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このページでは、外国会社や外国人社員の人事労務管理について、わかりやすいQ&A方式で説明しています。


■ 外国人雇用のQ&A集②

・ ご覧になりたい項目をクリックしてください。随時、更新・追加の予定です。
・ 公開(更新・訂正)年月は各設問の冒頭でご確認ください。

            質問内容
Q8 社会保険加入が条件となる?/就労ビザ期間更新・資格変更 当社は、健康・厚生年金保険(=社会保険)の強制適用事業所なのですが、会社として社会保険に加入していません。先日、雇用している外国人社員が当社がスポンサーとして毎回更新している就労ビザの在留期間更新申請について、入国管理局において健康保険証の提示を求められたと相談してきました。健康保険や厚生年金に加入していない当社の場合、雇用している外国人の就労ビザ更新はできないのでしょうか。
Q9 外国人応募者の在留資格確認方法 求人広告に応募してきた外国人がとても良い人材なのでぜひ採用したいと思います。日本で働くことができる在留資格を持っているのか、持っていない場合、どのような手続きを踏めば正規の就労ビザが取得できるのか確認方法を教えてください。
Q10 外国人社員に社宅を提供するときの注意点 新しく雇用した外国人社員に、当社が借り上げている社宅を提供したいと思います。家賃の控除やその他、社宅使用上の注意点など何か特に日本人に対する取扱と異なる点がありますか。
Q11 外国人社員の所得税に関する扶養認定に必要な証明書 新しく雇用した外国人社員に、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらいました。それによると扶養親族が母国に複数名いるようです。後々、税務署の調査等が入ったときに備え、外国人社員の海外にいる扶養親族に関する証明書類としてどのようなものを準備しておけばいいのか教えてください。 
Q12 外国語が通じる病院探し  新しく雇用した外国人社員から、「母国語又は英語が通じる医療機関を紹介してほしい。」と頼まれました。最近は英語など外国語が通じる病院も多くなってきたようですが、社員の自宅に近い最寄の医療機関を探すにはどのような方法がありますか。
Q13 退職した社員に関する入管局への連絡  自社の外国人社員が退職しました。退職したことを出入国在留管理局に連絡する必要はありますか?また、連絡する場合、どのような方法をとればいいのでしょうか? 
Q14  試用期間中(満了後)の社員を解雇する 

当社で働く、試用期間中の外国人社員ですが、遅刻・欠勤が多い、顧客に対する対応に問題があるなど、今後雇用を継続していくことが難しく、残念ですが試用期間中(又は試用期間満了後)に解雇したいと思っています。解雇の手順、その後、必要な手続きなど注意点があれば教えてください。 

Q15 外国人社員向けの退職証明書  退職する外国人社員に、退職証明書の交付を求められました。次回のビザ更新にも必要だそうです。どのような形式の退職証明書を発行すればよいのか教えてください。 

2021年3月更新

【Q8】

当社は、健康・厚生年金保険(=社会保険)の強制適用事業所なのですが、会社として社会保険に加入していません。先日、雇用している外国人社員が、当社がスポンサーとして毎回更新している就労ビザの在留期間更新申請時に、出入国在留管理局で健康保険証の提出を求められたということで相談してきました。健康保険や厚生年金に加入していない場合は雇用する外国人社員の就労ビザ更新はできないのでしょうか。 

【A】

2009年3月に発表された、在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン(改正/出入国在留管理局)によると、2010年4月以降、外国人労働者が、「在留期間の更新許可申請」(就労ビザの期間更新)および、「在留資格の変更許可申請」(就労ビザの種類変更・転職などをしたときに必要)を行う際、入国管理局の窓口において、健康保険証を提示することが義務付けられました。

ただし、このガイドラインについては、2010年以降、さらに改正が行われ、「健康保険証の窓口での提示は求めるものの、健康保険証を提示できないことのみをもって在留期間の更新などを不許可とすることはありません」と追加で公表されています。

