の事業所(代表者1名の場合も含む)
② 常時従業員を5名以上雇用する個人の事業所(農林水産業・畜産業・サービス業等を除く)
③ 常時従業員を5名以上雇用する【法律・会計にかかる業務を行う事業】を行う個人の事業所
     * ③については2022年10月1日以降
       * 【法律・会計にかかる業務を行う事業】弁護士・沖縄弁護士・外国事務弁護士・公認会計士など
④ 船員が乗り組む一定の条件を備えた汽船や漁船などの船舶

2.任意適用事業所

上述の強制適用事業所以外の事業所で、要件を満たした事業所において、使用者と従業員の半数以上がが社会保険への加入を希望し、厚生労働大臣に申請、認可を受けることによって加入できる事業所です(法律上、絶対に加入しなければならない事業所ではありません)。
なお、経営する事業主が外国人か日本人かにかかわらず、上述の規定は同様に適用されます。

・ 健康保険・厚生年金保険の適用事業所と被保険者 (日本年金機構)

 


2.健康保険に「加入させなければならない労働者」、「加入させなくてもよい労働者」とは?


前述の、健康保険の「強制適用事業所」に雇用される労働者で、次の「適用除外者」(社会保険の適用から除外される労働者)に該当しない場合は、全て「被保険者」(加入させなければならない労働者)となります。

つまり、外国人労働者であっても、健康保険の適用事業所に雇用される従業員が、日本人労働者と全く同様の雇用条件で働いてるのであれば当然に、健康保険(+厚生年金保険)に加入させなければならない労働者となります。

では、まず、健康保険の適用から除外される「適用除外者」とはどのような人たちのことなのかみていきましょう。

■ 「適用除外」に該当する労働者(=加入させられない労働者)

① 船員保険の被保険者 
② 所在地が一定しない事業所に使用される人 
③ 国民健康保険組合の事業所に使用される人
④ 厚生労働大臣、健康保険組合または共済組合の承認を受けて一定期間、国民健康保険の被保険者になった人
⑤ 長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の被保険者等
⑥ 季節的業務に使用される人(継続して4か月を超えて使用される場合を除く)。
⑦ 臨時に使用される者であって、次の要件に該当する人
  イ)日々雇い入れられる者
  ロ)2か月以内の期間を定めて雇い入れられる者
⑧ 臨時的事業の事業所に使用される人(継続して6か月を超えて使用されるべき場合を除く)。

 ⑥、⑦、⑧については日雇特例被保険者として加入する場合は適用除外者とはなりません。

その他、実際の運用では以下のような条件の下で働く労働者についても健康(厚生年金)保険には加入させなくてもよいことになっています。

■ その他、「健康保険に加入させなくてもよい労働者」

  • 社会保障協定締結国出身者で、出身国の健康保険制度に加入している外国人労働者
     
  • 従業員(被保険者数)が101名以上の事業所の場合

従業員数(フルタイム従業員および週稼働時間がフルタイム従業員の3/4以上の従業員数の合計)が101名以上の事業所で働くパートタイム従業員について以下の要件を満たした場合は適用除外となります。

① 1週間あたりの決まった労働時間が20時間を超えない
② 1か月あたりの決まった賃金が88,000円を超えない
③  雇用期間の見込が2ヶ月を超えない
④  夜間・通信・定時制「以外」の学生である * 全日制の学生

また、従業員数が100名を超えない事業所の場合でも、社会保険に加入することについて労使間で合意がされている事業所については、上記4点の要件を(全て)上回る従業員が社会保険への加入を希望すれば適用除外にすることはできません。 

外国人労働者によっては、「健康保険だけは入りたいけれど掛け捨てになる厚生年金には入りたくない。」と加入を渋る方も多々いらっしゃいます。

しかし、健康保険と厚生年金保険はセット加入(両方同時に加入手続きを行います)が原則であり、「こちらの保険は入りたいけど、そちらには入りたくない。」というように、従業員の意思と都合で自由に選択することはできません(社会保障協定の該当者を除く)。


3. 使用者(事業主)も健康保険に入れる?


法人の代表取締役や、強制適用事業所に当てはまる個人事業主は、その従業員と共に健康・厚生年金保険に加入できます(被保険者となることができます)。

代表取締役や、強制適用事業所・任意適用事業所の個人事業主が外国人であっても、取り扱いは日本人に対するものと同様です。

なお、強制適用事業所・任意適用事業所以外の個人事業主に関しては、日本人・外国人にかかわらず、健康保険・厚生年金保険には加入できません(国民健康保険・国民年金に加入します)。


4.  外国人労働者が健康保険に入るメリットは何か?
海外に住む家族を被扶養家族にして、家族の医療費をカバーできる? 


