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 このページでは、就労ビザ取得手続についてわかりやすくQ&A方式で説明しています。

 →就労ビザ申請に関する、その他の記事は下記リンクをクリックしてご覧ください。

 


■ 就労ビザ取得関連Q&A集④

お探しの情報がない場合は、上記リンク先より他のQ&A集もご覧ください。

・ ご覧になりたい項目をクリックしてください。随時、更新・追加の予定です。
・ 公開(更新・訂正)年月は各設問の冒頭でご確認ください。

   

質問内容

Q21

就労ビザ申請手続は会社か外国人本人が行うべきか?

新卒で今春、日本の大学を卒業した外国人を雇用することになりました。本人が現在持っている、在留資格「留学」から就労ビザへ変更しなければならないのですが、その変更手続きを留学生本人にすべて任せてしまっても大丈夫でしょうか?当社としてはどの範囲まで手続きに関わればいいか教えてください。

Q22 小規模企業が就労ビザを取得できる可能性は?

当社は、社長である私と妻の2人、他にパート社員1名から成る小規模IT企業です。資本金は300万円、昨年度末の売上は1千万円弱でした。今回、業績拡大のために、中国進出を考えていて、そのためにどうしても必要な中国人社員の採用を希望しています。この社員を採用することで、来年度の売上は現在の2倍以上に増えることが予想され、どうしてもこの外国人の採用を成功させたいと考えていますが、当社のような企業規模の会社が外国人社員の就労ビザを申請して、許可される可能性はあるのでしょうか。

Q23

日本駐在員事務所に派遣する海外本社社員の就労ビザ申請は?

当社は中国に本社がある外国法人です。今回、事業拡大を目的に日本に駐在員事務所を設立することになりました。中国本社から駐在員事務所の代表者となる社員1名とその他赴任者を数名派遣したいと思っていますが、その場合の就労ビザはどのような流れで申請・取得すればいいのでしょうか。

Q24

海外の親会社から企業内転勤ビザで派遣者を呼ぶには?

当社は香港法人の出資で設立された日本子会社です。設立手続の便宜上、日本子会社の代表者個人の100%の出資ということで登記されているため、登記簿上では親会社との関係を証明することができません。今回、親会社から「企業内転勤」の在留資格で外国人派遣者を呼び寄せるため、入管局に、在留資格認定証明書交付申請を行いましたが、「親会社と子会社の関係であると認められない」という理由により、申請が不許可になってしまいました。親会社と日本子会社の関係を証明するためにはどのようにすればいいでしょうか。

Q25 在職証明書で実務経験を証明できないときは? 

インド料理のレストランを経営しています。今回、インドより調理師を呼び寄せて当店で働いてもらおうと、「技能」の在留資格認定証明書交付申請を行ったところ、提出したインドのレストランでの在職証明書に問題があるとして申請が不交付処分(=日本に呼び寄せることができない。)になってしまいました。このような場合、この方の招へいは諦めるしかないのでしょうか。

Q26 申請が不許可。帰国準備のためのビザの延長はできる? 

在留資格変更申請(在留期間更新許可申請)が不許可になってしまいました。帰国しなければなりませんが在留期間が切れるまでに数日しかありません。帰国準備をするために在留期限を伸ばしてもらうことはできますか。

Q27 解雇による失業期間中のビザは? 在留資格、「技術・人文知識・国際業務」 を保持して日本で働く外国人です。会社の業績不振のため、先日、勤務していた会社から解雇されました。現在持っているビザの在留期限まで2年ほどあります。日本に残る予定で現在求職活動中ですが仕事はまだ見つかっていません。失業中も現在のビザで日本に在留し続けることは可能でしょうか。

 2021年4月更新

【Q21】

新卒で今春、日本の大学を卒業した外国人を雇用することになりました。本人が現在持っている在留資格「留学」から就労ビザへ変更しなければならないのですが、その変更手続きを留学生本人にすべて任せてしまっても大丈夫でしょうか?
就労ビザへの変更申請手続きについて、当社として、どの程度まで関わればいいのか教えてください。

【A】

外国人留学生が持っている在留資格「留学」を、日本で就職するために必要な就労系の在留資格に変更するためには、留学生の住所地を管轄する出入国在留管理局に対して、

在留資格変更許可申請

を行わなければなりません。

この申請を行うのは、

入管法上は、あくまでも外国人本人

ということになっていて、申請用紙に申請人として署名をするのも外国人本人です。
しかし、実際に外国人である本人だけで、出入国在留管理局が要求するたくさんの書類を全て理解し、

