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このページでは、外国会社や外国人社員の人事労務管理について、わかりやすいQ&A方式で説明しています。 


■ 外国人雇用のQ&A集①

  • 公開(更新・訂正)年月は各設問の冒頭でご確認ください。
    質問内容
Q1 雇用契約書の作成について 今回、初めて外国人を正社員として雇用しましたが就業規則や雇用契約書の英語版がありません。当社のルールを理解して、問題なくいてもらうためにはどのような形で労働条件や会社のルールを説明しておけばいいでしょうか。 
Q2 英文就業規則の作成について  我が社でも外国人スタッフが5名ほどと少しずつ増えてきました。これまでは全員に日本語の就業規則を渡してきていましたが、きちんと理解してもらえているのか不安です。外国人スタッフが何人くらいになってきたら英文就業規則を作成すればいいですか。労働基準法などで何か決まりはあるのですか? 
Q3 外国人社員の社会保険加入拒否について 新たに採用した外国人社員が、掛け捨てになることを嫌ってどうしても厚生年金への加入を了解してくれません。一方、健康保険には入りたいと言い、会社としても困っています。彼が望んでいる健康保険だけ加入して、掛け捨てになる可能性が高い厚生年金への加入を避ける方法はありますか?
Q4 海外に住む扶養家族の健康保険加入

新しく雇用した外国人社員が、母国にいる母親を健康保険の扶養家族にしてほしいと申し入れてきました。海外にいる扶養家族を日本の健康保険に加入させることはできるのでしょうか。

 2020年4月以降の法改正に基づく取扱い変更

Q5  外国人であることを理由にした給与額の減額 エンジニアとして新しく採用する外国人はまだ日本語が完全ではなく、業務上、上司や同僚社員がサポートしなければならない点が多いため、その点を考慮して、同じ職務を担当している日本人社員よりも低い給与額に設定したいと思います。このような措置は法的に問題はありませんか?
Q6 駐在員事務所の労災・雇用・健康・厚生年金保険加入  当社は海外法人の日本駐在事務所という位置付で日本国内で活動をしています。こちらで雇用する外国人駐在員を日本の労災・雇用・健康・厚生年金保険に加入させたいのですが、日本国内で法人として登記していない駐在員事務所でも加入することができるのでしょうか。
Q7  外国人社員に退職勧奨を行い退職させるときの重要ポイント

当社で雇用している外国人社員に対して本人の能力不足・業績不振により、退職勧奨を行い、本人がこれに応じたため退職させることになりました。退職手当上積金の一般的な基準や人事労務管理面での注意点を教えてください。

 



2022年5月更新

【Q1】

今回、初めて外国人を正社員として雇用しましたが就業規則や雇用契約書などの英語版がありません。当社のルールを理解して問題なく働いてもらうためには、どのような形で労働条件や会社のルールを説明しておけばいいでしょうか。


【A】

初めて外国人スタッフを雇用する企業や在籍する外国人スタッフが少数の場合、作業ボリュームが大きい就業規則を外国語に翻訳することが負担になる場合もあると思います。 
 

本来なら、会社のルールや労働条件など全て詳細に記載されている就業規則を外国人が理解できる言語に翻訳し、配布するのが一番いいのですが、それが難しい場合、当面は個別の労働条件や、どうしても伝えておかなければならない業務上のルール(服務規程や懲戒事項など)をカバーした「雇用契約書」と、その英語版を作成し本人に交付するのも一つの方法です。

以下のページでは英文雇用契約書の作成方法について解説していますので参考にしてください。


2020年10月更新

【Q2】

我が社でも外国人スタッフが5名ほどと少しずつ増えてきました。これまでは全員に日本語の就業規則を渡してきていましたが、きちんと理解してもらえているのか不安です。
外国人スタッフが何人くらいになってきたら英文就業規則を作成したほうがいいでしょうか。労働基準法で何か決まりはあるのですか?