 

2020年3月以前は、健康保険法で決められた要件に当てはまれば、日本の健康保険に加入している外国人労働者は海外に在住する親族を被扶養家族として、健康保険に加入させることができました。

しかし、法改正により、2020年4月以降は海外に在住する扶養親族の要件として、従来の外国人被保険者から生計を維持されているということに加えて、

● 日本国内に住所(住民票)を有していること

という要件が追加されました。
つまり、海外に在住している親族については、被保険者本人が扶養していても健康保険の被扶養者とすることができなくなりました。

ただし、日本国外に留学している学生や海外赴任に同行している家族などで、日本国内に生活の基礎があると認められた者については上述の、国内居住要件の例外(海外特例要件)として、健康保険の被扶養者として認定され加入できることになっています。

・健康保険法等の一部改正に伴う国内居住要件の追加と届出と届出 (日本年金機構)

なお、「被扶養家族」として認定される親族は、

・ 配偶者(事実婚含む・年収130万円未満)
・ 子供・親(60才以上の場合は年収180万円未満)
・ 弟妹(年収130万円未満)


などですが、それぞれ他にも同居の有無や収入額など細かい要件が決められており、要件に該当しなければ被扶養者として認めらません。要件の詳細は以下、協会けんぽの該当するページで確認してください。

 ・健康保険の被扶養者とは?(協会けんぽウェブサイト)

ちなみに、被扶養親族の要件は外国人労働者が加入している健康保険が、このページで説明している協会けんぽの健康保険ではなく、企業が個別に加入する各健康保険組合が管掌する健康保険の場合は(協会けんぽ管掌の)健康保険とは要件が異なる場合があるので注意してください。
 

 

外国人被扶養家族の加入要件などに関するお問い合わせについては申し訳ございませんが当方ではお答えできません。恐れ入りますがそれぞれ以下の担当窓口で直接お尋ねください。

・ 企業に勤務されている外国人社員の方
    勤務先の人事担当者の方にお問合せください。

・ 企業の人事担当者の方 
       顧問社労士または加入している健康保険(協会けんぽ又は健康保険組合)窓口にお問い合わせください。

 


5. 健康保険の保険料はいくら? 


健康保険の保険料は、雇用主(会社)と労働者が折半して支払います。

保険料率は、2023年1月現在、40才以下の労働者の場合で、給与額の平均である、「標準報酬月額」×9.81%40才以上の労働者(介護保険料率含む)の場合は11.45%となっています(協会けんぽ/東京都限定・料率は都道府県ごとに異なります)。

計算方法として、まずは、労働者の賃金に支払う月額の賃金総額をもとに、健康保険保険料率表(協会けんぽ)から労働者の「標準報酬月額」(※ 月額給与額の平均のようなもの)を割り出します。


 健康保険料負担のシミュレーション (2023年1月現在)

例えば、 月総額30万円(内1万は交通費)の給与を支払われている労働者(39歳)の健康保険料は標準報酬月額等級表を見ると、第22級の標準報酬月額30万円に該当するので、29,430円となります(2023年1月現在・東京都の場合)

29,430円の内、半分の14,715円ずつをそれぞれ会社と労働者本人が負担することになりますが、この29,430円というのは40才未満の介護保険の被保険者でない労働者に対する保険料です。

同額の給与を受け取る労働者が、40才以上(介護保険の第2号被保険者)の場合は、健康保険料と介護保険料を合わせた保険料を支払うことになり、保険料総額は34,350円となります。(事業主と労働者それぞれ17,175円ずつ負担します。)
 

また、健康保険の保険料は毎年3月に改定されるので、最新の標準報酬月額表を使用して保険料額を控除・納付することが重要です。

なお、賞与(年度累計額の573万円までが対象・2023年1月現在)についても、年3回以内の回数で支払われるものを対象とし、月額の健康保険料とは別に、賞与に対しても別途、上述の保険料率を掛けて計算した健康保険料を納付しなければなりません。 

 ・標準報酬月額・標準賞与額とは?  (協会けんぽウェブサイト)

 


6. 社会保険加入が外国人労働者の就労ビザ変更・更新の条件になる?


2008年3月に公開された、「在留資格の変更・在留期間の更新許可のガイドライン(2008年3月改正・法務省・入国管理局)」によると、2010年4月以降、外国人労働者が就労ビザ申請および更新申請を行う際、出入国在留管理局の窓口において、健康保険証の提示が求められるようになりました。 

これによって、事実上、外国人労働者の就労ビザの変更や更新の不可の審査基準の一つとして、社会保険に加入していることが加えられることになりました。

このガイドラインには、健康保険・厚生年金・国民健康保険・国民年金に加入していない企業・労働者が、就労ビザの変更・更新の際に健康保険証を提示できない場合、その事だけをもって申請を不許可にすることはしないと記載されています。
* 2023年1月現在、東京出入国在留管理局においては在留資格変更・更新申請時の健康保険証の提示は義務化されていません。