したがって、健康保険・厚生年金に加入しなければならない条件に当てはまっている企業・労働者でありながら、加入していない(=健康保険証を提示できない)外国人労働者や雇用主が就労ビザ更新や変更の申請を行った場合であっても、その事のみをもって、就労ビザの変更や更新ができないという訳ではありません。

ただし、社会保険加入の有無がビザ変更や更新について、どの程度影響するかということについては、出入国在留管理局は基準を公表しておらず、個別のケースごとに総合的に判断しているようです。

御社の場合、社会保険の強制適用事業所【法律上、社会保険に必ず加入しなければならない事業所】に該当し、雇用している外国人社員は、これら社会保険に必ず加入しなければならない雇用条件の下、働いています。

したがって、就労ビザの延長問題に限らず、企業の法令順守と労働者の権利保護のためにも、この際、きちんと社会保険に加入した上で、今後、外国人社員の在留期間更新申請を行う場合は、出入国在管理局に対して健康保険証の提示をなさることをお勧めします。
 

社会保険の強制適用の事業所に勤務する社員であっても健康保険証の提示をしないことによって、在留期間更新や在留資格変更等の申請が拒否されることはありません(2017年現在・東京出入国在留管理局取扱)。

社会保険の強制適用事業所、必ず加入しなければならない社員の条件はこちらで確認してください。

なお、以下のガイドラインの改正では、他に以下のような基準も追加されています。
これらの点は、社会保険加入以外にも、外国人労働者を雇用する企業にとって特に重要な留意点になります。こちらもご確認ください。

 

・ 在留資格の変更、在留期間の更新のガイドライン  (法務省/2020年2月更新) 

 

■ 就労ビザ更新に関して改正された主な審査基準 

  • 雇用・労働条件が適正であること
    【出入国在留管理局】 我が国で就労している(しようとする)場合には,アルバイトを含めその雇用・労働条件が,労働関係法規に適合していることが必要です。
    なお,労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は,通常,申請人である外国人に責はないため,この点を十分に勘案して許否を決定します。
  • 納税義務を履行していること
    【出入国在留管理局】 納税の義務がある場合には,当該納税義務を履行していることが求められ,納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。例えば,納税義務の不履行により刑を受けている場合は,納税義務を履行していないと判断されます。 なお,刑を受けていなくても,高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も,悪質なものについては同様に取り扱います。
  • 入管法に定める届出等の義務を履行していること 
  • 【出入国在留管理局】 入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人の方は,入管法第19条の7から第19条の13まで,第19条の15及び第19条の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出,在留カードの有効期間更新申請,紛失等による在留カードの再交付申請,在留カードの返納,所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です(以下略、詳細は上記リンクで確認)。  
                       

2021年4月更新

【Q9】

求人広告に応募してきた外国人がとても良い人材なのでぜひ採用したいと思います。日本で働くことができる在留資格を持っているのか、持っていない場合、どのような手続きを踏めば正規の就労ビザが取得できるのか確認方法を教えてください。

【A】 

日本に住んでいる外国人には、それぞれに在留資格(ビザ)が与えられ、その在留資格内で定められた(就労)活動が認められています。
在留資格には、2021年4月現在、現在全部で29種類があり、日本で働くことが認められている在留資格は、その内の19種類です。

この在留資格制度においては、個々の在留資格の範囲で行える活動内容(=仕事内容・職種)がそれぞれ限定されています。

たとえば、御社がその方をシステムエンジニアなど、技術者として雇用する場合、その方が持っている在留資格(=就労ビザ)は、「技術・人文知識・国際業務」というものでなければなりません。

なお、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の在留資格に関しては、活動内容(職種)の制限はありません。
したがって、これらの在留資格の保持者については、在留カードの提示を求め、在留資格の種類を確認した上で、在留期間(在留期限)のみ確認を行います(「永住者」は無期限で日本に在留できる資格であり、在留期間の確認を行う必要も基本的にはありません)。