【A】

労働基準法第89条では、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成し行政官庁に届けなければならない。」とは規定していますが、外国人スタッフ向けに、「●●人以上の外国人従業員を雇用したら外国語の就業規則を作成しなければならない。」という規定はありません。とは言っても、本来なら外国人従業員を1人でも雇い入れた場合、その外国人のためにも、また会社のためにも、本人が理解できる就業規則の翻訳版を作成して本人に渡すことが理想です。

外国人にとって、日本で初めて働く場合は特に、自国の労働慣行や労働法とは大きく異なっている日本において、さらに個々の会社独自に定めているルール(就業規則)を外国語である日本語で100%理解してください、というのは酷な話しです。

本人が理解できる言語で作成された就業規則を事前に読んで理解しておくことによって、入社後の就労がスムーズになることに加え、ルールを知らなかったばかりに起こる無用なトラブルを避けることもできるはずです。

また、会社側にとっても、たとえば、雇用している従業員に一番守ってもらいたい、会社独自の「服務規定」や「こんなことをやってしまったら罰則がありますよ。」といった、「懲戒規定」などは外国人スタッフにも必ず知っておいてもらわなければいけないはずです。

しかし、就業規則の翻訳については費用と手間のかかる、会社にとっては負担になる作業であることは間違いありません。
ですので、たとえば、「外国人従業員が●人になったら、就業規則の翻訳版を作ったほうがいいですよ。」と言うことはできませんが今後、御社が、

  • 今いる外国人スタッフにずっと長く働いてもらいたい。
  • 今後も優秀な外国人スタッフを増やしていきたい。
  • 外国人スタッフとの労使トラブルは避けたい。

という希望をお持ちであれば、外国人スタッフの人数に限らず、就業規則の翻訳文作成は必ず必要ではないかと思います。

それでも、どうしても、「今は英文就業規則を作成する余裕がない。」という企業様には就業規則よりも作業ボリュームが少なくて済む、個々の外国人に対する雇用契約書の作成と配布をお勧めします。

雇用契約書を作成する場合は、「服務規律」や「懲戒」などの重要項目についても雇用契約書に追加して記載し、入社予定の外国人スタッフに予め告知しておくことが重要です。


2020年10月更新

【Q3】

新たに採用した外国人社員が、掛け捨てになることを嫌ってどうしても厚生年金への加入を了解してくれません。一方、健康保険には入りたいと言い、会社としても困っています。彼が望んでいる健康保険だけ加入して、掛け捨てになる可能性が高い厚生年金への加入を避ける方法はありますか?

【A】

健康保険と厚生年金保険は、二つで一つの「社会保険」であり、基本的にどちらか一方の保険には入るけれど、もう一方には入らない...と個人や会社が自由に選択することはできません。

お互いの国の在留期間中に発生する保険料の二重払いを防ぐために、日本と社会保障協定を結んでいる外国から派遣されてくる転勤者などの場合で、片方の保険のみ加入、片方は加入しない(=自国の保険制度に加入を続ける)という例外はあります。

また、日本で採用され、日本にある会社で働く外国人は、法律上定められている加入の条件に当てはまった場合、日本人と同様に健康保険や厚生年金保険はもちろん、労災保険や雇用保険に加入することが義務付けられています。

外国人ご本人や会社の選択で加入する、しないを決められるわけではないので、御社で、この点を十分ご本人に説明し、加入を説得するしかないかと思われます。

このときに、外国人ご本人が加入を嫌がっている原因の、保険料が掛け捨てになるという心配については、日本を出国時に請求すれば払った保険料の一部が戻ってくる、【脱退一時金制度】【自国の社会保障制度との保険料金・加入期間の通算】(前述の社会保障協定を結んでいる外国出身の社員の場合)について説明することによって、外国人社員の理解を得られるのではないかと思います。