しかし、明らかに社会保険(企業が加入する健康保険・厚生年金)の強制適用事業所や、国民健康保険・国民年金の加入対象者でありながら、特別な事情がなく不当に社会保険に加入していない雇用主・外国人本人が、就労ビザの変更や更新申請を行った場合、社会保険への未加入を理由として、申請を不許可とされる可能性がないとはいえません。

また、当ガイドラインの改正では、他に下記のような審査基準項目も追加されています。外国人労働者を雇用する企業にとって重要な注意点となります。

 就労ビザ更新に関して改正(追加)された主な審査基準 

  雇用・労働条件が適正であること 
【以下、出入国在留管理庁より】

我が国で就労している(しようとする)場合には、アルバイトを含めその雇用・労働条件が労働関係法規に適合していることが必要です。なお、労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は、通常、申請人である外国人に責はないため、この点を十分に勘案して許否を決定します。

   納税義務を履行していること 
【以下、出入国在留管理庁より】 

納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。たとえば、納税義務の不履行により刑を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。なお、刑を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も悪質なものについては同様に取り扱います。

参考 
 在留資格の変更・在留期間更新のガイドライン(2020年2月改正) 出入国在留管理庁

 

2023年1月・更新 
・ このページでは、外国人を雇用する場合の厚生年金保険(一部国民年金含む)に関する手続きや注意点について記載しています。
・ このページでいう厚生年金とは、会社などに雇用されている会社員が加入する「厚生年金保険」を指しています。
会社員以外の自営業者などが加入する国民年金と厚生年金の制度は一元化されているため、それぞれの加入者(被保険者)の呼称(例:第1号~3号被保険者)などが重複しています。

また、このサイトでは外国人労働者を雇用する場合に理解が必要な脱退一時金や社会保険料の二重払いを防ぐために作られた社会保障協定とその実際の手続きについて解説することを目的としているため、年金制度に関する詳細な解説は割愛しています。
年金制度の仕組を詳しく知りたい方は以下、日本年金機構のウェブサイトで確認してください。

 1.  厚生年金保険に加入しなければならない事業者とは?
 2.  厚生年金保険・国民年金の被保険者の種類(種別)

 3.  厚生年金に「加入させなければならない労働者」、「加入させなくてもよい労働者」とは?     

 4.  厚生年金に入りたがらない外国人労働者を説得するには? 
 脱退一時金制度と手続きについて 

 4.  厚生年金に入りたがらない外国人労働者を説得するには?
 自国と日本の年金期間や給付が合算される社会保障協定について  

 4.  厚生年金に入りたがらない外国人労働者を説得するには? 
  2009年4月以降、就労ビザ申請時に健康保険証の提示が推奨されるようになりました。


1.厚生年金保険に加入しなければならない使用者(事業主)とは?


基本的に健康保険(全国健康保険協会=協会けんぽが運営する健康保険を前提として解説)と厚生年金には、株式会社などの法人の場合、法人を設立した日から5日以内に、二保険セットで加入する義務があります(強制適用事業所)。

健康保険だけ、または厚生年金保険だけというように、いずれか一方だけを選択して加入することはできません。
厚生年金保険に加入することが義務づけられている事業所(強制適用事業所)や労使双方の合意を基に加入することができる事業所(任意適用事業所)については、ほぼ前項目で説明している 健康保険に加入しなければならない使用者(事業主)と同じです。
こちらのページでご確認ください。 


2. 厚生年金保険・国民年金の被保険者の種類(種別)


厚生年金保険と国民年金は制度上、一元化されているので両保険の被保険者の分類についても同様です。

つまり、国民年金の被保険者の分類である第2号被保険者というのは厚生年金の被保険者(厚生年金に加入している企業や事業所の社員)であるということです。 

ちなみに、国民年金の第1号被保険者というのは、国内在住の20歳以上60歳未満の厚生年金に加入していない自営業者や学生などが該当します(任意加入者は除く)。

また、国民年金の第3号被保険者は、第2号被保険者である厚生年金の被保険者(企業の社員)に扶養される配偶者が該当します。

第3号被保険者として認定されるためには、第3号本人に関する収入要件があり、(第3号本人の)年収が130万円以下でなければなりません。

この要件に該当する第3号被保険者は、毎月の国民年金保険料(16,590円/2022年度)を納めることなく、将来国民年金の基礎年金部分を受け取ることができることになっています。 


■  国民(厚生)年金保険の被保険者の種別

種別

国籍 

日本国内
の居住要件 

年齢

該当者例 

1号

制限なし 

日本に居住
* 住民票があること

20才以上60才未満

2号、3号以外の者
 外国人も含む 

2号

制限なし 

日本に居住していなくても可

制限なし 
* ただし既に年金受給者である65才以上は除く

       厚生年金・共済年金
       などの加入者
        外国人も含む 

3号

制限なし 

日本に居住
* 住民票があること。ただし
特例あり。

20才以上60才未満

2号(厚生年金・共済年金などの加入者)の被扶養配偶者
外国人も含む 


2020年4月に施行された健康保険法等の一部改正に伴って、国民年金の第3号被保険者(厚生年金保険の被保険者である外国人労働者の被扶養配偶者)についても、日本国内に住所を有する(住民票がある)ことが加入要件の一つに追加されました(従前は海外に住所があっても加入)。