一方、「永住者」などの在留資格ではない、「技術・人文知識・国際業務」などの一般的な就労系の在留資格を持つ外国人を雇用する場合で、その方が、御社で担当する仕事内容に合致しない在留資格を持っているときには、そのままの状態では雇用することはできず、採用を断念するか、または可能であれば、現在持っている在留資格を変更する手続き、在留資格変更許可申請を外国人の居住地を管轄する出入国在留管理局に対して行い、許可を受けられれば採用することが可能です。

以上のように、採用を考えている外国人に対しては、まず、在留カードの提示を求め、現在の在留資格や在留期限を確認していただく必要があります。
在留カードの見方と、在留カードが偽造されたものでないかどうかの確認については、以下法務省のウェブサイトで確認してください。

・ 在留カードの見方

・ 在留カード等読取アプリケーション サポートページ (いずれも法務省)

なお、住所変更を行っている場合は、カード裏面に追加情報が記載されているので、表面だけではなく必ず裏面も確認します。

外国人が、現に所持している在留資格で認められていない活動を行うことを不法就労と言いますが、不法就労を行う外国人を、在留資格や在留期限の確認を怠って雇用した企業にも、不法就労助長罪という刑罰が科されることもありますので、この確認作業には十分な注意が必要です。

 不法就労助長罪(入管法第73条の2第1項) 

300万円以下の罰金、営利目的の場合は、1年以上10年以下の懲役及び1,000万円以下の罰金

当ウェブサイトでも、下記のページで、採用の流れや就労ビザの具体的な手続き方法を紹介しています。

それでも、どうしても「採用が可能な候補者なのかどうか判断できない...」という企業様には、当事務所でご相談をお受けいたします。
初回相談は無料ですのでご連絡ください。


021年4月更新

【Q10】

新しく雇用した外国人社員に、当社が借り上げている社宅を提供したいと思います。家賃の控除やその他、社宅使用上の注意点など何か特に日本人に対する取扱と異なる点がありますか。

【A】

外国人社員に限らず、会社が従業員を社宅に住まわせる場合は主に以下の点に留意してください。

■ 保証人をつけてもらい、「社宅使用にかかる保証書」を作成、署名をもらっておく。

保証人をつけてもらうことによって、たとえば、入居社員が退職した後、家賃を支払わずに退去したり、逆に退職した社員が退去せずに社宅に住み続けるなどのトラブルが起こった場合、 保証人に対して滞納した家賃を請求し、また、退去を拒否する社員を説得してもらうことができます。

その他、予想される様々な社宅に関わるトラブルを防ぐためにも、身元保証人(身元保証書)とは別に、社宅入居に係る保証人(保証書)を立てておくといいでしょう。

ちなみに、社宅入居に関わる保証人が、入社時の身元保証人と同一人でもかまいません。

ただし、海外から招へいし、初めて来日する外国人社員については日本国内に知り合いがいないことがほとんどです。
その場合は、身元保証人を立ててもらう事はできませんので、少なくとも、後述の、「生活上の注意・退去時の注意事項等に関する確認書」を作成し、外国人社員の署名をとっておくことが望ましいでしょう。

■ 社宅を使用する上で守ってもらう生活上の注意(ゴミの出し方など)や、退去時の注意事項などを記載した確認書を作成し、入居社員の署名をとっておく。

外国人の場合は、日本のゴミ出し等の基本的なルールや日本特有の生活知識が不足していることから、本人にその意図がなくても、なんらかのトラブルが起こる可能性があります。

ですので、会社側があらかじめ、基本的な社宅利用ルールを十分説明すると共に、それでも、本人が注意を怠って社宅使用に伴い、会社に損害を与えるようなトラブルを起こした場合は、それに対する損害賠償や、原状回復義務(室内を汚してしまった、キズをつけてしまったときには元の状態に戻すこと)を明記した確認書を取り交わし、入居社員の署名を取っておくことが必要です。