「脱退一時金制度」や「社会保障協定」の詳しい説明は、以下のページに記載しています。こちらをご覧下さい。

・ 外国人のための健康・厚生年金保険  


2023年1月更新

【Q4】

新しく雇用した外国人社員が、母国にいる母親を健康保険の扶養家族にしてほしいと申し入れてきました。海外にいる扶養家族を日本の健康保険に加入させることはできるのでしょうか。

【A】

日本の健康保険(この設問では中小企業などが加入する旧政府管掌の協会けんぽが運営する健康保険

のことを指します)では、被保険者(会社員本人)が扶養する一定の親族に対しても、被扶養家族として健康保険を適用しています。 

このことは、被保険者が日本人か外国人かにかかわらず、健康保険法で決められている扶養親族の条件に該当し、年金事務所から正式に認定されれば、扶養者として被保険者の健康保険に加入することができます。

  健康保険の被扶養者の要件 ※ 協会けんぽウェブサイト 

では、健康保険法で、「被扶養者」として認められる親族の範囲はというと、まずは、被保険者(外国人本人)がその親族の生計を維持している(=養っている)という前提で、

 1. 被保険者(外国人本人)と同居している場合

 2. 被保険者(外国人本人)と同居していない場合  のケースごとに分けて考えます。

今回のご質問のケースですと、母国の母親を被扶養者に、とのことですので、2.の「本人と同居していない場合」になります。

健康保険法では「本人と同居していない場合」、被扶養者として認定する親族として以下を挙げています。

■  本人と同居していなくても健康保険に加入できる親族 

・ (本人の)  配偶者
・ (本人の実)子
・ (本人の実)父母
・ (本人の実)祖父母
・ (本人の実)兄姉弟妹 
・ (本人の実)會祖父母 
・ (本人の実)孫  

このように以前であれば、上記の要件に当てはまる被扶養家族(今回は母親)として、外国人労働者は同居していない、海外に在住している家族を自身の健康保険に加入させることができました。

しかし、健康保険法の改正によって、2020年4月以降は被扶養親族について、上記に加えて、 

● 日本国内に住所(住民票)を有していること 

という要件が追加されたのです。
つまり、海外に在住している被扶養親族については、配偶者や両親などであったとしても、健康保険の被扶養者とすることができなくなったということです。

したがって、本設問の場合、日本に住んでいない外国人の母親を社員の被扶養家族として健康保険に加入させることはできません。

 国内居住要件の特例

日本国外に留学している学生や、海外赴任に同行している家族などで、日本国内に生活の基礎があると認められた者については上述の、国内居住要件の例外(海外特例要件)として、被扶養者として認定され、健康保険に加入できることになっています。
 健康保険法等の一部改正に伴う国内居住要件の追加と届出と届出 (日本年金機構) 
なお、以下の親族については従前と変わらず、本人との同居が絶対条件となり、外国人本人(被保険者)と同居をしていない場合は被扶養者になることはできません。 

■  本人と同居していることが要件の親族 

  • 3親等内の親族
    例: 伯父、伯母、叔父、叔母、甥、姪、配偶者及び内縁の配偶者の連れ子、配偶者の父母や兄弟姉妹など

また、被扶養者になれる親族に対してですが、日本人の被扶養者の認定と同様、これらの被扶養者が次の条件に当てはまっていることも必ず必要です。

■  被扶養者として認定される親族本人に関する要件 

● 認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合 
認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。 


なお、上記に該当しない場合であっても、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、その世帯の生計の状況を果たしていると認められるときは、被扶養者となる場合があります。

● 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合

認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には、被扶養者となります。 

下記のページでも、更に詳しく説明していますのでご覧ください。


2020年11月更新

【Q5】

エンジニアとして新しく採用する外国人はまだ日本語が完全ではなく、業務上、上司や同僚社員がサポートしなければならない点が多いため、その点を考慮して、同じ職務を担当している日本人社員よりも低い給与額に設定したいと思います。このような措置は法的に問題はありませんか?