つまり、2020年4月以降は、海外に在住している外国人被保険者の配偶者は健康保険の被扶養家族と同様に、国民年金の第3号被保険者の対象から外れることになりました。


3. 厚生年金に「加入させなければならない労働者」、「適用除外の労働者」とは? 健康・厚生年金の「社会保障協定」締結相手国出身者のケース


会社や事業所が厚生年金に加入している場合は、その事業所に雇用されている従業員はすべて厚生年金に加入させなければならないのが原則ですが、健康保険と同様に厚生年金にも個々の従業員の勤務時間や状況・事業主(会社)の従業員数等の要件によって、適用除外(厚生年金に加入しない)となる労働者がいます。 

その要件についても、健康保険とほぼ同じ内容になります。
詳細は前述の「健康保険の適用除外となる労働者」の項目で確認してください。

ただし、健康保険には加入するものの、厚生年金は政府が管掌する厚生年金ではなく共済組合に入る方、または健康保険では除外されている「船員保険」の被保険者は厚生年金の被保険者になるなど、多少異なる点はあります。
これらについて、詳しく知りたい方は以下、日本年金機構のウェブサイトをご覧ください。

では、外国人従業員に対する厚生年金加入の問題についてははどうなるのでしょうか。
これについては、外国人従業員の出身国が日本と厚生年金の社会保障協定を結んでいるかどうかでも取扱いが変わります。

社会保障協定という言葉を初めて耳にした方もおられると思います。

簡単に説明すると、社会保険の加入については、(日本人・外国人にかかわらず)日本から海外、また海外から日本へ行ったり来たりして働く場合、相手国の健康保険や厚生年金保険に加入しなければならないのか、相手国の保険に加入するのであれば、自分の国で入っている社会保険の保険料を重複して払わなければいけないのか、また、将来、老齢年金を受給するときに複数国の年金制度における必要な加入期間(受給資格期間)をどう満たすのかといった、様々な難しい問題が発生します。


このような社会保険の加入問題に柔軟に対応するため、日本と外国政府の間で個別に交渉・取り決められた協定のことを「社会保障協定」といいます。

この社会保障協定を締結している国の出身者を雇用する場合、日本の厚生年金保険または健康保険などの社会保険に加入させるのか、またはさせないのかという問題が発生します。

ちなみに、企業が日本で現地採用する外国人の場合は、日本人従業員同様に日本の社会保険制度に加入します。社会保障協定の対象となるのは、海外の親・子会社などから転勤で赴任してくる外国人です。

2023年1月現在、社会保障協定を締結し発効している国は、・ドイツ・イギリス・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイス・ハンガリー・インド・ルクセンブルク・フィリピン・スロバキア・中国・フィンランド・スウェーデンの22か国です。※ イタリアは署名済み・未発効


上記の国の出身者の場合、健康保険は日本で加入させるが、厚生年金は出身国の保険に入り続けるため日本では加入しない(厚生年金のみ社会保障協定を結んでいて健康保険については社会保障協定を結んでいないので、日本の健康保険に加入する必要がある)場合や、健康保険も厚生年金も日本では加入しない(相手国によっては、健康保険と厚生年金保険両方で社会保障協定を結んでいるので、その国の出身者が対象)ケースが発生します。
 
赴任先の国の社会保険に入るか、または自国の保険に加入し続けるかは、赴任時に見込まれる相手国での滞在期間によって決定します。


4. 厚生年金に入りたがらない外国人労働者を説得するには? 
脱退一時金制度 


外国人スタッフのための健康保険」にも記載したように、外国人社員の中に時々「健康保険には入りたいけど、厚生年金保険は掛け捨てになるので入りたくない。」と社会保険への加入を渋る方がいます。


年金期間と給付を自国の年金制度と合算することができる「社会保障協定」の適用者であれば、問題にはなりませんが、それが適用されない外国人の場合、不満を持つのも無理はないかもしれません。

ですが、このような場合、本人の帰国後、日本で払った保険料の一定額が払い戻される脱退一時金制度について説明すると納得してくれることが多いようです。

脱退一時金は、短期間日本に在住し、日本の年金制度(国民年金・厚生年金・共済組合)に6か月間以上加入して帰国する外国人に対して、払い込んだ保険料の額に応じて一定額が払い戻される制度をいいます。