■ 家賃の控除についての注意点

社宅を提供する場合、社宅手当として一定額を社員の給与から控除する方法と、賃金を支払った後に社員が会社に対して直接支払う方法がありますが、これは会社の規程に従って処理することになります。

なお、以下のような、外国人社員に対する社宅費用の取り扱いとして、気をつけなければならない点もあります。

外国人社員を雇用する会社の中でも、給与計算業務にあまり慣れていない、家族的な経営をされている企業や飲食店業など小規模な事業所に時々見られるのですが、雇用している外国人スタッフ(事業主本人が外国人で、起業に伴って自国から友人や家族などを呼び寄せて雇用しているケースなど)を自社の借上げ社宅や会社や事業主が所有している住宅に住まわせ、家賃はもちろん光熱費なども全額会社持ち、それら費用を差し引いた額を純粋に給与として支給している会社が時々あるようです。

このような場合は、例えば総支給額は25万円と規定し、その中から家賃5万円、光熱費などの経費3万円の計8万円は、会社側が完全に負担して支払い、残り17万円を単純に給与として外国人スタッフに支払ってしまうと、手取り給与額が実態を示さず、 相当に低い額となってしまいます。

こういった取扱いは、税法上や労働・社会保険法上にも大きな問題があるだけではなく、外国人スタッフの次回の就労ビザの更新という面からも重要なデメリットとなります。

就労ビザは、問題がなければ何回でも更新することは可能ですが、更新の際には、前年度分の課税証明書や納税証明書の提出が必要です。
それらの証明書には会社からいくら給与を受けて、いくら納税したかが一目瞭然で記載されます。

したがって、納税証明書などに記載される額が、以上に説明したように、社宅費や生活費を除いて支給した単純な手取り額だけであると、外国人に対し、不当に低い給与しか会社側が支払っていないと入管局に判断され、就労ビザの許可基準を下回り、ビザが更新されない...という結果にならないとも限りません。

会社が、外国人スタッフの社宅費用や光熱費などの負担をするのであれば、給与計算上、必ずそれらの費用は、「現物支給」分として、その分の総額も支払給与額に必ず含めるように処理をしてください。

 


2021年4月更新

【Q11】

新しく雇用した外国人社員に、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらいました。
それによると扶養親族が母国に複数名いるようです。後々、税務署の調査が入ったときに備え、外国人社員の海外にいる扶養親族に関する証明書類としてどのようなものを準備しておけばいいのか教えてください。

【A】

所得税法上、社員本人と、「生計を一にする扶養親族」であれば申告する扶養親族の数に制限はありません。扶養親族の範囲や書式については、以下の国税庁のホームページをご覧ください。

・  給与所得者の扶養控除等異動申告書 ・解説と書式 (国税庁)

外国人社員の場合、条件に当てはまれば海外に住んでいる親族を扶養親族としてカウントし、所得税の負担を減らすことができますが、その場合、後々の税務調査に備えて、必ず下記のような書類を準備しておくよう、御社から外国人社員本人に指導してください。

 ① 外国人社員が海外の扶養家族に生活費として送金した海外送金の証明書控

 ② 外国人社員と扶養親族の関係を証明できる公的な証明書類

①については、社員が扶養親族と「生計を一にしている」、すなわち「お財布が一緒である=扶養親族が生活を維持できる程度の額を送金している」という客観的な証明書類として、海外送金の控えや通帳のコピーなどが必要です。

一時帰国をしたときに、直接現金で手渡すような方法では、生活費を渡している証明ができません。

銀行振込などで送金を行った証明ができるよう、外国人社員に対する指導を行ってください。
海外送金については、必ずしも毎月の送金証明が必要な訳ではなく、3ヶ月、半年、または1年に1回などでの送金頻度でも問題ありませんが、必ず、その扶養親族の生活を維持している事実を客観的に証明できる金額で記録を残す必要があります。