不備なく準備した上で申請し、その後の許可(就労ビザの取得)をスムーズに得られるかといえば難しいのではないでしょうか。

たとえば、以下は在留資格変更許可申請を行う場合に必ず必要な申請書類です。

まず、これらは外国人本人に関連する書類ですので、収集および作成することはそう難しいことではないでしょう。

以下は一般的な提出書類です。個々のケースによって、他に必要な書類が追加される場合があります。

・ 在留資格変更許可申請(技術・人文知識・国際業務)提出書類 (法務省)

■ 外国人本人が用意する書類の一例
 以下提出書類は雇用主のカテゴリーごとに増減します。

  • 在留資格変更許可申請書
  • パスポート・在留カード (申請時・受領時に原本を提示)
  • 履歴書
  • 専門学校・大学・大学院などの卒業証明書または卒業見込み証明書
  • 必要に応じ、以前勤務していた職場の在職証明書 ※外国語の場合は日本語に翻訳したもの
  • 各種検定試験などの取得証明書 ※日本語能力検定試験やTOEICなど
  • 出入国在留管理局あての申請理由書

一方、雇用する会社が提出する書類としては、最低限必要なものとして以下のものが挙げられます。

■ 雇用する会社側が用意する書類の一例 

* 以下提出書類は雇用主のカテゴリーごとに増減します。
  • 前年度分・給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー
  • 法人登記簿謄本
  • 会社案内
  • 直近年度の決算書
  • 出入国在留管理局あての雇用理由書 *重要です。これによって許可・不許可の結果を左右する場合もあります。
  • 採用する外国人との間で取り交わした雇用契約書のコピー
  • 外国人社員リスト * 他に外国人社員が在籍している場合
 
などです。
 
以上のように、会社側が用意しなければならない書類は多く、書類によっては、その記載方法や内容が、出入国在留管理局の就労ビザ許可・不許可の判断に直接影響を与えるものがあります(例: 雇用契約書や雇用理由書など)。

ですので、そのようなセンシティブな申請書類を日本語能力が不十分で、日本の入管法・入管行政に不慣れな外国人本人だけに全て任せてしまうのはお勧めしません。

もちろん私たちのような入国管理業務の専門家である行政書士などに依頼していただくことが、新規採用する外国人の迅速な就労ビザ取得への近道ではありますが、それが不可能な場合、少なくとも、申請書類の作成と確認作業については、雇用する会社の人事担当者が全責任を持って行い、外国人本人には、自身に関する各種証明書の提出と、申請理由書(なぜ、その会社で働きたいかなど、就労ビザ取得を希望する理由を記載した出入国在留管理局あての上申書)の作成をしてもらうにとどめ、その他の申請書類のとりまとめは会社側が全面的にリードして行うべきだと思います。
 
就労ビザ取得の要件を備えているにもかかわらず、提出書類作成時の小さなミスによって、申請が不許可になってしまっては元も子もありません。
 
申請は一度不許可になっても、不許可理由を修正することができれば再度行えます。ただし、再申請にかかる労力は初回の申請に比べて倍増してしまいます。
 
将来を期待して、せっかく採用した優秀な人材を手続にかかる、ちょっとした時間や労力を惜しんだ結果、就労ビザ申請が不許可になり、採用を取り消さざるを得なくなるという、会社と外国人にとって不幸な結果を招くことがないよう、申請手続きについては会社側の全面的なリード、またはサポートのもとに行われることをお勧めします。

2021年4月更新

【Q22】

当社は、社長である私と妻の2人、他にパート社員1名から成る小規模IT企業です。資本金は300万円、昨年度末の売上は1千万円弱でした。

今回、業績拡大のために、中国進出を考えていて、そのためにどうしても必要な中国人社員の採用を希望しています。この社員を採用することで、来年度の売上は現在の2倍以上に増えることが予想され、どうしてもこの外国人の採用を成功させたいと考えていますが、当社のような企業規模の小さい会社がスポンサーとなり、外国人社員の就労ビザを申請して、許可される可能性はあるのでしょうか。

【A】

結論から言いますと、少し難しい申請となるでしょうが、全く不可能という訳ではありません。

出入国在留管理局が行う就労ビザの審査では、外国人本人に求められる要件(入社後に従事する職務内容に関連した学士号などの学歴または一定期間以上の職務経験など)と同時に、受け入れる企業に対しても、その【事業の適正性、安定性、継続性】が審査対象となります。