【A】

 単に、「外国人だから。」という理由で、給与額において、同じ内容の職種で雇用している他の日本人社員と差をつけることはできません。

なぜなら、労働基準法・第3条で、「使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金・労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならない。」と定めているからです。
違反した場合は、"6か月以下の懲役または30万円以下の罰金"という罰則規定もあります。

つまり、外国人の採用では、同社で同じ職種・同じ雇用形態(正社員・パート等の区別)で働いている他の日本人従業員と同様の労働条件(給与・労働時間など)の下、雇用しなければなりません。

ただし、外国人だから、日本人だからという単純な理由からではなく、職種や能力、職責など客観的・合理的な理由から、他の日本人社員と給与面での差がつく場合はあるでしょう。
たとえば以下のような場合です。

  • 職種による差 例: 営業職と事務職など
  • 職務級による差 例: 会社が導入している賃金制度による職務級から発生する差
  • 能力や経験による差 例: 特に外資系企業などにおける年俸制など
  • 役職による差 例: 役職手当などの加算
  • その他、賃金システムの違いによる差 例: 年俸制や月給制など賃金制度の違い


以上のようなケースであれば、御社の賃金規程に基づく給与額の決定方法に応じて、外国人社員の給与を決定し、他の社員と差をつけることは問題ありません。

ただし、設問のように、単に、「日本語があまり上手ではないため、日本人社員のサポートが必要だから」という理由で、同じ職種の日本人社員と比べて明らかに低い給与額を設定することは、前述の、労働基準法第3条(均等待遇)違反となる恐れがあります。

特に、エンジニアのように、高度な専門的知識を持つ外国人は、そもそも日本語能力というより、その専門知識と能力を前提に採用され、入社している人材のはずです。

したがって、本人の能力や職種の違いからではなく、「日本語がつたなく、業務上サポートが必要だから」という理由によって、給与面で他の社員と差をつけることは、問題があるのではないかと思います。


2021年3月更新

【Q6】

当社は海外法人の日本駐在事務所という位置づけで日本国内で活動をしています。こちらで雇用する外国人駐在員を日本の労災・雇用・健康・厚生年金保険に加入させたいのですが、日本国内で法人として登記していない駐在員事務所でも加入することができるのでしょうか。

【A】

結論から言うと、御社が、外国法人の日本駐在員事務所であっても、労災・雇用・健康・厚生年金保険に加入することはできます。

まず、「外国法人の日本駐在員事務所」というものが、労災・雇用保険(合わせて、”労働保険”と呼びます。以下、”労働保険”と記載。)、健康・厚生年金保険(合わせて、”社会保険”と呼びます。以下、”社会保険”と記載。)の運用上、どのような位置づけにあるかを確認しておきましょう。


■  労働保険における駐在員事務所の位置づけ    

労働保険では、労災保険に加入しなければならない事業所として、

  • 1人でも労働者を使用する事業主は原則、すべて加入


と定めていますので、外国法人の駐在員事務所でも、日本国内で一人でも労働者を雇用し、一回でも給与の支払が発生し、源泉徴収を行うのであれば、 労災保険に加入しなければなりません。

次に雇用保険についてですが、こちらは、
 

  • 原則一人でも社員を雇用する事業所は法人・法人以外にかかわらず全て加入

(ただし、農林水産業の一部は、任意加入=加入してもしなくてもよい。)

となりますので、労働保険については、法人登記をしていない外国人駐在員事務所も問題なく加入対象となります。

■  社会保険における駐在員事務所の位置づけ 

健康保険と厚生年金保険に強制適用となる事業所(法律上、必ず加入しなければならない事業所)としては、まず法人であること(たとえ代表取締役1名で設立されている株式会社なども含まれる。)という条件がます。

しかし、外国法人の駐在員事務所というのは、外国為替管理法上、登記の必要がないため、いわゆる法人ではありません。
では、駐在員事務所が社会保険に加入するためにはどのようにすればよいのか、というと、「任意加入」という形をとることが必要となります。