また、②の扶養親族関係を証明する公的な書類としては、海外の場合、多くの国には日本のような戸籍制度がありませんので、結婚証明書や出生証明書など、その国の行政機関が発行する公的な証明書とその日本語訳が必要となります。

税務署の税務調査が行われた場合、以上の海外送金証明書や身分関係を証明する公的書類の提出を求められます。
これらの書類を提出できないときは、それまで納めた所得税の修正申告を求められることもありますので、後々、そのようなことにならないよう、必要な証明書類については、外国人社員に対して予め十分説明し、準備しておくように指導されることをお勧めします。
 

 


 2021年4月更新

【Q12】

新しく雇用した外国人社員から、「母国語又は英語が通じる医療機関を紹介してほしい」と頼まれました。最近は英語など外国語が通じる病院も多くなってきたようですが、社員の自宅に近い最寄の医療機関を探すにはどのような方法がありますか。

【A】

おたずねのとおり、最近は英語等外国語が通じる医療機関も増えているようですが、その事を看板などで大きく謳っているところはあまり多くはないようです。

外国人社員にとって、また御社にとっても、せっかく健康保険料を負担しているのに、言葉の問題で医療機関にかかれないというのでは困ります。
こういった問題を解決するためは、AMDA国際医療情報センターや、東京都医療機関案内サービスなどの、旅行者や在日外国人のために設立された医療情報センターを利用するのも一つの方法です。

AMDA国際医療情報センターや東京都医療機関案内サービスは、日本語がわからない外国人を対象に英語はもちろん、中国語、韓国語、スペイン語、アラビア語、ポルトガル語、フィリピン語などで、主に電話相談を中心とし相談業務やシンポジウム開催などを行っており、電話相談については「無料」です。

こうしたサービス機関は、外国語対応の医院紹介や外国人医師の有無をはじめ、薬の説明など、希望する外国語で対応してくれます。
ただし、電話相談については、言語によって相談スケジュールが決まっています。詳しくはホームページや電話で直接センターに確認してください。

また、患者である外国人だけでなく、外国人を雇用している会社や団体などの相談も受けてくれます。

日本の健康保険の説明や問診表などの各国語版下記のリンク先から閲覧できます。

・ AMDA 国際医療情報センター(日本語トップページ)

・ 東京都医療機関案内サービス(日本語トップページ) *英語などの多言語ページあり

 


2021年4月更新

【Q13】

自社で雇用する外国人社員が退職しました。退職したことを出入国在留管理局に連絡する必要はありますか?連絡する場合は、どのような方法をとればいいのでしょうか?

【A】 

2012年7月にスタートした、新しい在留管理制度によって、自社で雇用する「中長期在留者」 (*在留資格「芸術」,「宗教」,「報道」,「技能実習」を除く。) で、就労系の在留資格を保持している外国人社員が退職した場合は、退職後「14日以内」に入管庁に対して届出を行う義務が発生しました。

この届出の詳細は、当ウェブサイトの別ページで詳しく記載しています。そちらで確認してください。


2021年4月更新

【Q14】

当社で働く試用期間中の外国人社員ですが、遅刻・欠勤が多い、顧客に対する対応に問題があるなど、今後雇用を継続していくことが難しく、残念ですが試用期間中(又は試用期間満了後)に解雇したいと思っています。解雇の手順、その後、必要な手続きなど注意点があれば教えてください。

【A】

試用期間は、御社が社員の能力や適正に関して、「本採用」が可能かどうかを見極める期間のことで、多くの会社がこの制度を導入していることと思います。

また、「解雇」というのは、試用期間中(期間満了後)の解雇も含め、やり方を間違えれば、対象の社員から訴訟を起こされる可能性をはらんだ、会社にとっても最大限、慎重に行うべき最終手段といえます。

ちなみに、「試用期間中(満了後)の解雇」は、これまでの裁判例や慣習では「本採用期間中の解雇」よりも、法律的にはその正当性が認められやすいといわれています。

つまり、解雇された社員が、解雇を不服として裁判を起こした場合、会社が主張する解雇理由の正当性が、本採用中の社員の解雇に対するそれよりも、いくぶんかは認められやすいということです。