出入国在留管理局が、外国人を雇用しようとする企業の【事業の適正性・安定性・継続性】を審査する上で、判断基準にするのは以下のようなポイントです。

  • 事業に必要な許認可などを取得していて、何ら違法・不法行為を行っていないこと。
  • 資本金の大小
  • 営業活動により得られる売上高
  • 粗利益
  • 従業員数
  • 営業種別・営業品目・本社、支店、営業所などの施設状況
  • 既存の会社の場合は決算内容、新規の会社の場合は事業計画
  • 今後の事業が適正かつ確実に行われることの可能性

つまり、以下のように考えればわかりやすいかもしれません。

  • 会社が事業を行う上で、違法・不法行為を行っていないか。
  • 会社がその外国人にきちんと給与を支払うことができ、社会保険料などの負担も責任を持って負えるか。
  • 就労ビザを取得した外国人社員が、少なくとも在留期限内はきちんとその会社で働き続けることができるか(会社が短期間で倒産・廃業したりするような財務上の問題はないか)。

これらのポイントに関し、審査官を納得させることができれば、御社のような小規模企業であっても、就労ビザの許可を取得することは不可能ではありません。

では、このケースのような、【事業の安定性・継続性】に懸念を持たれる可能性のある小規模企業の場合、就労ビザの申請書類を作成する際にどのような工夫をすればいいのかということですが、以下にいくつか具体的なポイントを挙げておきます。

■ 来年度の売上見込額が今年度よりも上回るのであれば、本年度分と併せて来年度の決算見込も提出する。

就労ビザの申請時に提出が求められる提出書類の一つに「直近年度の決算書 」があります。(注: 企業カテゴリー3・4の事業所の場合)

企業カテゴリーとは?
就労ビザ申請において、外国人を雇用する雇用主をその企業規模ごとに分類し、提出書類の種類や数、また審査にかかる所要期間について差別化したもの。
以下の4種類に分けられ、カテゴリー1と2の企業については求められる提出書類が大幅に軽減、標準審査期間(処理期間)も短縮されている。
分類の概要は以下のとおり。* 詳細は法務省ウェブサイトより


■ カテゴリー1の事業所


■ カテゴリー2の事業所
  • 前年分の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の合計表」の源泉徴収税額が1千万円以上ある団体・個人
  • 在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関

■ カテゴリー3の事業所
  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) * 前年分の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の合計表」の源泉徴収税額が1千万円未満の団体・個人

■ カテゴリー4の事業所
  • カテゴリー1〜3のいずれにも該当しない団体・個人
       * 主に設立間もない、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の合計表」を提出していない新規設立企業や個人事業主などが該当。

海外から外国人を招へいするときの提出書類(企業カテゴリーごと)については以下、法務省のウェブサイトで確認してください。
  ・ 在留資格認定証明書交付申請(技術・人文知識・国際業務)・提出書類 (法務省)
 

設問のような小規模企業の場合、企業カテゴリーに関しては恐らくカテゴリー3・4に分類される事業所が多いと思いますので、直近年度分の決算書に加えて、来年度の売上見込みが既に立っていて、更にその数字が今年を上回るようであれば、来年度分の売上見込みの決算数字も追加して提出することをお勧めします。

もちろん、ただ単に、「来年度は●●万円の売り上げ増加を見込んでいます。」という記載だけでは、入管局に納得してもらうのは難しいでしょう。

ですので、●●万円の売り上げが会社のどの事業から、どのような計画の下、見込めるのかということを証明するために、たとえば、売掛先との業務契約書のコピー(売上見込の数字が記載されたもの)や、第三者である公認会計士などの専門家が評価して作成した予想収益を数字で表した資料などがあれば、そういった出来るだけ具体的な立証資料を添付するといいかもしれません。

■ その外国人を雇用することによって、大きな売上を見込める事業があるのなら、その事業計画書を提出する。

今回のように、雇用する外国人を中心に据えて展開する、特定の事業を計画している場合は、その事業に関する事業計画書を提出しましょう。

銀行などに借入を行う際に提出するような詳細な事業計画書でなくともかまいませんが、客観的に見て信頼できる、ある程度まで具体的な数字を記載した事業計画書を提出します。