英語では
Lump-sum Withdrawal Payment といい、社会保険の保険料の掛け捨て防止を目的に作られた制度です。

以下、脱退一時金を受け取る条件・脱退一時金の計算式や手続きの流れについて記載しています。
加えて、詳細は下記の日本年金機構のホームページも併せてご覧ください。


・ 国民年金・厚生年金の脱退一時金 (日本年金機構)
* 各国語によるパンフレットと請求書をダウンロードできます。

■ 脱退一時金を受け取ることができる条件(厚生年金) 

・日本国籍を有していないこと
・公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でないこと
・厚生年金保険(共済組合等を含む)の加入期間の合計が6月以上あること
・老齢年金の受給資格期間(10年間)を満たしていないこと
・障害厚生年金(障害手当金を含む)などの年金を受ける権利を有したことがないこと
・日本国内に住所を有していないこと
・最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していないこと
​(資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していないこと)

* 国民年金の脱退一時金を受け取ることができる条件は日本年金機構のウェブサイトで確認してください。

■ 脱退一時金の額

脱退一時金の受給金額は、国民年金と厚生年金で計算式が異なります。
以下、日本年金機構のウェブサイトから、外国人の加入期間をあてはめて計算してください。
・ 脱退一時金の受給金額(国民年金・厚生年金)*2022年4月1日
 

■ 脱退一時金の請求に必要な書類 

①   脱退一時金請求書 *日英版・PDFファイル (2023年1月時点)
(国民年金・厚生年金いずれも同じ請求書を使用する)

② パスポートの写し(氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ)

③ 日本国内に住所を有しなくなったことを確認できる書類(住民票の写しなど)

④ 国民年金手帳またはその他基礎年金番号が確認できる書類

⑤ 「銀行名」、「支店名」、「支店の所在地」、「口座番号」および「請求者本人の口座名義」であることが確認できる書類(銀行が発行した証明書等または①の請求書中の「銀行の口座証明印」の欄に銀行の証明を受けて提出する。)

※ ③については、請求する外国人が帰国前に住所地の市区町村に転出届を提出した場合、住民票の消除情報によって、請求者が請求時点で、日本国内に住所を有しないことを確認できるため、不要。


■ 脱退一時金請求手続きの流れ
脱退一時金請求時の手続の流れはおおむね、以下のとおりです。

脱退一時金は、国民年金の場合、支給時に所得税が控除されませんが、厚生年金の脱退一時金の場合、予め所得税(20.42%*2023年現在)が源泉徴収された額が支払われます。この所得税控除は後に帰国した外国人が住んでいた住所地の税務署に申告することで還付を受けることができます。

したがって、源泉徴収控除額の還付を受けたい外国人は、帰国前に住所地を所管する税務署に「納税管理人の届出書」を提出し、自身の帰国後に還付手続きを代理してもらう納税管理人(日本に住所を有する日本人・外国人/他に条件・資格はなし)を決めておきます。
*「納税管理人の届出書」を提出せずに帰国した場合は、所得税の還付申告時に納税管理人の届出書を同時に提出することもできます。 


なお、この納税管理人を指名せずに帰国した場合は所得税の還付申告時に納税管理人の届出書を同時に提出することもできます。

帰国した外国人が、3.脱退一時金の請求に必要な書類①の脱退一時金裁定請求書を記載し、振込希望の銀行の証明書または①の「銀行証明欄」にスタンプをもらい、年金手帳などの証明書を添付して、日本年金機構・外国業務グループに郵送します。

②で書面を受け取った日本年金機構が、提出書類を確認し、振込希望の本人自国の銀行口座へ振込。 実際に本人の口座に振り込まれるまでは書類を郵送・提出後数か月かかります。
ドルやユーロ以外の基軸通貨以外の通貨での振込については制限がかかる場合があります。

本年金機構から郵送で外国人本人に、「脱退一時金決定通知書」が送付されます。
厚生年金保険の場合は、支払われた脱退一時金から所得税が控除されているので、この決定通知書を【ステップ1】で本人が帰国前に日本の住所を管轄する税務署に届け出た「納税管理人」に郵送し、納税管理人が本人に代わって税務署での還付申告を行うことになります。

■ 脱退一時金の請求期限

最後に国民年金・厚生年金・共済組合の被保険者の資格を失った(日本に住所がなくなった)日から2年以内に請求しなければ、脱退一時金を請求する権利がなくなります。

まず、請求に必要な前提条件は、日本を出国するときに、住所地の市区町村役場において、国外に住所を移す旨を申告し、転出届を提出することです。この転出届をしていない場合、(再入国期間内は)原則として、出国後、すぐに脱退一時金を請求することはできません。これを踏まえて、転出届をしている場合と、転出届をしていない場合の請求期間は以下のようになります。

■  転出届をして出国した場合の請求期間

出国前に住所地の市区町村役場において、国外に住所を移す旨を申告して「転出届」を提出し、「再入国許可」または「みなし再入国許可」を受けて日本を出国する場合、「日本に住所を有しなくなった日」は、転出日の翌日(国民年金の資格喪失日)となり、その日から2年間が脱退一時金の請求可能期間となります。