ただし、いくら試用期間中(満了後)の社員だからといって、客観的に誰もが納得できるような理由もなしに、簡単に安易な解雇ができるということではありません。
そのことをご理解いただき、それでもどうしても解雇する(=本採用を行わない)ということであれば、解雇にあたり、以下の点を十分注意してください。


■ 外国人社員の試用期間中(完了後)の解雇に関する大原則 

社員の採用に際して、試用期間を適用するか、しないか、また試用期間中(または満了後)に解雇する場合は、解雇時の手続きについて、日本人と同様の手順を踏まなければなりません。
たとえば、外国人だという理由で試用期間を他の日本人社員に比べて長くする、また解雇後の解雇手当の支払いを行わないなどの差別をすることはできません。

その上で、外国人社員を試用期間中(完了後)に解雇する場合に重要なポイントをいくつか挙げてみたいと思います。

■ 外国人社員に「解雇予告」または「解雇予告手当」を支払う。

社員を会社側の判断で一方的に解雇する場合は、(解雇日以前)30日前に「解雇予告」(社員に対して解雇を通知すること)を行うか、また30日分の賃金を支払うことが、法律上義務付けられています。これをせずに解雇をすると労働基準法第20条違反となり、会社に対して罰則が課されます。

ちなみにこの、「解雇予告」と「解雇予告手当」は併用することができます。
たとえば、解雇日の15日前に解雇予告を行う場合、同時に残り15日分の賃金を支払えば、この15日前の解雇予告は適法となります。

30日の計算については、解雇予告をした日は”30日”に計算されず、実際に解雇予告をした日の翌日から30日をカウントして解雇予告・解雇予告手当の計算をします(初日不算入の原則)。

■ 解雇予告をしなくてもいい、解雇予告手当を支払わなくてもいい社員がいる? 

この「解雇予告」 ですが、「解雇予告手当の支払いをしなくてもよい社員」というのも、労働基準法で明示されています。
試用期間中の社員であれば、以下の方が該当します。
 

  • 試用期間中であり、雇用されて14日以内の社員

14日を越えて(=雇用開始後15日以降)雇用が継続している社員については前述の「解雇予告」か「解雇予告手当の支払い」(または併用)を行わなければ労働基準法違反となりますが、雇用開始後14日以内の社員に対しては、それを行わずとも、少なくとも労働基準法違反に問われる可能性は低くなります。

ただし、これについてはあくまでも、明らかな労働基準法違反には該当しない、ということであって、外国人社員の場合、たとえば会社側の希望により、はるばる海外から日本に呼び寄せて採用したというケースも多いでしょう。
のような場合、解雇後の帰国旅費などの本人負担を考慮せずに予告手当などの支払いを一切拒否すると、 その後、民事訴訟などの労使トラブルに発展する可能性もあります。

ですので、そのような、海外から会社によって招へいされた外国人社員に対しては特に配慮と注意が必要です。 

■ 外国人社員の試用期間中(満了後)の解雇について次のことに注意する。

① 解雇した外国人社員の帰国手配

在留資格認定証明書(会社が自らスポンサーとなり、就労ビザを取得し海外にいる外国人を呼び寄せて社員として採用した場合)を取得して入社した外国人社員を試用期間中(試用期間満了後含む)に解雇する場合で、社員本人が解雇後、日本国内の他社における再就職を希望せず、本国への帰国を希望するときには、会社は社員に対して速やかに、帰国手配のサポートを行う必要があります。

② 「試用期間」という制度について、採用時に十分説明し、社員の理解を深めておく。

そもそも、「試用期間」という制度そのものを知らない外国人も多いことを会社が認識した上で、オファーレター(採用を決定する前に雇用条件などを明記して社員に渡し、確認してもらう書面)や雇用契約書で、社員本人の試用期間に対する理解を深めておくことが重要です。