健康・厚生年金保険法では、法人の場合の「強制適用」と区別して、下記のような事業所が、自ら希望した場合に限り、「任意加入」を認める...としています。■  社会保険の任意加入が認められる、法人以外の事業所 

  • 製造業や土建業など、法律で決められた16種類の業種で、5名未満の従業員を雇用する個人事業
  • 第一次産業(農林・水産・畜産業)、接客業(旅館・料理店・飲食店・理容業など)、法務業(弁護士・税理士・公認会計士など)、宗教業(神社・寺院・協会など)※ 従業員数に関係なし。 


外国法人の駐在員事務所も、この任意適用事業所に準ずるものとして、加入手続きを行うことにより日本の社会保険に加入することができます。

ただし、日本国内での法人登記がある強制適用事業所や、法人登記がなくても日本国内での実績や位置づけを登記以外で様々に証明できる、任意適用事業所と異なり、外国法人の駐在員事務所で、特に設立したばかりの事業所というのは、これまでの実績がないため、労働保険や社会保険に加入するための審査が厳しくなるのは確かです。

通常の法人や、日本国内の任意適用事業所の場合も、加入申請時には、履歴事項証明書や営業許可証等以外にも、労働者名簿や賃金台帳、事務所の賃貸借契約書の写しを始め、様々な立証書類が必要になりますが、日本国内に営業実績のない、外国法人の駐在員事務所の場合は、このような書類にプラスして、労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所から、それぞれ以下のような提出書類を特別に要求されることになるでしょう。

■ 労働基準監督署やハローワークから特に要求される提出書類 

  • 日本の法人登記簿にあたる、親会社(海外本国)で発行される、親会社の存在を証明する公的な証明書 ※ 親会社が北米・ヨーロッパの場合は、宣誓供述書等、中国などの場合は営業許可証等が該当し、それらには必ず日本語の翻訳文も併せて提出します。
  • 新規設立の場合、最低1回の源泉所得税の納税を行った証明となる所得税領収書
  • 労災事故の発生に備えた、「外国の親会社と日本駐在員事務所代表者の間で締結した使用者責任に関する覚書」※ 法人の新規設立であれば、ほとんど求められることがない書面ですが、駐在員事務所の代表者はあくまでも個人事業主扱いになるため、通常、課せられる法人としての使用者責任を親会社と駐在員事務所に担保させるために、このような覚書を要求されることがあるようです。


なお、上述の追加提出書類については一例であり、実際に審査を行う管轄の労働基準監督署やハローワーク、年金事務所によって、要求する書類が異なる場合があります。
東京都内であっても、一部の都心にある行政機関以外は、特殊ケースである、外国法人の駐在員事務所の適用について慣れていないことが多いようです。

当事務所でも、お客様から「駐在員事務所の加入について、事業所を管轄する都内●●区の年金事務所で相談したが加入はできない、と言われてしまった。」というような、ご相談を受けることがあります。

ですので、もしも、相談した行政機関で、そのように言われてしまった場合、まずは、その行政機関と交渉し、上部組織(年金事務所の場合は日本年金機構、労働基準監督署やハローワークは労働局に社会保険または労働保険に加入できることを確認してもらった上で、加入に必要な提出書類や手続きの方法について教えてもらうといいでしょう。
 


2021年3月更新

【Q7】

当社で雇用している外国人社員に対して本人の能力不足・業績不振により、退職勧奨を行い、本人がこれに応じたため退職させることになりました。退職手当上積金の一般的な基準や人事労務管理面での注意点を教えてください。

【A】

本人の能力不足や業績不振などにより、会社から退職を勧め、これに社員が応じ、自らの判断で退職をする場合や、会社が公募した退職支援プログラムなどに社員本人が応募して退職する場合は、通常の、「自己都合退職」ではなく、「退職勧奨による退職」という取扱になります。
この場合の社会保険や退職に関わる手続きについては、基本的に社員が外国人・日本人にかかわらず同じです。