この場合も、顧問税理士や公認会計士などの税務・財務の専門家に評価・作成してもらったものであれば、より信頼性の高い立証資料となるはずです。


以上、本設問のように、企業規模が小さく売上額が大きくはないという不利な条件下での就労ビザ申請においては、それら不利な条件を覆す、できるだけ具体的な数字が記載された信頼性の高い決算見込み書や事業計画書を作り込み、提出できるかどうかが許可・不許可の分かれ目になります。

また、それら事業計画書などに加えて、以下の書類も提出します。

■ 会社が、その外国人を雇用する必要があることを「申請理由書」で説明する。

就労ビザの申請において、申請を行う理由について、雇用主の名前で作成して提出する雇用理由書は審査結果に影響を及ぼす重要な提出書類の一つです。「雇用理由書」には主に、

  • 会社の事業内容や売上高の現状などの会社概要
  • 就労ビザを申請する外国人を雇用するに至った経緯や理由
  • 就労ビザを申請する外国人に就労してもらう具体的な職務内容

について記載します。
また、以上のポイントに加えて、

  • その外国人を雇用することによって、どうして会社の業績向上につながるのか。              

ということについても客観的に記載し、その外国人が持っている専門的な能力や技術(既存の日本人社員では代替できないこと)を証明することが重要です。

なお、このような雇用理由書を始め、事業計画書などを事業主が自ら作成する場合は、その外国人の就労ビザを取得したいという希望が強すぎるあまり、出入国在留管理局の審査官が見たときに、事業計画や売上見込みなどの点で客観性や具体性に欠ける資料にならないよう注意することが重要です。

できるだけ、客観的で信頼性のおける数字を提示し、加えてそれを補強する添付資料を提出することが、設問のような小規模企業様が就労ビザを取得する決め手になります。


2021年4月更新

【Q23】

当社は中国に本社がある外国法人です。今回、本国での事業拡大を目的に日本に駐在員事務所を設立することになりました。中国本社から駐在員事務所の代表者となる社員1名とその他赴任者を数名派遣したいと思っていますが、その場合の就労ビザはどのような流れで申請・取得すればいいのでしょうか。

【A】

外国法人が日本で駐在員事務所を開設するときの流れについては、就労ビザの申請も含めると大まかには以下のとおりです。

①  日本国内に事務所を設置する。【事務所を借りる】

② ①で設置した事務所の所在地を所管する出入国在留管理局で、親会社から派遣される外国人代表者と駐在員の「在留資格認定証明書(就労ビザ)」の申請を行う。
*  在留資格認定証明書の申請から結果が出るまでに通常1~3か月程度の時間がかかります。

③ ②で在留資格認定証明書が発行されたら、赴任者の母国にある日本大使館や領事館で査証を取得。その後、日本に入国し、駐在員事務所で活動(就労)を開始することが可能です。

④ 入国後、日本で居住地を定めて住民登録等(住所を定めて14日以内)の必要な手続き行う。

⑤ 銀行口座を開設する。

⑥ 業務開始 

⑦ 駐在員が日本の社会保険に加入する場合は、所管の税務署や年金事務所、労働基準監督署、ハローワークへ必要な届出を行う。 

*  ②の在留資格認定証明書交付申請の際、駐在員事務所の場合は代表者も含め、派遣社員の在留資格(ビザの種類)は、企業内転勤(中国法人から日本に設置した駐在員事務所へ派遣されている)という在留資格で申請するのが一般的です(在留資格「経営・管理」の場合もある)。

在留資格と認定証明書交付申請については以下のページで確認してください。

なお、企業内転勤という在留資格で、外国人(本設問では日本駐在員事務所に派遣される中国人)の在留資格認定証明書の交付申請を行うときに必要な条件や、提出書類などのポイントもみておきましょう。

■ 在留資格「企業内転勤」の外国人に対する許可基準は?

  • 外国の親会社などの派遣元企業において、直近の継続した勤続期間が最低「1年以上」であって、日本の事業所で行う業務内容が日本の入管法で規定されている、「技術・人文知識・国際業務」等の業務内容に該当していること。
  • 日本人が、その業務に従事する場合に受け取る報酬と同等額以上の報酬額を受けること。
     

■  在留資格「企業内転勤」で在留資格認定証明書を申請するために必要な立証資料は?(外国にある本社の各種証明書類など)

  • 中国本社の存在が公的に証明できる書類(本国で公的機関から発行された営業許可証やその日本語訳など)および中国本社と日本の受入れ機関(設問の場合は日本駐在員事務所)との関係性を証明できる書類の提出が必要。
  • 中国本社の売上などが安定していることを証明できる書類(日本の決算書にあたるものとその日本語訳など)が必要。
  • その他、海外転勤に関する辞令書など出入国在留管理局が求める立証資料 