■  転出届を提出せずに出国した場合の請求期間 

出国前に「転出届」を提出せず、「再入国許可」または「みなし再入国許可」を受けて日本を出国する場合、原則、上記再入国許可の有効期間が経過する日までは、国民年金の被保険者とされるため、脱退一時金の請求はできません。なお、最終的に「再入国許可」または「みなし再入国許可」の有効期限日までに再入国しなかった場合、有効期限日が経過した日が、国民年金の被保険者資格の喪失日とされるため、その日から2年間が脱退一時金の請求可能期間となります。

なお、脱退一時金に関する注意点は、請求可能期間は上述のように(日本に住所がなくなった日)から2年ですので、日本にいる(住所がある)場合は、たとえ勤務していた会社を辞めて厚生年金や共済組合を脱退したとしても、脱退一時金の請求を行うことはできない点です。

厚生年金保険の加入を望まない外国人の方には、この脱退一時金制度の説明をすることによって、すんなりと社会保険への加入手続きが進むこともありますのでぜひお試しください。

以上、脱退一時金の詳細について、前述のパンフレットをご覧になっても不明な場合は下記、日本年金機構の担当部署に直接お問い合わせください。

日本年金機構 (外国業務グループ)

〒168-8505 東京都杉並区高井戸西3-5-24
電話: 03(81)-6700-1165 (ねんきんダイヤル)

※ 電話口で「脱退一時金の件」とお伝えの上、ご相談ください。


4. 厚生年金に入りたがらない外国人労働者を説得するには?  
社会保障協定 


厚生年金に加入させなければならない労働者」、「加入させなくてもよい労働者とは?」の項目でも記載したとおり、我が国日本は2023年1月現在、以下のような国々と保険料の二重加入を防ぐために社会保障協定を結んでいます。

社会保障協定については、下記関係行政機関のウェブサイトもご覧ください。

・社会保障協定について (厚生労働省)
・社会保障協定とは何ですか? (日本年金機構) 

■ 日本が社会保障協定を結んでいる相手国  * 2023年1月現在

 

 

 

状況 

 

期間の通算

ができるか 

 

二重加入防止の対象

 となる社会保障

 

   

日 本

  相 手 国    

ドイツ 

 発効済

 年金

 年金

英国 

 発効済

 ×

 年金

 年金

韓国 

 発効済

 ×

 年金

 年金

米国

 発効済

 

 年金

 医療

 年金

 医療

ベルギー 

 発効済

 

 年金

 医療

 年金

 医療

 労災

 雇用

フランス 

 発効済

 

 年金

 医療

 年金

 医療

 労災

カナダ 

 発効済  

 

 年金

 年金

 ※ケベック州除く

オーストラリア 

 発効済

 年金

 退職年金

オランダ 

 発効済  

 

 年金

 医療

 年金

 医療

 雇用

チェコ 

発効済

 

 年金

 医療

 年金

 医療

雇用

スペイン  発効済  ○ 年金 年金
アイルランド  発効済 年金 年金
ブラジル  発効済 年金 年金
スイス  発効済 年金
医療
年金
医療
 
ハンガリー  発効済 年金
医療
年金
医療
雇用
インド  発効済 年金 年金
ルクセンブルク 発効済 年金
医療
年金
医療
労災
介護
フィリピン 発効済 年金 年金
スロバキア 発効済 年金 年金
医療
労災
雇用
中国 発効済 × 年金 年金
フィンランド 発効済

年金

雇用

年金

雇用

スウェーデン 発効済

年金

年金

* イタリア(発効準備中)/2023年1月現在

日本から海外あるいは海外から日本へ行ったり来たりして働く場合、もともと自分の国(日本または海外)で加入していた厚生年金保険や健康保険などの社会保険から脱退して短期間でも相手の国の保険に加入しなければならないのか...また、相手国の保険に加入しなければならない場合、自分の国で入っている保険を脱退しなければいけないのか、それとも両方に入って保険料を2倍払わなければいけないのか...というような問題が発生します。

社会保障協定とは、こういった問題を解決するため、日本と海外数か国との間で取り交わされた協定のことです。

この社会保障協定を締結している国の出身者を雇用する場合(海外の親・子会社などから転勤で赴任してくる外国人が該当。外国人を日本で現地採用する場合は最初から日本の社会保険制度に加入)、厚生年金を始めとする日本の社会保険に自社の被保険者として加入させるのか、させないのかについて判断しなければなりません。

なぜなら、社会保障協定を締結している国は、上述のとおり、2023年1月現在、ドイツ・イギリス・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイス・ハンガリー・インド・ルクセンブルク・フィリピン・スロバキア・中国・フィンランド・スウェーデン)の22か国(発効済み)ですが、これらの国々と締結している社会保障協定の内容は、

