初めての外国人雇用・労務管理編◆就業規則(日本語原文)の作成重要ポイント

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若松絵里社労士・行政書士事務所では、就業規則の作成・改定及び英文翻訳を承っております。 作業内容の流れやお見積もりのご依頼方法などはこちらのページをご覧下さい。

 

 


 

※ 該当項目をクリックしていただければ文頭にジャンプします。    

 1  会社の業績がアップする就業規則とは?

 2

 就業規則の診断ポイント 

 3  「就業規則の不利益変更」には注意しましょう。
 4  就業規則(和文)のサンプル版のご紹介

 


■ 会社の業績がアップする就業規則とは?

 

市販やインターネットで入手できるヒナ型就業規則の危険性は、「就業規則の基礎知識」のページで既に述べました。他にも、ヒナ型就業規則を丸写しで使用する落とし穴として、

 

(例:)
「昇給は毎年○月に行う」

殆んどの企業の就業規則で見かけますね。これは危険です。
一度、こう明記してしまうと、会社の業績が悪くて、どうしても賃上げが出来ない年にも絶対に昇給をしなくてはいけなくなってしまいます。この場合、「昇給」ではなく、「給与の改定」とし「業績によっては「降給」もありうる。」としておけばいいのです。(但しこのような規定の変更については労使交渉が必要です)

また、

 

(例:)
所定休日(会社が決めた休日)と法定休日(労働基準法で決 められている休日・1週間の内1日)の区別なく休日出勤 の35%割増賃金を支払う規定をおいて実際にそのとおりの割増賃金を支払っている。

35%の割増賃金を支払わなければいけないのは週に1日の法定休日に労働させた場合のみです。...まだまだ沢山あります。これら会社側が蒙る経済的なリスクを避ける目的もありますが、それ以上に会社の一番の財産である社員のやる気をアップさせるために「社員のモチベーションをアップする就業規則」づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

今、多くの企業で重要視されている、「問題社員等からのいわれのない告発や紛争回避のための法的に万全の武装をほどこした就業規則」も無論労働紛争が増加した現代には大切かもしれませんが、それだけでは不十分だと思うのです。

事業主の皆様には法的な武装もした上で更にその上をいく、会社の財産である社員がやる気を起こして元気に働いてくれるような就業規則作りを目指していただきたいと思います。(その結果、社員の会社満足度も上がり不要な労働紛争は避けられはずです。)

 

さて、それでは「社員のモチベーションが上がる→会社の業績がアップする就業規則」とは一体どのようなものでしょうか。例えば、


・ その会社の理念・経営方針などが一目瞭然にわかりやすく明示されていて社員を会社が目指す方向へ明確に力強くリードできる。

 

・ 報酬や他の労働条件・待遇などがわかりやすく明示されていて社員自身のキャリアパスや貢献度に応じた昇格・昇給などを社員自身が予測することができ社員のモチベーションをアップできる。


・  有給休暇のとり方や退職のしかた等、内容があいまいでなく社員が入社してから「話が違う!」などの紛争が発生する余地がないこと。また、内容も不当・不平等でなくその周知の方法も完全なこと。


などが挙げられますが、文章にするのは簡単でも実際にこういった素晴らしい就業規則を作成するのは簡単ではありませんよね。
やはり事業主様と従業員の皆さんが納得いくまで話し合い、合意して自社の実情にあった就業規則を一緒に作り上げる事が大切だと思います。
いくら就業規則は基本的に会社が一方的に作成してよいものだとはいっても、両者のコミュニケーション不足によって事業主様から一方的に押し付けられただけの就業規則では従業員の皆さんにとっても守っていこうというモチベーションを持つのは難しいでしょう。

 


■ 就業規則の診断ポイント

 

下記に一般的な就業規則の構成と各項目ごとに就業規則を診断するためのチェックポイントを挙げてみました。

 

 項目     

 診断ポイント

 総則

・適用する社員の範囲が明確に区別されていますか?

・「この規定は別規程に定める」とする場合、その別規程は存在しますか?

・「今後労働条件の変更がある」旨の改訂に関する一文は入っていますか?

 その場合の方法なども明記されていますか? etc.

 採用

・採用の選考方法や手続などが明示されていますか?

・入社時の提出書類(誓約書や身元保証人)などの明示はされていますか?

・戸籍謄本などの収集は禁止されています。大丈夫ですか?

・必要以上の健康診断書の提出は禁止されています。大丈夫ですか?

・採用に関して女性従業員を差別していませんか?

・試用期間の長さは適当ですか?(3か月〜6か月が適当な長さです。)

・試用期間を延長するための条項は明示されていますか? etc. 

 異動

・出向や配置転換の場合の、事前に承諾を得る旨の一文はありますか?

・一般職など通常勤務地や職務内容を限定されている社員に、配置転換

の可能性がある旨を明示していますか? etc.

 服務

 規律 

・機密漏洩や経営情報などの危機管理規定は万全ですか?

・セクシャルハラスメントに関する規定も定められていますか?

・遅刻、欠勤、早退の規定については会社の実体を踏まえた 定めになっ

 ていますか? etc. 

 労働
 時間

 /休憩
 休日

・時間外労働をさせる場合がある事を明記していますか?
(その場合36協定は労働基準監督署に提出していますか?)

・変形労働時間制やみなし労働時間制を導入している場合、 内容と運用

 状況が就業規則の内容とかい離していませんか?

 (労使協定は作成されていますか?)

・振替休日と代休の区別はされていますか?

・管理監督者の深夜労働が適用除外となっていませんか? etc. 

 休暇

・年次有給休暇の付与日数、付与条件の規定は労働基準法

 に違反していませんか?
 (パートタイマーに対する比例付与もきちんと行われていますか?)