なお、上記の在留資格認定証明書交付を申請(申請書類を出入国在留管理局へ提出)してから、結果が出るまでには通常1か月〜3か月程度かかります。
* 事案によっては3ヶ月以上かかることもあります。


ちなみに、法人登記が必要ない日本駐在員事務所の場合、日本国内での事務所設置を証明できる資料として、事務所の賃貸借契約書の写しや所得税の給与支払事務所の開設届、社会保険の資格取得に関する届出などの写しも、在留資格認定証明書(ビザ)申請には重要な立証資料になるので、必要に応じて、これらの資料も提出します。

このように、日本駐在員事務所の在留資格認定証明書申請手続きについては、上述のような駐在員事務所の実態を証明する日本の公的機関で発行された立証書類の提出が必要になるため、基本的に駐在員事務所の設置(事務所を賃貸し、必要な税務・保険関係の手続きを行うこと)前に、在留資格認定証明書の申請を行うことはできません。


 

2021年4月更新

【Q24】

当社は香港法人の出資で設立された日本子会社です。設立手続の便宜上、日本子会社の代表者個人の100%の出資ということで登記されているため登記上では親会社の存在を証明できません。                                                                                       
今回、親会社から「企業内転勤」の在留資格で外国人転勤者を呼び寄せるため、出入国在留管理局に、在留資格認定証明書(海外から外国人を招へいするビザ)の申請を行いました。
しかし、上述のような理由により、適正な立証資料を提出できず「親会社と子会社の関係であると認められない」という理由で許可がされませんでした。
再度申請したいのですが、今回問題になった、親会社と日本子会社の関係を証明するためにはどのようにすればいいでしょうか。

【A】

企業内転勤ビザが認められる、日本国内の事業所と海外の事業所の関係は、日本国内の事業所と派遣元である海外の事業所が、「本店・支店・営業所」関係であること、また、「親会社間と子会社間」、「親会社と孫会社間」、「子会社と孫会社間」、「系列会社間」等があります(出入国管理及び難民認定法別表第一)。

海外の親会社や子会社・系列会社からの外国人出向者を、在留資格「企業内転勤」で招へいするためには、御社と外の親会社等との関係を証明する必要がありますが、今回のように、外国法人が親会社として出資をしているにも関わらず、便宜上、日本法人の代表者等が100%出資する形で日本法人を設立登記している場合など、日本法人の登記簿上には親会社である海外法人の名前が一切表示されず、親会社との関係を証明するのが難しい場合もあります。

そのような場合は、親会社等が御社に運転資金として相当額の資金を海外送金している銀行関連の証明書類を提出するなどが考えられますが、それにしても、そのように限定された書類だけでは立証に苦労することもあります。

したがって、もし可能であれば、御社と親会社等との間で、正式に(日本法に則った)株式譲渡契約を取り交わし、名実共に親子・関連・系列会社として出資関係を成立させた後に、出入国在留管理局が認定可能な各種立証資料(株式譲渡契約書など)を添付の上、再申請を行えば、企業内転勤の在留資格認定証明書が許可される可能性があります。
 
「親会社」、「子会社」、「関連会社」の定義は以下のリンクで確認してください。

・ 財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則第8条 (定義) 
(電子政府の総合窓口・e-Gov)

ちなみに、株式譲渡を行った上で、企業内転勤ビザの申請を行う場合、提出する立証書類の例として、通常の日本支社の登記簿謄本や決算書に加えて以下のような書類が考えられます。

  • 親会社等の登記簿謄本に当る、海外法人に関する証明書類
  • 親会社等との間で取り交わした株式譲渡契約書のコピー
  • 上記株式譲渡契約書に署名した親会社等の代表者などのサイン証明書
  • (日本法に則った株式譲渡後の)株主名簿 等

また、以上のような株式譲渡の方法もとれず、どうしても親子・系列会社関係を証明できない場合で、海外の関係会社から外国人社員を派遣してもらうためには、日本の受入会社と外国人が直接雇用契約書を結んで、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格で、在留資格認定証明書交付申請を行い、日本に呼び寄せることも考えられます。

しかし、その場合は「企業内転勤」ビザと異なり、呼び寄せる外国人の学歴(派遣後に従事するする職務内容に関連する分野を専攻した大卒資格など)や職歴(従事する職務内容に関連する10年または3年の職歴など)について条件が課されます。