  • 年金については社会保障協定を結んでいるが、健康保険については結んでいない。
  • 年金についても健康保険についても社会保障協定を結んでいる。
  • 年金・健康保険・労災保険・雇用保険も社会保障協定を結んでいる。


というように、相手国によって個別の締結内容が様々に異なるからです。
ですので、外国人社員の出身国によって例えば、健康保険については日本で加入させるが厚生年金は出身国の保険に入り続けるため日本では加入しない(派遣時に見込まれる日本での滞在期間によって決定)場合や、健康保険は日本で加入させるが、厚生年金・雇用保険は日本では加入しないというようなケースが発生します。

■ 日本で働く、社会保障協定締結相手国出身の外国人労働者の取扱い

日本と社会保障協定を結んでいる国の出身で、その国の社会保障制度に加入している外国人の場合、日本の制度に加入するか、それとも自国の社会保障制度に加入し続けるかどうかは下記の判断基準によって決まります。

 自国の社会保障に加入継続・日本の制度には加入しないケース

日本へ派遣される当初に見込まれる派遣(赴任)期間が、当初から「5年以内」と見込まれる場合がこれにあたります。社会保障協定の内容に従って、日本の社会保険への加入を免除されます。

 自国の社会保障ではなく、日本の制度に加入するケース 

日本へ派遣される当初に見込まれる派遣(赴任)期間が、当初から「5年を超える」と見込まれる場合は、日本の社会保険に加入することになります。


■ 二重加入防止の考え方

この社会保障協定の二重払い防止の基本的な考え方は、海外の事業所から日本の事業所へ派遣される人に関する健康保険や厚生年金などの社会保障に関して、派遣先(日本)の国の制度にだけ加入することを基本とするが、派遣期間が一時的(5年が目安)であれば、例外的に自国(派遣元)の制度のみに加入し、保険料の二重払いを防止しましょう...というものです。

■ 年金制度については加入期間の通算がされる

公的年金に関する社会保障協定の考え方は、一方の国の年金制度の加入期間だけでは受給資格を満たさないような場合、海外赴任していた間、赴任先(社会保障締結相手国)で加入していた年金加入期間も通算しましょう、というのがその基本です。

日本の国民年金は加入していた期間(最低加入期間)が最低10年なければ、老齢年金を受け取ることができません。

一方、ドイツの老齢年金を受け取るための最低加入期間は5年です。
たとえば
、ある日本人が日本の年金制度に9年加入後、ドイツに赴任し1年間だけドイツの年金に加入したとします。
こういったケースにおいては、両国の社会保障協定締結以前、日独いずれの保険も最低加入期間の不足により、全く年金を受け取ることができませんでした。

しかし、この社会保障協定が両国間で結ばれたことによって、日本の9年とドイツの1年が合算され10年となり、この日本人は日本に帰国したのち、日本の老齢年金を受け取ることができるというわけです。

ただし、ここで重要なのは、この年金加入期間の通算については上記の表に記載した社会保障協定国全てに適用される訳ではなく、「期間通算」の欄に×が付いている国、英国、韓国および中国には適用されません。

つまり、この3か国からの赴任者または日本からこの3か国へ赴任した日本人には、それぞれ相手国で適用された社会保険の加入期間は通算されることはなく、それぞれの国ごとの最低加入期間を満たさなければ、各国の老齢年金を受け取ることができません。

■ 社会保障協定締結相手国の外国人を日本の社会保険の適用から外す場合の取扱い 

日本で働く、社会保障協定締結相手国出身の外国人労働者の取扱い」の項目で説明したように、赴任時の赴任期間見込みが5年以内の場合は、日本の健康保険や厚生年金保険、場合によっては雇用保険の適用から外すことができます。

この手続きのためには、外国人が日本に赴任されてくるに、自国の年金担当窓口(実施機関)で適用証明書という、協定相手国の社会保障制度に加入していることを証明する証明書を入手します。外国人はこの証明書を持参して来日します。

日本の赴任勤務先に「適用証明書」を提出。
勤務先を通じて、日本の年金事務所に届け出ることによって、日本の社会保障への加入が免除されます。
以上のような流れで、社会保障協定対象者の、日本の社会保険への加入が免除されます。

初めて社会保障協定締結国出身の外国人を受け入れる場合は、事業所所轄の年金事務所で予め手続きについて詳しい説明を受けておいた方がいいでしょう。

たとえば、 このような社会保険保障協定制度があることを知らずに、協定締結国からの派遣者を受け入れ、長期間、自国と日本で社会保険に重複して加入し保険料の二重払いをしていたような場合、少なくとも日本の社会保障制度での保険料の払い戻しを受ける権利の消滅時効は2年間であるため、2年間しか遡って払い戻し請求をすることができなくなってしまいます。