・「年休の取得は会社の承諾が必要」と規定していませんか?

・年休以外の育児介護休業法に基づく、育児休業・介護休業の規定は

 明示されていますか?法律で定められているので付与・明示しなけ

 ればなりません。 etc.

 休業

 休職

・休職制度の適用範囲は明確ですか?

・休職期間の長さは妥当ですか?

・休職期間中の待遇が明確ですか?(賃金や社会保険料の負担など)

・復職させる場合、復職させないで退職とする場合の基準は明確に定
 められていますか?  etc.  

 退職

 ・定年年齢が法律を遵守していますか?

・再雇用制度など定年後の取扱が明確に規定されていますか?

・自己都合退職の申し出に関する手続が明確・妥当なものですか?

 (申し出期間の長さなど)

・退職後に予想されるトラブルを防ぐための規定はありますか?

 (退職金の支払いに関する規定など。)  etc.    

 解雇

・解雇予告・解雇制限についての規定はありますか?

・解雇事由は、「客観的に合意的な理由」と認められるだけの正当性

 がありますか?

 (後々解雇権濫用法理で訴訟を起こされる心配はありませんか?)
 

 賃金

 退職金

・労働基準法上、絶対に記載しなければいけない事項(絶対的必要
 記載事項)が全てカバーされていますか?

・割増賃金、賃金控除などの範囲、計算方法などは法律を遵守して
 いますか?

・賃金支払い時の控除についての労使協定は締結されていますか?

・事業場外で勤務することが多い営業職社員などに対する、営業手当
 などの支払には、みなし時間外手当が含まれている旨の明示がされ
 ていますか?

・減給の制裁の範囲は適法ですか?

・退職金規定において、対象労働者の範囲や決定方法、支払い方法
 などが明示されていますか?

・コース別賃金制度を導入している場合、対象労働者を男女で区別
 していませんか? etc. 

 表彰 ・社員のモチベーションがアップするような表彰規定を設けています
 か? etc.
 懲戒

・懲戒の種類や内容は具体的ですか?
 予想できる事由が全て挙げられていますか?

・懲戒処分の事由を労働者に書面で通知する規定を定めています

 か? etc.

 安全

 衛生

・健康診断の実施義務は、最新の労働安全衛生法に準拠していま
 すか?

・使用者の安全配慮義務をカバーしていますか? etc.
 

 災害

 補償

・災害補償が適用される対象や保障範囲などの規定が明確に規定
 されていますか? etc.
 その他  ・秘密保持契約などの個別合意の内容は適法ですか? etc.

 


 ■ 「就業規則の不利益変更」には注意しましょう。 

 

新しく就業規則を作成・改訂した場合、その内容が、それ以前に労働基準監督署に提出していた就業規則と比べて、労働者にとって明らかに不利益な労働条件に変っている事を、「就業規則の不利益変更」といいます。

この就業規則の不利益変更が有効になるか無効となるか(=その就業規則の変更が認められるかどうか。)は、これまで、沢山の裁判例がありますがその判定は、就業規則の不利益変更の理由が、合理的であるかどうか...によって決定されます。(労働契約法第9条・10条)


ただ、その「合理的であるかどうか。」の基準は、労働契約法第10条の規定(就業規則を労働者の不利益に変更することによって労働者が受ける不利益の程度など)やこれまでの裁判例によって様々なケースが考えられ、就業規則の変更理由が「合理的」として、認められるかどうかは実際のところ判断が難しいのです。

ですから、就業規則を労働者にとって不利益になる内容に変更した場合、後々社員などから裁判を起こされたりした場合には使用者は敗訴してしまう可能性が大きいのです。

 

そういった将来のトラブルを避けるためにも、就業規則を、(社員の目から見て)これまでの内容よりも不利益に変更する場合には、社員とよく話し合いを重ね社員の合意を得ておくことが大切です。
更に、新しい就業規則に添付して労働基準監督署に提出する、「社員の過半数代表者」の意見書は彼らの同意を得た事を証明する、「同意書」を取っておくことも重要ですね。

※ 平成20年3月1日に施行した労働契約法では、変更した就業規則の内容が「合理的なもの」である場合には労働者の同意がなくても変更した就業規則が適用される...と明確に定めています。


こういった事からも、就業規則の変更の難しさ、ひいては市販のヒナ型就業規則を安易に使用して届け出ることがどれだけリスクを負うかをお分かりになっていただけるでしょうか。

 


■ 就業規則(和文)のサンプル

 

               

                    就 業 規 則


 

第1章 総 則


(目的)

第1条 この規則は、株式会社○○○○(以下「会社」という。)の労働条件を明らか

にすること及び職場秩序の維持を目的として、従業員の就業に関する基本的事項を

定めたものである。


(適用範囲)

第2条 この規則は、すべての従業員に適用する。ただし、期間雇用者、パートタイ

マー、嘱託及びアルバイトである従業員(以下「パートタイマー等」という。)について

別段の定めをしたときは、その定めによる。


(労働条件の変更・各種届出手続)

第3条 この就業規則に定められる労働条件及び服務規律等については、経営環

境の変化に伴い業務上必要があると認めるときは、従業員過半数の代表者の意

見を聴いて、この規則を改定することがある。
  2 この規則に定められた各種届出は特段の理由がない限り従業員本人が行う

  こととし、これに違反した場合、又は手続を怠った場合はこの規則に定めた取扱

  いを受けることができない。


(従業員の定義)

第4条 この規則で従業員とは、第5条(採用)及び第6条(選考方法)の規定により

採用され、会社の従業員としての身分を有する者をいう。