また、一部のアジア諸国については、大卒者が少ないため、このような方法も不可能な場合が多く、そうした国の関係会社に勤務するベテランの外国人実務経験者がどうしても必要な場合はやはり、なんとか関係会社との関係をしっかりと証明し、「企業内転勤」ビザの許可を得るしかありません。

企業内転勤ビザについては、「大卒資格や関連する実務経験10年等・3年」などの条件はありませんが、海外の派遣元事業所における、(直近で継続する)在籍期間が1年以上あることが条件となっています。

在留資格「企業内転勤」については、転勤者に関する条件や必要な提出資料など、下記のQ&A集でも詳しく解説しています。


2021年4月更新

【Q25】

インド料理のレストランを経営しています。今回、インドより調理師を呼び寄せて当店で働いてもらおうと、「技能」の在留資格認定証明書交付申請を行ったところ、提出したインドのレストランでの在職証明書に問題があるとして申請が不交付処分となり、招へいのための就労ビザが許可されず、日本に呼び寄せることができませんでした。このような場合、この方の招へいは諦めるしかないのでしょうか。

【A】

外国料理の調理師など、特別な技能を有すると認められる外国人に与えられる在留資格(ビザ)である、「技能」(外国料理の調理師以外にも、建築・土木技術者、宝石・毛皮加工技術者、動物の調教師、パイロットやスポーツ指導者、ソムリエ等が該当)の取得要件を満たすためには、それぞれの職業ごとに定められた実務経験とそれを証明する立証資料が必要です。

本設問のように、インド料理店のコックさんを日本に呼び寄せて働いてもらうには、出入国在留管理局に対して行う在留資格認定証明書交付申請時に、この方が過去「10年間」、インド料理の調理師として働いていたことを証明する在籍証明書/Certificate of Employmentを提出しなければなりません。

この在籍証明書は、外国人が実際に働いていたお店や会社の責任者(オーナーや人事担当責任者)が作成し、署名をしたものを提出しますが、書面中には外国人本人の氏名・生年月日、また証明書を発行する会社や店の所在地・電話番号などの連絡先といった基本的な項目の他に、以下の項目を必ず記載してもらいます。

  • 正確な在籍期間(●●年●月〜●●月まで)
  • 職種(例: タンドリー料理の調理師)
  • 証明書の発行者の氏名・職種・タイトル・連絡先など店・会社に関する証明事項

出入国在留管理局では、これらの記載情報をもとに、貴店が招へいする外国人に就労ビザ(在留資格認定証明書)を許可する職務経験があるかどうか審査します(外国料理の場合は通算10年の実務経験が必要。「技能」に該当する他の職種については実務経験の年数など個別に要件あり)。

なお、この審査では書面上の調査だけではなく、実際に証明書を発行した会社やお店に直接連絡をとって確認作業も行われています。

設問のケースでは、出入国在留管理局で、在留資格認定証明書(就労ビザ)不交付理由の調査(直接、出入国在留管理局の窓口で、在留資格認定証明書が許可されなかった理由を確認すること)を行ったところ、出入国在留管理局が提出された在籍証明書をもとに現地に直接確認をした際に、証明書に記載された内容の在籍確認がとれなかったため、申請を却下し、許可を出さなかったいう回答を得ました。
具体的には、調査を受けた在籍証明書を発行した前職の勤務先が、申請者である外国人が在職していたという事実を否定したそうです。


外国人調理師として、在留資格「技能」を取得するためには、外国料理の調理師経験が10年以上必要であることは入管法上、明記されている絶対条件です。

この職務経験を出入国在留管理局の調査で認定してもらえなかったということは、在留資格を取得する条件が整っていないということになりますので、残念ながら貴店で、その方を調理師として呼び寄せて働いてもらうことはできません。

したがって、この方の実務経験が10年になった時点で再度、在留資格認定証明交付申請を行うか(確実に在職証明を取得できることが条件)、または職務経験に関する要件を確実に満たしている別の候補者を探すしかないでしょう。

余談ですが、今回のように「技能」での申請以外の在留資格(就労ビザ)でも、在籍証明書によって実務経験を証明しなければならない場合があります。

前出のような要件を満たした在籍証明書を問題なく提出できる場合はいいのですが、外国人ご本人がそうした過不足のない在籍証明書をお持ちでない場合も多々あります。

そのような場合は、以前勤務していた会社や店に依頼して在籍証明書を発行してもらうことになりますが、それら前職の勤務先がすでに廃業してしまっているようなことも珍しくないでしょう。そうした場合は在籍証明書を取り寄せることができません。