 4. 厚生年金に入りたがらない外国人労働者を説得するには?
③ 
就労ビザ変更・更新時の審査基準の一つです。   


2008年3月に公開された、「在留資格の変更・在留期間の更新許可のガイドライン(2008年3月改正・法務省・入国管理局)」によると、2010年4月以降、外国人労働者が就労ビザ申請および更新申請を行う際、出入国在留管理局の窓口において、健康保険証の提示が求められるようになりました。 

これによって、事実上、外国人労働者の就労ビザの変更や更新の不可の審査基準の一つとして、社会保険に加入していることが加えられることになりました。

このガイドラインには、健康保険・厚生年金・国民健康保険・国民年金に加入していない企業・労働者が、就労ビザの変更・更新の際に健康保険証を提示できない場合、その事だけをもって申請を不許可にすることはしないと記載されています。
* 2023年1月現在、東京出入国在留管理局においては在留資格変更・更新申請時の健康保険証の提示は義務化されていません。  

しかし、明らかに社会保険(企業が加入する健康保険・厚生年金)の強制適用事業所や、国民健康保険・国民年金の加入対象者でありながら、特別な事情がなく不当に社会保険に加入していない雇用主・外国人が、就労ビザの変更や更新申請を行った場合、社会保険への未加入を理由として、申請を不許可とされる可能性がないとはいえません。

また、当ガイドラインの改正では、他に下記のような審査基準項目も追加されています。外国人労働者を雇用する企業にとって重要な注意点となります。

 

 就労ビザ更新に関して改正(追加)された主な審査基準 

  雇用・労働条件が適正であること 
【以下、出入国在留管理庁より】

我が国で就労している(しようとする)場合には、アルバイトを含めその雇用・労働条件が労働関係法規に適合していることが必要です。なお、労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は、通常、申請人である外国人に責はないため、この点を十分に勘案して許否を決定します。

   納税義務を履行していること 
【以下、出入国在留管理庁より】 

納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。たとえば、納税義務の不履行により刑を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。なお、刑を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も悪質なものについては同様に取り扱います。

参考 
 在留資格の変更・在留期間更新のガイドライン(2020年2月改正) 出入国在留管理庁

 

2023年1月・更新  

日本に駐在員事務所や日本支店・日本支社(外資系企業)を新規設立した場合、それらの事業所でもこれまで説明してきた、日本企業とほぼ同様に労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生します。

ただ、日本で初めて拠点を設立して事業を始めようとする代表者の方は、日本人であっても、これまで国内企業で、一般の社員として勤務されていた方も多く、そのため、社会保険についてはあまり知識をお持ちでない方、あるいは海外の親会社から派遣されて来日される外国人の方が多いようです。

特に外国人が代表者の場合ですが、一般的な日本人が代表者であれば、ある程度知識として持っている日本の社会保険制度について、ご自身で理解し、親会社の外国人マネージメントに対し、一から説明を行い納得してもらわなければいけません。

この説明作業は、日々の本業が忙しい代表者の方にとって、結構骨が折れる仕事なのです。

というのも、海外企業は特に、日本拠点の運営にかかるコスト、特に人件費については最初からどの程度のコストがかかるのか(どの程度のコスト負担を許容できるのか)を厳しく試算し、計画をたててから進出してきます。

このように、親会社は最初に、個別の従業員に対して会社が支払う総支払額(グロス額)の人件費を決めますが、その総支給額の中には、会社が負担する社会保険料の負担額などの経費も含めている場合が多いようです。

ですので、その場合、社員が受け取る基本給額は会社が負担する社会保険料分が差引かれた金額となります。

ただし、外資系企業でも大企業はまた別です。逆に、本国から派遣されてくる社員に関しては、本人の社会保険料負担分や所得税まで会社が支払う前提で総支給額を設定する仕組み *グロスアップ計算*を導入していることが一般的です。

このように、進出企業ごとに事情が異なりますが、いずれにしても、日本に初めて進出してくる外資系企業のマネージメントは日本拠点が加入する社会保険に関して、主に次の2点を最重視して情報を求めてきます。
 

  • そもそも社会保険に加入しなければいけないのか?(法律で加入が義務付けられているのかどうか。コンプライアンス上、法令違反となるなら加入するが、加入の義務がないものは加入しない。)
  • 加入する場合、どのような種類の社会保険に入るのか。また、会社(と社員が)負担する金額は最終的にいくらになるのか。


日本拠点の設立後、社員の社会保険加入に関して説明を求めてくる親会社に対しては、この2点を中心に納得してもらえるよう説明すれば、ほとんどの場合、その後の加入手続はスムーズに進むことが多いようです。

以上、こうした親会社に対する、日本の社会保険の解説については、以下JETROのウェブサイトで英語版はじめ多言語による資料がダウンロードできますので利用されてはいかがでしょうか。

・ 
Laws and Regulations on Setting Up Business in Japan (JETRO)

 

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行政書士 小島 健太郎

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