以下は、退職勧奨による退職について、将来の労使トラブルを防ぐための重要なポイントです。


■  退職勧奨による退職手続きを行うときの重要ポイント


 
将来の労使トラブルを防止するためにも、「退職合意書」を作成し、署名・保管をしておく。

将来発生するかもしれない、退職理由や退職条件に伴うトラブルを防ぐためにも、「退職合意書」を作成し、今回の退職が解雇ではなく、本人が退職勧奨に応じた円満な退職であることや退職時に支払う退職金やその他の条件について明示し、社員に十分説明した上で署名し、双方1通ずつ保管しておくことが重要です。


 
必要があれば退職金の上積みや再就職支援プログラムなどを提示し、社員の退職後の不安をできるだけ少なくする。

多くの外資系企業や大手企業では、退職勧奨に応じる社員に対して、再就職支援プログラムとして退職金の上積や再就職支援会社【退職後、人材紹介や面談トレーニングなど再就職支援のための各種プログラムを提供するコンサルタント】の支援プログラムを提供しています。

退職金上積金の額については、会社の資力や規模によって様々ですが、一般的な外資系企業の場合、

3ヶ月から長くて2年程度の月収および年収額を上積み分として支払うことが多いようです。

 

雇用保険の離職証明書【離職票】に会社が記載する退職理由にご注意ください。

退職勧奨による退職の場合、自己都合退職に比べて、雇用保険の失業給付について、給付期間や給付開始時期など社員にとって有利になることは前述のとおりです。
退職時に会社が作成する離職証明書【離職票】には、離職理由を一覧から選んで記載する欄がありますが、この離職理由については必ず、

「事業主からの働きかけによるもの/希望退職の募集又は退職勧奨(理由を記載)」

を選んで記載してください。
会社が申告する退職理由によって退職する社員の失業給付の額や開始時期に大きな影響があります。

なお、以下は、外国人社員を退職させる場合に特有の重要なポイントです。



■  外国人社員が退職するときに、会社として留意しておきたいポイント 


 
退職後に日本に残る外国人社員が次の就職先を決めずに退職する場合には、現在持っている就労ビザの有効性について説明しておく。

次の就職先を決めずに退職する外国人社員については、現在持っている在留資格(「永住者」や「日本人の配偶者等」は除く)が就労系の「技術・人文知識・国際業務」などの場合、現在の会社を退職し、社員としての身分を失うことによって、その失業期間中は、現存のビザで許されている日本に在留する資格を一時的に失ってしまうことになります。

ただし、入管庁は近年の不況による就職難を考慮して、外国人労働者が、自分自身の意思による自己都合退職する場合は別として、会社都合による退職勧奨・解雇などによって失職した場合については、日本国内で再就職する意思を持ち、求職活動を続けている限り、少なくとも現在保持している在留期間内の在留を認め、また、その在留期間が切れても事前に申請を行えば、一定期間の在留期間の更新を特別に許可する対応を行っています。

 
2012年7月の、「新しい外国人在留管理制度」の導入によって、勤務先の変更(入社・退社)に関する届出義務が外国人本人にも課されるようになりました!

外国人が、本人希望による自己都合退職および会社都合による解雇によって所属の勤務先を退職する場合、いずれの場合であっても、雇用主企業が行う届出とは別に、外国人本人も入管庁に対して届出を行わなければなりません。

したがって、外国人社員を解雇するとき(自己都合退職する場合も含む)には、この届出についても詳しく本人に対して説明し、退職後は必ず届出を行うよう指導してください。
詳細は、下記ページで確認してください。

以上、外国人社員にとって、最も重要な就労ビザの維持については、退職後の手続きや出入国在留管理局への届出なども含め、正確な情報を事前に本人に伝え、解雇される社員の不安を少しでも取り除いてあげる必要があります。

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