そのようなケースでは、社会保障システムが整備された国の出身者であれば厚生年金や雇用保険の加入履歴など在籍証明書の代わりになる書類を提出を提出したり、一方、公的な代替証明書類が存在しない国の出身者であれば、会社から給与が振り込まれていた預金通帳のコピーなどを代わりに提出することも考えられます。

ただし、社会保障加入履歴などの公的な証明書を提出できたとしても、その書面中に正確な在籍期間や担当していた職種など立証が必要不可欠な証明事項が不足している場合、就労ビザの申請は許可されない可能性があるので注意してください。


021年4月更新

【Q26】 

在留資格変更申請(在留期間更新許可申請を含む)が不許可になってしまいました。帰国しなければなりませんが在留期間が切れるまでに数日しかありません。帰国準備をするために在留期限を伸ばしてもらうことはできますか。

【A】

在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請を行って、残念ながら申請が不許可(就労ビザが許可または更新されず、今後日本に在留することができないということ)になってしまうことがあります。

のような場合、出入国在留管理局から通知された不許可理由にもよりますが、申請内容を修正したり、立証書類を追加するなどして本来の在留期限が切れるまでに、再申請を行うことも考えられます。

一方、不許可理由によっては、再申請をしても許可がおりる可能性が低いなどの事情で、外国人本人・雇用主である会社も、それ以上の在留・雇用を諦めて帰国を考える場合もあるでしょう。

そうした場合で、帰国準備のために一定期間、在留期限を伸ばしてもらいたいときには以下、2つの方法があります。

■  不許可が決定されてから、本来の在留期限が切れるまでに数日しかない場合

外国人本人が管轄の直接出入国在留管理局を訪問し、パスポートや在留カードと一緒に、・申請内容変更申出書(在留資格変更許可申請あるいは在留期間更新許可申請を撤回し、出国準備のための短期滞在ビザに変更申請するという申出書)と、・短期滞在への在留資格変更許可申請書4,000円の印紙税と共に納めれば、出入国在留管理局では通常「出国準備のための短期滞在」ビザ(通常30日)を許可してもらえます。

■ 不許可が決定された時点で既に本来の在留期限が切れている場合

在留期間更新許可申請については、現存の在留期間満了日までに更新申請をすればよいことになっています。したがって、在留期間満了日が迫った上で更新申請を行った場合は、審査が終了し不許可が決定された時点では既に本来の在留期限が切れている場合があります(それ自体は違法ではありません)。

そのような場合も実務上、前述の「出国準備のための短期滞在」申請と同様に、出入国在留管理局に申請すれば、「出国準備のための特定活動」という短期の在留資格(ビザ)を許可してもらえることが殆どです(日常的な残務整理を処理するのに適当な期間を出入国在留管理局が適宜決定)。

出国準備に、一定期間の時間を要する場合は必ず申請して許可を得ておきましょう。

なお、いずれにしろ、在留資格変更許可/在留期間更新許可申請が不許可になり、いったん帰国した場合は、帰国後、不許可理由の修正を行って、再度スポンサーとなる企業が海外から日本に呼び寄せる「在留資格認定証明書交付申請」を行うしか、再び就労ビザを取得する方法はありません。

このように、一度不許可になった申請を一転して覆すのは、通常の申請に比べてとても難しく、あくまでも不許可理由にもよりますが同じ申請内容で許可を得ることは不可能である場合も少なくありません。

したがって、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請は、できるだけ早め早めに行い(直前の在留期間満了日の約3か月前から行うことが可能です。)、仮に結果が不許可となってしまった場合は、本来の在留期限が切れるまでに再申請を行うことができる時間的な余裕を残しておくことが重要です。

なお、申請が不許可になった場合、先ず一番に行うことは、出入国管理局を訪問し不許可理由を確認することです。

不許可理由は、申請を行った外国人や雇用主が出入国在留管理局に出向いて直接審査官に確認することができます。

ただし、この確認については、日本語があまり得意でない場合は特に外国人本人一人で行って行うのではなく、入管事務に知識をお持ちの人事担当者や会社の代表者、その変更・更新申請を取次いだ行政書士等が同伴し、入国審査官の回答を正確に理解して帰ってくることが最も大切なポイントです。