本人にきちんと口頭で、試用期間について、以下の点を伝え、さらにオファーレターや雇用契約書に記載し、本人の了解を得ておくことが、労使双方にとって、トラブルの防止につながるはずです。
 

  • 試用期間/Traial Periodがあること
  • 試用期間の期間、その間の待遇(社会保険や労働保険、賃金など)
  • 試用期間中、満了後の解雇がありうる事
  • 解雇する場合はその理由(職務怠慢、能力の著しい不足など)

 


021年4月更新

【Q15】

退職する外国人社員に、退職証明書の交付を求められました。次回のビザ更新にも必要だそうです。どのような形式の退職証明書を発行すればよいのか教えてください。

【A】

日本人社員・外国人社員にかかわらず、御社で雇用している社員が退職するときには、労働基準法(第22条)の規定により、退職する社員に対し、退職証明書/Resignation Certificateを交付しなければなりません(英語圏の方たちは、一般的に"Release Letter" などと呼んでいるようです)。

この規定に反し、退職証明書を発行しない企業に対しては、罰金(30万円)という罰則が課されます。

退職証明書には、下記の5点について記載することになっています。

  • 使用期間
  • 業務の種類
  • その事業における地位
  • 賃金
  • 退職の事由(解雇の場合は、その理由を含む)


ただし、退職する社員が、上記5点の内のいずれか、たとえば「賃金については記載しないでください。残りの項目のみを記載して発行してください」と要求した場合には、要求された賃金についての記載を除外して退職証明書を発行しなければなりません。

ただし、例外的に、外国人社員に対して発行するときには、特に下記の2点に注意していただく必要があります。

■ 入社日・退職日・職務内容(職種)の3点については、外国人社員本人により(除外の)希望があっても、本人に了解を得た上で記載する。

■ できるだけ日本語・英語併記で作成する。

なぜなら、この二点の注意点は、いずれも外国人社員が退職後に直面することになる、就労ビザの問題にからんでいるからです。
以下、簡単に説明します。

■ 入社日・退職日・職務内容(職種)の3点については、外国人社員本人により(除外の)希望があっても、本人に了解を得た上で記載する。

外国人は、会社を退職した後、転職で次の職場に移るときに行う、「就労資格証明書=転職に関する許可申請」や、また、日本国内で起業または異職種に転職する場合に必要な「在留資格変更許可申請」、あるいは、日本を出国し、海外で転職する場合に、その国の就労ビザを取得するための申請など様々な手続きを行う必要があります。

その際、彼らは国内外の入管局に対して、自身がいつからいつまで、どのような会社でどのような活動(職務内容)を行っていたのかを証明しなければなりません。
その
ときに必要となるのが、この退職証明書です。

ちなみに、以上のような就労ビザの申請手続きには、以下の項目が記載された退職証明が必要です。

  • 入社日
  • 退職日
  • 職務内容(職種)

ですので、この3点については、外国人社員本人が「削除してくれ。」と希望しても、将来ビザの手続きに必ず必要になる事を説明した上で、できるだけ記載するようにしてください。

■ できるだけ日英併記で作成する。 

前述のとおり、外国人社員は、退職後、将来日本を去り、母国または他の外国で働くことが多いようです。
母国以外の外国で働く場合、その国で、同様の就労ビザを取得する必要があると思いますが、その場合にも退職証明書は必ず必要になるはずです。
そのような場合を考えると、日本語だけの転職証明書では役に立ちません。

できるだけ、日本語と英語の両方で作成したものを交付してください。
退職される社員にとっても、御社にとっても、後々の再発行の手間が省けます。なお、退職証明書には、

  • 作成責任者の職名 
  • 作成責任者の氏名と連絡先 

も必ず明記します。

入管局や転職先の人事担当者が確認のために連絡してくる場合もありますので、そのときに必ず連絡が取れる、正確なコンタクト先を記載しておく必要があります。

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