どうして申請が不許可だったのか。申請内容を修正することによって再度申請をして許可される可能性があるのか、ないのか。ある場合、どのような修正を行う必要があるのか。

これらのポイントを正確に理解して、再申請を行うか、行う場合はどのような書類を追加提出するかについて、一定の決定権をお持ちの会社関係者の同席が、今後の対応を決定するために最も重要だと言えます。


2021年4月更新

【Q27】 

在留資格「技術・人文知識・国際業務」 を保持して日本で働く外国人です。会社の業績不振により先日、勤務していた会社から解雇されました。現在持っているビザの在留期限まで、残り2年ほどあります。日本に残る予定で現在求職活動中ですが仕事はまだ見つかっていません。失業中も現在のビザで日本に在留し続けることは可能でしょうか。

【A】

2008年の金融危機を機に、法務省は外国人労働者の失業に対応するため、就労ビザを保持している労働者が勤務先の都合(業績悪化や倒産など)による失業(退職勧奨や解雇)または、自宅待機を命じられた場合の措置として、2009年に以下のような対策を発表し、2021年現在も継続して同様の対応をしています。

■ 解雇や退職勧奨・雇い止めによる"失業"の場合

外国人労働者が勤務先の急激な業績悪化や倒産が理由で、解雇された、あるいは【※】「退職勧奨」に従って退職した場合、または有期雇用契約社員が【※】雇い止めに遭い失業した場合

【※】 「退職勧奨による退職」とは?

解雇ではないけれども、会社都合により自主退職を勧められたことにより自らの意思で退職を申し出ること。転職などを希望する場合の自己都合による退職とは異なります。会社が「会社都合による退職」として退職証明書・雇用保険の離職証明書(離職票)を発行する退職理由です。

【※】「契約社員の雇い止め」とは?

6か月や1年などの期間を決めて雇用契約を結び、働いていた社員が直前の雇用期間の満了後、次回の契約を更新してもらうことができず雇用期間満了時点で失職・失業することをいいます。

  • 失業後も、求職活動を引き続き行っていれば、現在持っている就労ビザは有効。現在持っている在留資格と在留期間(期限)は取消されることはなく、期間満了日まで日本に滞在することができます。また、現在のビザが切れるまでの失業期間中については、「退職勧奨による退職」または「解雇」であることを証明する、(前雇用主が発行した)「退職証明書」を出入国在留管理局に提出した上で「資格外活動許可」を得ることができれば、週28時間以内の稼動時間に限ってアルバイトをすることも可能となります。
  • それまで持っていた就労ビザの在留期限が切れた後もなお、新しい仕事が見つからない場合で、かつ継続して求職活動を行っていれば、出入国在留管理局に申請することにより90日」の「短期滞在」のビザが取得できる可能性があります。この、「短期滞在」期間中も、「資格外活動」の許可は有効で制限時間内でアルバイトをすることができます。なお、失業者の家族も同様に、「家族滞在」から「短期滞在」に在留資格変更申請が必要ですのでご注意ください。

以上、ご質問については上記の通り、まずは現在お持ちの「技術・人文知識・国際業務」の在留期間2年間はそのまま有効ですので、その間に求職活動を行いながら日本に滞在することは可能です。

また、就職活動中の生活費をまかなうために、週28時間以内でアルバイトをすることもできますが、その場合、必ず事前に出入国在留管理局に資格外活動を申請して許可を得ることが必要です。

また、もしも2年以内にどうしても新しい仕事が見つからない場合で引き続き求職活動を行っている場合、在留期間が満了する前に出入国在留管理局に「短期滞在」ビザへの在留資格変更許可申請を行えば、「90日」のビザがおりる可能性があります。

その場合、「家族滞在」を所持されているご家族と一緒に在留しているのであれば、必ずご家族の在留資格変更許可申請(「家族滞在」から「短期滞在」)も行ってください。

ただし、この特例措置については雇用している会社の倒産や業績悪化に伴う、やむを得ない人員削減によって行われた解雇や退職勧奨・雇い止めに遭った外国人が対象とされています。

それ以外の自己都合退職はもちろん、外国人本人の能力不足・勤務成績や態度を理由とした解雇や退職勧奨・雇い止めに関しては基本的に、上述のような措置(資格外活動許可の付与など)が認められる可能性は低いので、ご注意ください。上述の特例措置の対象になるかどうか、ご自身で判断できない場合は、管轄の出入国在留管理局に相談してください。

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行政書士 小島 健太郎

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